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2018.05.01
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カテゴリ:極私的映画史


 1987年7月、メキシコ時代のルイス・ブニュエル作品が6本、連続公開された。「全貌」シリーズの三百人劇場での上映で、3週間続けてブニュエルを見続けた。それまで見たブニュエル作品はほとんどがフランス映画で、メキシコ時代の作品は今でも一番のお気に入り「皆殺しの天使」くらいのものだった。日本未公開の6作品は、いずれも1950年代前半の製作。モーパッサン原作の「愛なき女」やブロンテの「嵐が丘」など、大衆に受け入れられそうな作品ばかりである。

 そこここにブニュエルらしいシュールな表現は見られるものの、基本的にはブニュエルの作家性より大衆性を重視したと想像される仕上がりになっている。「乱暴者」「スサーナ」「エル」「愛なき女」「嵐が丘」「昇天峠」のどれをとっても、フランスで撮った作品のようにワケのわからない方向に向かうことはなく、あくまでわかりやすいストーリーが展開する。もちろん、ストーリーは通俗的であっても、表現が普通の枠を超えてしまうのは、ブニュエルの消すことのできない作家性というもの。

 三百人劇場で見た6本のうち、もっとも面白かったのは「嵐が丘」だった。舞台をメキシコに移し、その風土を生かしながら、狂気ともいえる激しい愛が描かれる。ブニュエルでなければできない、同時にメキシコでなければ作れない「嵐が丘」が、圧倒的な迫力で迫ってくる。メキシコの荒涼たる大地と主人公の妄執が、まるで砂嵐のように観客を取り囲み、スクリーンの中の異世界に引きずり込んでしまう。

 ほとんど初めてといっていいメキシコ時代のブニュエル。残念ながらメキシコの大衆にはあまり受け入れられなかったらしいが、その作品群は、決して後のヨーロッパで製作された作品に劣るわけではない。むしろ、ヨーロッパでは作り得なかった独特の質感が、ブニュエルの新たな魅力を教えてくれたような気がする。残念ながら、現在、DVDはほとんど廃盤。確かに、どの作品もスクリーンでなければ、その魅力は充分には伝わらない気もする。





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Last updated  2018.05.01 19:54:05
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