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2018.06.14
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カテゴリ:極私的映画史


 2018年5月5日、イタリアの映画監督、エルマンノ・オルミが亡くなった。タヴィアーニ兄弟の兄ヴィットリオも4月15日に亡くなっており、ネオレアリスモの伝統を継承する世代の時代が、ついに終焉を迎えたのかもしれない。オルミといえば、19世紀末の小作農たちを描いた「木靴の樹」が代表作だが、個人的に好きなのは、1990年1月にシネマスクエアとうきゅうで見た「聖なる酔っぱらいの伝説」だ。

 「聖なる酔っぱらいの伝説」は非常にシンプルな作品で、老紳士にお金を借りたホームレスがお金を返そうと教会に足を運ぶお話。ミサに出るのがイヤなホームレスは時間をつぶすためにバールに入り、ワインを1杯たのむ。その1杯が2杯、3杯とワインを呼び、気づいた時には教会は閉まっている。そんなことをくり返しながらも、それでもお金を返すたびに教会へ向かうホームレス。結末は至ってカトリック的なのだが、酒を飲む人間であれば、そのホームレスの気持ちが痛いほどわかるはず。

 こんな寓話であってもオルミはドラマチックな演出を排し、ネオレアリスモの伝統を守るかのように淡々とホームレスの教会通いを描き続ける。ホームレスを演じたルトガー・ハウアーが、また良い。ホームレスであっても誇りを失わず、それでいて酒の誘惑に負けてしまう弱い男。そんな男の気高さと情けなさを、目の輝きひとつで表現してしまう。おそらく、オルミはハウアーのあの目を見て、本作の主演に起用したのだろう。そう思えるくらい、ルトガー・ハウアーの目が生きている。

 「聖なる酔っぱらいの伝説」は1988年の作品。素人俳優だけで撮った「木靴の樹」から10年。その間に製作された「偽りの晩餐」は頭をかしげる作品だったが、本作では「木靴の樹」とは違う感動を与えてくれた。ルトガー・ハウアーというプロの俳優の魅力と演技力の助けを借り、オルミの代表作といえる素晴らしい作品に仕上がっている。





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Last updated  2018.06.14 16:18:18
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