フィッシング詐欺
わたしは日頃着信するメールがわずらわしくて、ろくに中身を確認せず次々と抹消してしまうのだが、中には怪しいメールがある。大手通販業者を装って「注文したこともないスマホの最高機種が不在のため持ち帰ったので次の電話番号に連絡してくれ」と言う内容がいちばん多い。ためしに一度だけ電話してみた。そしたら明らかに東南アジア系のアクセントで話す男が出た。そこでこっちも日本人でないふりをし、「あなたの言っていることはわからない」と応酬して電話を切った。そんななかで、知人がフィッシングにあったらしい。23日に着信した宅配業者からの会員再照会の内容に、不用意にもID,パスワードを入れてしまったらしい。そしたら即日送られてくる支払い一覧に行ったこともない観光地で買い物したという明細があり、金額は八万余、さっそく携帯電話会社に被害の内容とID、パスワードの変更をお願いした。その際にわたしもわきに控えてモニターしていたのでこの会社の対応がリアルにわかった。時間は窓口閉店時間ギリギリの八時前だったが、まず落ち着いた声の男性が対応し、丁寧に筋道を通してわかりやすく教えてくれた。警察への被害届の出し方もこれまた手を取り足を取りであった。時間にして約40分、閉店時間を過ぎているにもかかわらず、携帯販売会社の対応によくある「鼻でくくったような」対応とは大違いである。続いて係が変わり、今度は被害の実態を聴取する話になる。今度は女性で、関西訛りだが明快な発音でいろいろ聞いてくる。犯人は常習犯らしく、釣り上げた魚は一度だけ少額で取引、深追いはしないらしい。しかもサーバーはアメリカ経由で観光地の通販を通じて物品を購入し、メルカリあたりで裁くらしい。ここまですぐにわかるのだから大したものだと恐れ入った。われわれの日常のネットでの動きなど手に取るように彼らにはわかってしまうのだろうと逆に怖くなった。それにしても被害者がある程度のスマホとパソコンの知識があったから会話も両者合わせて一時間以上のやり取りをすますことができたが、これがごくフツーのオジサンオバサンの類だったらこうはいかなかったろう。夜九時ごろまでの時間、仕事とはいえ丁寧な応対は心底ストレスがたまるだろう。二交代制なのだろうが、このような仕事をする人たちに支えられて携帯電話屋は成り立っているのだなあと感じた。縁の下の力持ちとはよく言ったものだ。まさにネットの世界は魑魅魍魎、不法地帯です。不明な物には触らない、これが鉄則で、そのまま削除しましょう