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カテゴリ:la litterature
村上春樹 「1Q84」 書店で平積みされているのを発見した翌日、すでに残り1冊という売れ行き。 最近は、話題の本だけが売れるという異常現象のなか、 最後の1冊に、図らずも手をのばしてしまいました。(*^_^*) 村上春樹は「ノルウエイの森」以来です。ご無沙汰です。 相変わらず、ブランドものや、マニアック風な音楽をひきつれて、 過激な表現をあっさりと流す、彼の手法が展開します。 が、今回の小説は現代社会を色濃く反映した作品になっています。 女性(青豆)と男性(天呉)が交互に登場し、それぞれが、周りの糸を撚り合わせ、物語が進む。 仕置き人張りのシゴトに、ゴーストライター、宗教法人という名のカルトに 別次元の世界とおもちゃ箱をひっくり返したような拡散のあと、2巻では、 2本の糸が絡み合い、収束していく。 物語は上辺をさらうといつもの春樹風で、学生運動や全共闘の匂いがする。 この世では邂逅を許されない男女の渇きが描かれる。 重厚な交響楽やバッハの宗教音楽が流れる底辺では、カルト集団や ドメスティックバイオレンスなどの現代の病んでいる部分が横たわる。 宗教法人「さきがけ」の暗黒の手が、二つの月や、空気さなぎ という不思議な存在の中に混在する。 彼の一気に読ませる力量がともすると、読者は見逃してしまう、いや、むしろ 余計なものだとさえ思わせてしまう。 物語の中にはあちこち彼が仕掛けた罠が隠されているようだ。 注意して読んでも、罠にかかりそうになってしまう危うさを感じる。 リトルピープルは、人の弱さに付け込む魔の手の比喩なのだと思う。 誰しもがその危険にさらされているのだと、警告しているように思う。 5年ぶりの書き下ろしという本作は評価が二分されているが、評価しないという人は 娯楽作品を期待しているではないかと思いました。 アメリカ映画のようなすべてが説明されて、鑑賞者の想像を入り込ませないほどの 展開の早さと分かりやすさをこの作品に求めるのであれば、派手な描写が苛立ちさえ 誘発し、とんだ期待外れのものになるでしょう。 青豆の最期、割り切っているようだけど、天呉の前に幻のように現れるくだりは 彼女の想いのなごりを垣間みたようで、涙がこぼれました。 最近のものにしては考えさせられる本です。 昨日、書店にいったら、また平積みになってました。 1か月で200万部の売上とか、すさまじいです。。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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