まんが道がついに完成した:A先生の訃報を受けて
藤子A先生がお亡くなりになったというニュース。それこそ「まんが道」をバイブルとしてきた私にとって、本当に「ああ、漫画の神様がまた一人・・・」という気分です。 盟友のF先生との学生時代から漫画に賭ける青春を綴ったこの作品は、その後、多くの漫画家を育てた、どんな「漫画の書き方入門書」より優れた作品。特に上京してからのトキワ荘の4畳半の狭い部屋で、キャベツ炒めやチューダー(焼酎のサイダー割り)のような安いつまみを肴に、当時の漫画に情熱を燃やす青年たちが集う描写は「青春」以外の何物でもない表現で憧れでもあり。 まんが道は一度完結した後、「愛・・・しりそめし頃に・・・」という続編が、これまた不定期ながら長く続き、その完結後、また最近のA先生の日常を描いた「PARマンの情熱的な日々」というエッセイマンガに引き継がれました。 いろいろ思い出はありますが「A先生が亡くなったことで、まんが道がついに完成した」という思いが去来します。まだ世の中に漫画なんてものがほとんどない時代から、手塚先生という神様に憧れ、F先生という盟友と共に黎明期の大ヒット作を数々描き、そして、少年漫画だけでなく「笑うセールスマン」に代表される大人向けブラックユーモア作品も大ヒットし、彼にあこがれる後進にも優しいまなざしで応え、激務で体を壊すことなく、最後まで多くの人に愛される。 88歳の生涯。先生の人生こそ本当の「まんが道」であり、堂々の完結であります。 先生、すばらしい作品をありがとうございました!天国で先に待ってらっしゃるトキワ荘メンバーたちとチューダーパーティーしてください。