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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
最近お父さんの会社の社長が、とてもやる気を出しているのだが、結構空回りしていて対応するのが難しくなっている。お父さんの会社の社長はとてもまじめで、常に会社の事を真剣に考えて行動している。お父さんよりも間違いなくまじめで真剣である。
ここ数年、経営者用のセミナーや経営者同士の勉強会などに積極的に参加していて、会社をよくしようと必死になっているのがよくわかる。 勉強会などで学んだことを、会社に導入しようと次から次へと新たな取り組みを提案してくるので、お父さんは準備や対応に追われる日々である。
さて、そんな社長が最近「社員と面談して直接意見を聞く」ということを始めた。全社員ではなく、若手(30代以下)で今後の主力として会社を盛り上げてもらうと想定されている人達である。
面談が終わるたびにいろいろと聞かされるのだが、社長は一番重要な前提を無視しているので、面談内容に沿って社内改革をすることに大きな抵抗が出てきている。 社長が知るべき前提は、「いきなり社長に呼び出されて面談などしても、普段社長との接点がない若手がいきなり本音など話したりはしない」と言うことである。 社長が自分で直接面談したという気持ちはわからなくはない。部下から上がってくる報告だけでは、フィルターがかかって本音が届いていないのではないかという不安。また社長が直接話を聞くことで、若手が望むことを素早く実施できるなど、理想的な面談ができればメリットは大きいだろう。
しかしながら、現実は「社長は若手から直接本音を聞くことはできない」である。お父さんが20歳代で、いきなり社長に呼び出されて面談をしたとしても、本音で話すことなどできないと思う。ましてや会社の悪口になるような問題点を、社長に言うなど常識的な人間にはできない。話すことは「自分は頑張っています」というアピールぐらいだろう。社長の覚えをめでたくする方に重きが置かれるのが普通である。 そのため面談を終えた社長は基本的に機嫌がよい。自社の社員はまじめで前向きだと感じてしまうのだと思う。実際に直属の上司に会社を辞めたいと相談している社員ですら、社長の前では前向きな発言しかしていない。
社長は「何も気にせず本音を言ってくれ」と前置きしているようだが、宴会の「無礼講」と同じで、そんな言葉一つで社員が「なんでも言ってしまおう」とはならない。 社長はオーナーの息子という立場で大学を卒業してすぐに入社してきたと聞いている。一般社員として働いた経験がないので、若手社員が会社上層部に感じる距離感を理解していないのだろうと思う。
セミナーなどでは、社員の声を直接聞いた方が、会社の現実がわかるなどと聞いてくると、まじめな社長はすぐにそれを実施してしまう。もうワンクッション入れて、どうすれば社員の本音を引き出せるのかを考えてほしいのだが、そういう意見を言うと、「社長と社員の分断を画策している」ぐらいに捉えられてしまうので、うかつに意見も言えない状態だ。
たまに社長と話をするときに、社長に意見をするときは、幹部社員でも勇気がいるので、社員から社長に意見が出た時は「かなり重要な問題」としてとらえてほしいお願いしているのだが、社長は「誰とでもフランクに話せる威張らない社長」と自分を評価しているので、理解してもらえない。
オーナーの息子なので、社長が下々の事を経験していないのは致し方ないことではあるのだろうが、もう少し現実を理解してほしいと心から願っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.04.13 00:10:11
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