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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
お母さんが長女を妊娠したことで、お父さんは初めて産婦人科というところに行くようになった。出産のための勉強もそうだし、休みが取れた時は検診にも付き添っていた。この病院は、妊娠中の超音波検査なども父親を診察室に入れて一緒に見るということをやってくれていた。
妊娠して何か月目だったか覚えていないが、もうかなり体ができていると言われて、お父さんは超音波検査の画面を見ていた。確かに頭も体も足もきちんと見分けがついたし、心臓が脈動しているのも見えた。「生きている」と感動した覚えがある。 体のあちこちを見せてもらっているうちに、医者がだんだん胎児の股間の方へと場所を移動していった。お父さんはそれを見ながら内心で「えっ!」と思った。お父さんとお母さんは出産するまで赤ちゃんの性別は教えないでほしいとお願いしていた。
ちなみにお父さんは男の子が欲しかったし、お母さんは女なの子が欲しいと言っていた。二人とも兄弟を作るつもりだったのだが、第1子で自分が欲しい子供の性別を確定させたいという思いがあった。お互いの意見が分かれていたこともあって、出産で生まれてくるまで性別を知らないまま希望を持つということにしていたのだ。
それなのに、無情にも医師の超音波画像はどんどん股間に近づいていく。そしてついに股間が移ってしまった。そこには男の子ならついているべきものがついていなかった。ただし超音波画像を見慣れているわけでは無いので、見えなかっただけかもしれないと思い直した。それでも思わず「うーん、女の子だなあ」とつぶやいてしまった。確証があったわけでもないただのつぶやきだった。 その瞬間、医師が「えっ!わかっちゃいました?」と大きな声を上げた。お父さんもお母さんもびっくりして顔を上げた。「どうしてわかったんですか?」という医師の質問に、「いや、ついていなかったから。」と答えた。
通常超音波画像を素人が見ても、説明しない限りどこの部分を見ているか、どうなっているかなど理解ができないらしい。だがお父さんには普通に見えていた。体の表面をなぞって見せていたのだからそれぐらいはわかる。ただお母さんは全く分かっていなかったらしい。 結局先生は「性別がばれた」というのを前提に、詳しく股間の部分を見せてくれた。映像が再度同じ場所に近づいていき、今度はきっちちと股間に何もない状態であることを説明してくれた。
希望していないにも関わらず、医師のフライングとお父さんが偶然超音波画像を読めたという事象が重なっての出来事だった。自分が見ただけでは不確定だったが、医師がきちんと肯定したことで、長女の性別は生まれる前に判明してしまった。
お父さんが診察室を出た後、医師はお母さんに何度もお父さんが医師なのではないかとか、超音波画像を見慣れている職業ではないかと質問していたらしい。それぐらい医師にとっても驚きだったらしいが、お父さんにとっても女の子確定はショックな出来事だった。 軽く落ち込んだことを覚えている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.05 00:10:12
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