|
カテゴリ:エッセイ
先日JALとANAがカスハラ対策を厳密にするというニュースを見た。至極当然のことだとお父さんは思う。カスタマーハラスメントという言葉がどこまで浸透しているのかわからないが、客だから何をしてもよいという考えは、実にバカげた考え方である。 お父さんも今までの人生で、「こっちは客だ」という言葉で怒鳴りつけている人を何度か見てきた。日本人的感覚では、みっともないとしか表現できない光景である。
お客様は神様ですと初めに言ったのは演歌歌手の三波春夫である。この言葉が人気となり全国に広がり、本来公演を見に来た人に対するお客様は、商業でモノを購入したり飲食店のお客様にすり替わっていった。お客様は神様という言葉が独り歩きして、「さらに金を払うのだから何をしてもよい。なぜならお客様は神様だから。」というところまで到達してしまった。これは企業側にも問題があると思う。顧客を大事にするための教育として、社内で「お客様は神様」というフレーズを使いまくったことも原因の一つであることは間違いない。
神様というのは、本来精神的な存在で、世の中の人に神様から理不尽な要求をされた経験を持つ人はいない。だが人間よりも上位の存在として、神様に逆らうことは許されないというのも一般的な日本人の心理である。 この神様という言葉が使われていなければ、日本人によるカスハラは今ほどひどくなかったのではないかとも思う。
人に迷惑をかけないとか相手を尊重するという日本人の美徳は、バブル期の好景気の頃に「金さえ払えば何でもできる」という物質主義にかなり侵されてしまったとお父さんは思っている。そしてカスハラの中心は、この時期に現役社会人だった人達になっていると感じている。1980年代に20歳として現在の50歳以上ぐらいの年代の人達である。お父さんもぎりぎりだがこの年代に入るのかもしれない。
「お金を払っているから、客なんだから自分の方が無条件で偉い」「会社、店、店員はどんな状況でも客に逆らったり不快にさせてはいけない。」という考え方をする若い人に、お父さんは会ったことがない。今の若い人(この言い方はあまり好きではないのだが)は、良くも悪くも厳しい上下関係を経験していない。そのため、どっちが上とか偉いという発想をしないのだとお父さんは思っている。
ちなみに儒教文化の強い国の人達は、日本人とは比べ物にならないぐらいひどい人たちがいる。王様と奴隷のような関係が当たり前という態度をするのだ。レストランでもホテルでもゴルフ場でも、怒鳴りつけたりひどい時は殴ったりする。自国の中では当たり前の行為なのかもしれないが、外国人から見ると犯罪者である。
客と店はお互いのルールや良識を守ったうえで、店はサービスを提供し客はそれを享受するという当たり前の事ができる世の中に早く戻ってほしいと思う。 ただしどんな世の中であろうと例外というものはある。例外として扱われるレベルでダメな人は、法律や罰則で縛るしか方法はないだろう。悲しいことではあるが、自分は特別だと思っていたり、自分が少しでも軽く扱われたとか損をしたと思うと騒ぐひとは一定数存在するのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.13 00:10:11
コメント(0) | コメントを書く
[エッセイ] カテゴリの最新記事
|