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2019年08月24日
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【苦手なものには攻める気持ちをもとう】

 ★齋藤 孝氏の言葉から―

 ◎勝負に臨む時は、「勝とう」ではなく「負けない」という気持ちでいること
  が大事である。

  だが、それは守りに入ることとは違う。「守ろう、守ろう」とすると、どう
  しても気持ちが逃げてしまうので、後ろ向きになる。

  そうではなく、守る時も「攻める」気持ちで臨むのである。

  人は守りに入って、攻められていると思うと、硬くなって疲れてしまう。

  本当は守っているのだが、気持は攻めるのだと思ってデイフェンスしている
  と、リラックスできる。

  たとえば自分の仕事や勉強で苦手なものがあるとする。
  スポーツでいうと自分の弱点に相当する。

  そこを敵に攻められると弱いので、弱点は隠して(つまり守りに入って)、
  つい自分の強いところで勝負しようとする。

  すると弱点を攻められて、あっという間にやられてしまう。

  私は学生のころ、化学が嫌いだったので、長くそこから目を背けて自分が得
  意な科目ばかり勉強していた時期があった。

  化学は最低限の点数でいいから、ほかの科目で点を稼ごうとしたのである。
  その結果、大学受験に失敗するという悲惨な目にあってしまった。

  それからは嫌いな化学に対して攻めの気持ちで、徹底的に勉強することにし
  た。

  ある一ヶ月間を化学月間と決め、問題集を二冊やりきり、さらに同じ問
  題集を二回繰り返して念入りにやった。

  すると驚くべきことに、化学がもっとも得意な科目になってしまった。

  つまり苦手なものや、弱点に対して攻める気持ちで、集中的にエネルギーを
  投下すると、驚くほど伸び率がいいのである。

  得意なものは放っておいても、ある程度伸びていくが、苦手なところをカバ
  ーすると、異常な伸び率を示す。

  テストの点数でいうと、35点や40点しかとれない人が60点とれるよう
  になるのはものすごく簡単だが、90点の人が95点をとろうとするのは非
  常に大変である。

  苦手なものほど、伸び率がよく、コストパフォーマンスがいいのである。

  そして伸びていくと、心に余裕ができてくるので、リラックスしてほかの
  ものもうまくいくようになる。

  まさに相乗効果が生まれる。

  体操においても、あん馬が苦手だった内村航平選手が、あん馬を徹底的に
  練習して、世界選手権で優勝したように、苦手を攻めることで、すべてが
  うまく回っていくのである。

  (参考文献:齋藤 孝著 「前向き力」 ちくま文庫)

________________________________________

 *スポーツの世界では、相手の弱点をついて自分を有利にするというのは
  あたりまえの戦略といえます。

  理想は、こちらの弱点を攻められる前に、こちらが相手の弱点を攻めて、
  いかに崩すかということです。

  弱点を克服するには、自分の弱点はどこなのかを正確に知ることも大事
  です。

  そこを、うやむやにすること、つまり、著者も言うように目を背けると
  成長はないということです。

  さらに、成長するとは、弱点が武器になるということにもつながります。

  たんに、長所を伸ばすことだけでは技術の向上、精神的な面での強さは
  生まれないのではないでしょうか。

  もうひとつ、弱点を知ることで、謙虚な心理作用がおき、リラックスできる
  という、メリットもあります。

  スポーツの世界に限らず、仕事・生き方の面でも応用できる考え方です。






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最終更新日  2019年08月24日 07時00分12秒
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