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カテゴリ:本の感想
書籍の感想です。
今回は「聖者のかけら」です。 聖者のかけら [ 川添 愛 ] ここでいう聖者はほんとの聖者を指しています。 舞台は13世紀のイタリア。 奇蹟を起こす聖者は死んでからもその死体は聖遺物として 崇められることとなります。 なんといっても、その体、さらにはその棺に触れることとで 次々と奇蹟が起こると評判になれば誰も聖遺物が欲しくなるというもの。 主人公のベネディクトはベネディクト会の若き修道士です。 ベネディクト会という名前の基となった聖ベネディクトと同じ名前で 自分は清貧であることを意識し、少しでも聖ベネディクトに近付く ことを目指す青年です。 そんな彼にある村に行くよう命が下されます。 修道院で静かに戒律に厳格に従って生きていくことをよしとする ベネディクトは戸惑いながら村に向かい、そこでピエトロという助祭に 出会います。 ピエトロはリアリストで、神への信仰は持ちつつも、「神は助けてはくれず、 問題は自分で何とかしないといけない」と考えており、ベネディクトと まったく合いません。 しかし、だんだんベネディクトはピエトロの言葉の中にも真実が含まれている ことを感じます。 そしてある聖遺物の謎を調べていく中で、様々な出会いを通じてベネディクトは 大きく成長していくのでした・・・ いやー、面白かったです。 最初の50ページくらいはちょっと重い感じだし、宗教の話で難しいし、こりゃ 失敗だったかな、と思っていたんですが、ベネディクトの心情が分かり、ピエトロの 心情が分かってくるにつれ、どんどん面白くなり、二人が別々の方法で解決に 向かって進んでいく様はとても面白いです。 ベネディクトは一回り成長して、「清貧」の何たるかを自分なりの解釈を得ます。 「清貧」というと、お金を持たず、何も持たないで清く暮らすことを指すのだと 思いますが、目に見える「お金」だけに執着していては清貧の実現には至らない のだと悟ります。 たとえ、お金を渡さなくても、例えば地位を見返りに何かを要求したり、 相手に弱みに付け込んだりして言うことを聞かせていては清貧には繋がりません。 清貧の実現というのはとても難しいですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.04.03 13:49:36
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