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カテゴリ:絵画
会社の送別会の前に、bunkamuraに行ってきました。
ラファエル前派とか、ヨーロッパ象徴派の作品がとても好きです。 絵画にしても文学にしても、不気味なテイストのものが好きということに気がつきました。 将来の不幸が暗示的に描かれているとか、美人画であっても、絶世の美女の顔の中に破滅的な凶相が見られるものとか。 そういう意味でロセッティの絵が好きです。 シビラ・パルミフェラの絵 絶世の美女が描かれてるんですけど、肉感的なのに冷ややかな印象があって 背景に描かれた目隠しの天使の彫刻とか、どくろの彫刻が意味ありげに花に囲まれてる感じとか 絵の中心に美があるんですけど、その美を取り囲んでいるのは不気味な雰囲気。 シビラへのかなわない恋がうんぬんってガイドが言ってましたけど、触れることが許されない美、触れたら破滅させられそうな美って感じがして物凄くひきつけられます。 パンドラの箱をあけちゃう女性の絵はその辺がわかりやすいですね。 最後に希望だけ残ったって箱に書かれているらしいですけど。 この絵から連想させられる希望というのは、本来の意味での希望じゃないような気がします。 美女に破滅させられるマゾヒズムな快感みたいな? しかし、ロセッティの描く美女はゴツイですね。 このパンドラの箱を開けている美女の頭を支える首は、ハンマー投げ選手みたいに鍛え抜かれた極太で その首がこれまたイカツイ肩につながっているという。 箱を持つ手も異様にデカイ。 身長180オーバーの大柄美女が好きだったんでしょうか。 男に女装させてたんじゃないの?という週刊誌っぽい下世話な想像をしてしまいます。 そして、私がこの展覧会に来た理由というのは、ジョージ・フレデリック・ワッツが見られるからです。 画家の中で一番好き。 展示されている絵は、「特に意味はないけど、美しい」という唯美主義なものが多かったです。 豪華な彫刻で飾られたテラスに優美な衣装をまとった女性が陽光の中、かたつむりをつつきながら談笑してるだけの絵みたいな。 この太陽と光と共にある幸福の表現を通り過ぎた後に、ワッツの絵を見ると、絵の中に感じられる悲しみがあまりにも大きくて、その落差に戦慄が走りますね。 人間の本質は苦悩とか、悲しみなんじゃないかと思わせられます。 十字架下のマグダラのマリア。 大体マグダラのマリアって、改心した娼婦なので、肉感的で血色がよくて活き活きしていて、それでいて信仰心が強いって感じで描かれていますけれども。 ワッツのマグダラのマリアは暗闇の中にぼんやりと浮かび上がるように描かれていて、画面に光に滲んじゃってるようで表情が鮮明ではないんですけど、絶望した人間はこういう表情をするのかってくらい、全身で悲しみを表してて 真っ白な肌からこの女性が美しいことが分かるんですけど、その美しさは悲しみに蝕まれて、皮膚は氷のようにいてつて、心からは温かい感情が根こそぎ奪われたような、体温を感じさせません。 そして、視線の先には十字架にかけられたイエス・キリストがいるのか だらりと垂れ下がった手。 これが極限状態の人間なんだなと思いました。 宗教画って、オーバーにイエスの死を悲しむわりに、3日後に復活して、またオーバーに喜ぶっていうコメディ的な感じがしましたけど、 この絵からは復活につながるとは到底考えられない絶望を感じます。 もしかしたら、見られるかもしれないと期待していた「希望」ですが。 希望本体は展示されておらず、「希望のためのスケッチ」が展示されていました。 ワッツ好きな人はこの絵を見に来たんでしょうね。 この絵の人だかりがハンパなかったです。 見えないよー! スケッチ、ということで、大分希望の完成版とは違った印象だったんですけど、これを見ることで希望を更に深く理解できたような気がします。 見た感じ、少女がのっている地球が業火に焼かれているように見えました。 そして、少女を取り巻く空気が滲んでいるように描かれているのは、この竪琴から発せられる音の振動を描いているのかなと思いました。 地獄の業火の中にあっても、希望の音楽は響き渡る、みたいな? 切れかけた汚い糸から発せられる音は単音なんでしょうけども、見ている側からすると、豪奢な音楽が響き渡っているように見える。 この少女が笑っているのかいないのか、見たいと思ってたんですけど、このスケッチからは判別不能。 ワッツがあまりにも圧倒的でした。 他の絵は、女性の肌の質感がすてきーとか、花の描き方がきれいーとか、色々と考えながら見るんですけど、ワッツの絵の前ではただ茫然と立ち尽くすばかりですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.12.30 10:48:16
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