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2009.03.05
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カテゴリ:読書
私の場合は。
などと友達にメールしてから、自分で書いたその言葉にとらわれていた。

そんな時タイムリーなことに、10年以上前にヴィデオ録画していたETV特集「埴谷雄高の独白・死霊」、全5回を見直す機会があったのだ。
若い頃あまりにも近寄りがたかった埴谷雄高氏が、ワインを飲みながらテレビカメラを前にとうとうと語っていられるのである。

昔見たとき以上にひきつけられ、解放感すら持てた私は、その独白を頼りに自同律の不快を思い出し、「死霊」や他の短編を読み始めた。


それはさておき、自己に対する嫌悪や不快の原因について探ってみれば、
いずれにしても能力や努力の足りなさにつきるこが多いので、
自同律以前の問題ではあった。



だが「死霊」は落ち着いて読めば、戦後60余年をともに生きた人たちの多様な精神の受け皿になっていることは、間違いないと思う。
何もこんなに難しい言葉や大仰な文体で書かなくてもいいのではありませんか?
そんなにあらゆる存在・哲学も科学も宗教も転覆させた果ての、文学・ミステリーやユーモアやロマン?
不届きにもあきれてしまったり、笑ってしまったりしながら一応読み終えたのだが、
このような難解さは、人格であり必然だったのだろうとも考えられた。
別の巻の作品集を読みながら、その感を強くした。
とにかく私は煙に巻かれて励まされ、救われちゃったのかも知れない。










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Last updated  2009.03.05 16:17:55
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