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MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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「十三夜の面影」23








僕の背中に押しつけた頭が震えているから、

かぐや姫が声を押し殺して泣いてるのが分かる。

振り向いて抱きしめたいけど、

手を後ろにやって頭を撫でる。

髪が柔らかくて滑ってしまう。

震えが止まった。

少し落ち着いてきたようだ。

「お腹空いたな。もう出よう。」

わざと明るく振舞って、

彼女の気を引き立てようと思う。

もちろん自分のも。

「うん。支度してくるね。」

彼女は素直にバスルームから外に出た。

ゆっくり着替えていると、

いい匂いがしてくる。

「今日はなんだい?」

「ちらし寿司と煮物と酢の物とお吸い物。」

みんな和食だな。

しょうがないけど。

本当は洋食の方が好きなんだけど、

彼女と暮らしてから、

和食が多くて慣れてきたんだ。

健康にもいいらしいし。

帰ってしまったら、

また外食か、コンビニ弁当か。

今はそんなこと考えたくないな。

彼女が張り切って作ってくれたんだから、

たくさん食べなきゃと思った。

でも、胸が一杯でなかなか食べられない。

「美味しくない?」

心配そうに見つめるから、

「美味しいけど、昼食べ過ぎちゃったんだ。」

と笑ってごまかす。

「そう。良かった。」

そんなこと言ってる彼女自身だって、

あんまり食べてないじゃないか。

いつもより多く作ったくせに。

二人とも無口になってしまう。

「明日、休みを取ったんだ。

行きたい所ないかい?」

沈黙に耐え切れず、唐突に言ってしまった。

「私、知らないからなあ・・・。

そういえばお客さんで月が大きく見えるところを

教えてくれた人が居たの。」

もう月はいいよ。

そう思いながらも、一応聞いてみる。

「どこなの?」

「山の上の展望台ですって。」

少しは月に近いかもしれないけど、

大きく見えるってほどじゃないよな。

でも、彼女が行きたいって言うんなら、

行ってみようか。

そのまま月の使者に連れていかれてしまうのかな。

それならそれでも仕方ないか。

ここにいたって、迎えがくるんだろうし。

彼女がいなくなったら淋しいと思う。

でもこの辛さから開放されるかもしれない。

矛盾してるけど、そう思ってしまうんだ。

彼女が好きでいとおしいと思う。

その気持ちに嘘はないのに。

だからこそ、一緒に居ても抱けない苦しみ、

切ない気持ちに負けてしまいそうになる。

自分が弱いから、依存してしまいそうで怖い。

でも、彼女がいなくなったら、僕に何が残るんだろう・・・。

今から呆然として、どうするんだ。

続き



























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