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日本で一番フラフラしている酒飲み子育てSOHOの日記(旧:えふのへや<別館>)

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August 15, 2007
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カテゴリ:思うこと
これまた、おとといの飲み会での宿題。いつも仲良くしていただいている御茶屋の専務様から、ふなはし式の憲法論と国家論を書け的なお題を頂いたのです。
ちなみに、一番スタンスが近いヒトを探すと、CSWのブログでよく登場される永田先生で、かれらのBLOGで書かれている「宇宙基本法」のエントリーに書かれている考え方が近いのかなと。
ちょっと長いですが

行き先はリーダーが指し示す。国民は心中する覚悟でリーダーを選ぶ。これが間接民主主義の真髄です。「憲法の最大の役割は国家権力を縛ることである」なんていう主張が説得力を持つ雰囲気が我が国には有りますが、本来は選挙で縛るべき国家権力を、50%前後の投票率で禄に投票にも行かず、誰が政権を担っても何も出来なければ安心だとばかり手足を縛ることしか考えないのは国民の怠慢だと思います。(上記よりBLOGより引用)

というのは、まさにその通りで、私は憲法という紙切れが、権力の暴走を防いだためしはないと思います。ワイマール憲法が良い例です。民主主義国家において、権力の暴走を防ぐものは国民の冷静な監視に他なりません。すなわち、権力を付託したやつが暴走しそうだと思ったときに、きちんと投票でその付託した権力を引き剥がすことに他なりません。暴走が始まった時点で、憲法という紙切れは反故にされます。

というか、民主主義国家における権力者は誰なんでしょう?
実は国民です。国民が一定の権力を、行政府によって執行することを付託しています。その執行の内容や方法を規定するのが、数々の法令やら条例です。で、その条例やら法令を決めるのが、立法府です。で、それらを正しくおこなっているかを監視するのが司法です。
民主主義国家最大の権力者である国民の権力のうち、どの程度までを行政府に付託するのかを決める基本方針を書かれているものでもあるので、ある意味において「憲法の最大の役割は権力を縛ることである」というのは、正しいのかもしれません。が、もしも、国民の無責任で全権力を付託された3権のトリニティが全力で結託して暴走したらそんなものは、どんな憲法を用意しても防ぎえません。

でも、自分が最大の権力者といわれてもワシはぜんぜんぴんと来ない、という方が大半でしょう。そりゃそうです。全員が同じだけの主権を持っていれば、一人頭の実感として権力保有感は「1/人口」の大きさしかないのですから。
こういう状況下で国家像を理解するのに、一番わかりやすいのは、僕は実は株式会社モデルなんじゃないかと思っています。ただ、国家が営利組織で、運営には株式会社的手法を導入すべきだという意味ではありません。あくまで理解するうえでの模式です。

国民(有権者)は全員等しく株主。取締役会が国会や議会。COO以下の会社機構が政府。監査役が司法。で、会社の定款が憲法で、会社の毎年の業務内容等々を規定しているのが、法令やら条令。
国民は、株主である以上、一定のオーナーシップを持っています。で、株主が最適と思う取締役会を選び運営させます。といっても、日常業務をこまごま取締役会が決めれるものではないので、定款に矛盾しないで、定款が目標とする事業目的を達成できるように、計画等を立案したり承認したりします。その計画に基づいて、適切に日々の業務を会社機構が実施します。時に違法行為がないか監査役が随時業務進行をチェックします。
で、4年に一度や3年に一度の割合で、今までの業務推進が適当かどうかを踏まえ、株主総会(=選挙)で取締役の交換をおこないます。一般営利企業よりちょっとサイクルは長いですが、ほとんど同じような業務執行システムです。

ポイントは、国民は消費者ではないということです。ただ、一方的にサービスを受け、サービスの対価として税を払うという存在ではないということです。
株主という考え方でいけば、所有を担う重要な人々が国民なのです。いわば国家のオーナーです。昨今の所有と経営の分離のなかで、確かに、経営は経営のプロに任せるというスタンスも大事ですが、それにしても一定のチェックや、適切な運営がなされているかを厳しくみていく姿勢も大事です。そして、その結果のアクションとして、常に取締役を厳しく選んだり、法令や条例の不備を考えていく(誤りを正すだけでは無く不足しているものを足したり、不要なものをなくしたり)ことが大事です。

常に忘れてはいけないのは、「自分たちは最大の権力者であり、相互の利益のために、自らを律し、一定の権力を行政府に付託している」という事実です。
そして、時と場合によっては、きちんと手続きを踏むなりタイミングを捉えるなりすることによって、付託した分は取り戻せるということです。昨今の、立法や行政への住民参画というのは、まさにその流れです。ただし、取り戻した権力に応じた責務も膨大についてきます。気ままに渡したり取り戻したりしてはいけません。それこそ、僕らの生活が混乱します。取り上げた分(政府にやらせない公助の部分)は全くやらないか、自分たちで責任を持ってやる(自助や共助)かの2択になるわけです。

で、憲法に話を戻しますと、会社において定款で規程しているのは、会社の形態やら大まかな事業内容です。この憲法に基づいて、立法府が法律を定め、行政府がその法律に基づいて仕事をします。いわば国が「国民に対して何をなすか」を規程する基本原則です。
国民が生きていくのに必要な社会的な保障ややり取りは、基本的に、隣近所の助け合いの「共助」で原則的には出来上がります。ただ、国家である以上は、いわゆる共助だけではなく、それ以上の生活の何かを提供する「公助」の必要もあります。共助で全てが成立するのであれば、別に国家を形成する必要はなくなりますが、現代地球社会では目の前の地域社会での共助だけをおこなって、国家間の取引等々を否定すると、生活が成立しがたくなっています。

憲法は、公助の指針の書であると同時に、共助と公助の線引きの書でもあります。いわば、行政府が公助として何をやるのかということと、公助じゃなくてそれらは国民が自助、共助でやってくださいよということを指定しているところでもあります。
そういう意味でも、「戦争をしないという公助を提供します」という9条ってのは大事な憲法の条項なんだけれども、それ以外にも、注目すべき条項は山のようにあって、行政府に何をさせるかという基本的な考え方を反映し続けることは重要だったりします。
とはいえ、企業でもそんなにいつもいつも定款の変更はしません。ただ、時代に応じて必要な公序の姿は変わっていきます。必要なときに必要なだけ変更できるような工夫が必要です。
と、僕自身は、こんな感じで国家の構造と憲法の関係を常に捉えていたりします。

まぁ、あとは過去の関連エントリでも見て、こういう考えのやからもいるんだなとご理解いただければよろしいかと。で、よかったですか?I専務。


関連の過去のエントリー

自助と共助と公助
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Last updated  August 15, 2007 03:50:32 PM
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