『ウクライナにいたら戦争が始まった』松岡 圭祐
初めての作家さん。最初に「状況と日時、発生場所、帰国者の証言などを併せできるだけ性格を期した」とあり、巻末には「本作品はフィクションです」とある。日本人にとって戦争は過去のものだが、ウクライナの人たちは、いつロシアが攻めてきてもいいように準備していた。他国と国境を接する国に住むことの怖さを再認識した。ブチャでは突然、建物にミサイルが落とされ、民間人が射殺された。戦争は市街地で起きている。目の前で人が殺されるシーンがリアルだ。主人公たち家族は多数の死体を越えてリビウに逃れたが、ただ運が良かっただけのこと。リビウから徒歩でポーランド国境を越えてポーランドの日本大使館員が迎えにきてくれるが、「日本へ帰っても現地でのことは他言するな。 武力衝突はあったが、ロシア軍かどうかは分からない」と言われる。緘口令は日本国の立場上のことなのか、世界の常識なのかは分からない。ウクライナにいたら戦争が始まった [ 松岡 圭祐 ]