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テーマ:暮らしを楽しむ(383667)
カテゴリ:トラウマ
この記事は 「帰って来たヨッパライ」 歌手 ザ・フォーク・クルセダーズ 作詞 ザ・フォーク・パロディ・ギャング 作曲 加藤和彦 上記の歌詞の一部を引用させていただきます。 加藤和彦さん、はしだのりひこさんへの敬意を込めて。 CD/ザ・フォーク・クルセダーズ 帰ってきたヨッパライ青年は荒野を目指す/ザ・フォーク・クルセダーズ/BSCD-0065 帰ってきたヨッパライ [DVD] 皆様は小さい頃のトラウマは何かありますか? 私にとってのトラウマは前述している ザ・フォーク・クルセダーズの 「帰ってきたヨッパライ」です。 この曲を聞く度に私は 得体の知れない恐怖を感じていました。 小さい頃の私は この曲に対してどういう所に恐怖を感じていたのか。 そして、この曲を今改めて聞いてみると 実は食わず嫌いなだけで 驚くべき曲でしたので 記事にさせていただきます。 よろしくお願いします! それではまず、 どういう所が怖かったかを考えていきます。1967年にこの曲はリリースされました。 私は80年代の産まれですから かなり昔の曲であることが分かります。 そんな私もよく耳にしていたくらいなので 長く人々に愛されていた曲であることが分かります。 そんな私が怖いと感じた点を箇条書きにしていきます。 一点目ボイスこの甲高い声が一体どういう風に出していたのかも分からず、 その声で突然 ♪オラは死んじまっただ~ と歌い始めるので、 この世のものでは無い何かが唄っているような不気味さを感じました。 二点目死子供の頃は死ぬということが 永遠に終わらない漆黒の闇に包まれると考えていたので(今も分かりませんが) しばしば死ぬ事の恐ろしさを考えては 眠れない夜を過ごしたこともありました。従って 突然死んじまったと言われると 条件反射的に死のイメージが頭に溢れ 怖がってしまったのだと思います。 死んじまったということは即ち 死んだ人が歌っているということです。少年時代はピュアで優しい心も持ち合わせていたので 子供心に死とは恐ろしいものですから 歌に出てくる甲高い声のオラが可愛そうで なんとも悲しくてやりきれない気持ちになっていました。【新品】青春フォーク CD 全曲歌詞・ギターコード付き 42曲入り 友よ 受験生ブルース 悲しくてやりきれない サルビアの花 遠い世界に 悩み多き者よ 走れコウタロー あの素晴しい愛をもう一度 教訓 プカプカ 神田川 万年床 北山杉 岬めぐり 卒業写真 春夏秋冬 三点目不協和音イントロから流れる伴奏が どこか耳に残る歪なメロディで それがまた この世のものとは思えない世界観を創り出していると言えます。 従ってこのイントロを聞くだけで 無理矢理異世界に放り込まれる感覚を覚えます。 4点目誰が唄っているのか謎当時インターネットは勿論ありません。 一体この不思議な歌は誰が唄っているのか 分からない事も 不気味さを増大させていたと言えます。 顔が見えない意図がわからない恐怖。このトラウマを口に出すのも 恐ろしく、親に聞くことも出来ませんでした。 5点目神様とお経私が神様の声を聴いたのは この曲が初めてでした。そして、 神様がゴリゴリの関西人だと知ったのもこの曲が初めてでした。 そして、最後の最後にお経が流れるのも 最後の最後までトラウマを植え付ける容赦なさに少年の私は絶望の淵に叩き落とされました。怖いと感じた点は以上です。 やはり、 死歪な世界観に恐怖を感じたわけです。 正直歌詞は 「おらは死んじまっただ」 のフレーズが強烈すぎて どういった内容かは分かりませんでした。 今じっくり歌詞を見てみると とても面白く よく曲を聞いてみると1967年とは思えない斬新で自由過ぎる仕掛けが 最初から最後まで散見しており、 常に新しいものを求め続けた 若かりし頃の天才作曲家 加藤和彦氏の仕掛けが光っています。 当時として斬新極まりなく、 今聞いても色褪せない面白さが 垣間見えます。 具体的にどういう点が面白いのかを見ていきます。歌詞に関して簡単に粗筋を述べますと 飲酒運転で事故で死亡して天国にいくものの天国でも酒ばかり飲んで神様に愛想つかされて復活する。という凄まじいものです。 昔でも話の内容としてギリギリのラインだったのではないでしょうか(笑) 私が幼少期の頃死んじまった「オラを」を憐れんだ悲しくてやりきれない想いを返してくれ!死を明るいものとしてテーマにした 最初の歌ではないでしょうか。 しかもイエス・キリストのように 復活までしてしまいます。そして当時としては画期的とも思える 早回しによる甲高い声です。この声が歌詞にピッタリと当てはまり 独特で忘れられない世界観を構築しています。 さらに、この曲では、 死んじまった早回しのオラ(東北弁) 呆れたり説教する普通ボイスの神様(関西弁) の2つの方言と言葉の速度の対比が 立場を明確にしており分かりやすくなっています。しかも神様が話している時は背後に天国と地獄が流れるギミックもあります。 早回しに関しては キテレツ大百科のエンディングソングの「はじめてのチュウ」なんかの方が我々には馴染み深いかもしれませんが。 よくよく聞いてみるとメロディもコミカルなので 重く苦しい死の話ではないんですよね。 また、歌詞の一部 ♪「天国良いとこ1度はおいで」 の箇所は草津節の民謡と被ります。 巧妙に民謡を採り入れています。 さらに最後の恐怖のどん底に叩き落とされるお経の部分ですが よくよく聞いてみると途中から ♪…いっつびーなハードデイズナイト ビートルズの「ハードデイズナイト」!お経が途中からビートルズです。 先程は草津節の一節のオマージュがあり最後にはビートルズです。 日本の民謡とイギリスのロックがまさかのコラボしています。 さらに何故か締めは 私もピアノを習っていた頃に弾いていた「エリーゼのために」 で、この曲が終わります。 何物にもとらわれない新しく、自由な 音楽の形を創り出したと言えるのではないでしょうか。 ありとあらゆるギミックをふんだんに盛り込んでいながら 1曲の歌として成立させた作曲家のバランス力、手腕たるや見事です。 その作曲家である 加藤和彦氏は晩年、 「世の中が音楽を必要としなくなり、もう創作の意欲もなくなった。 死にたいというより、消えてしまいたい」 と、失意の内に自死しました。 簡単に商業主義に対する批判と捉えられない重い言葉です。 加藤和彦氏は何十年にも渡って愛される曲を創り上げました。 そしてそれは、音楽、曲という枠組を超越した余りにも自由なもので 凄まじい力を持った曲でした。 類まれなる才能を持っていたことは疑いようがありません。 永年音楽に携わって仕事をしていくなかで 音楽というものが、金儲けに比重を置きすぎている現場というものも、 恐らく沢山目にしてきた上での言葉だと思います。 加藤和彦氏の理想とする音楽と 現代の音楽の方向性に微妙にズレが生じてきたのではないでしょうか。 それは登りつめたものにしか見えない、 彼の人生の経験があってようやく見える 「時代の風」と言うべきものかもしれません。 勿論、利益というものやお金を気にせず、ストイックに音楽を続けている人は沢山いますし、 私自身メディアであまり見かけないアーティストの音楽を好んでかなり聞いています。 それでもやはり音楽にも「時代の風」というものが存在します。凡人には見えない、 昔とは異質な「その風」。 それを敏感に感じ取れるが故に 加藤和彦氏は酷く苦しんでいたのだと私は思います。 「帰ってきたヨッパライ」のように 余りにも自由な曲を 時の流れとともに時代の制約も産まれ、 作れなくなってしまったという事もあるかもしれません。 加藤和彦氏の死後、↓のようなアルバムが出されます。 若い加藤和彦のように [ ザ・フォーク・クルセダーズ ] それは「帰ってきたヨッパライ」のように 加藤和彦氏がふらっと生き返ったかのようなアルバムであり、 彼を愛する者達により作られたものだそうです。 これから先も彼の音楽は永く語り継がれていくことでしょう。 天から光さす 長い階段を 雲の階段を 一歩一歩踏みしめる。 一際白く光り輝く大きな門が見える。 その扉の先には 穏やかで自由な風が吹いている。 優しい風が吹いている。 誰もいない静かな草原に腰を下ろす。 ハードケースの中から 大切に守られたマーティンD45のギターを取り出して そっと爪弾く。 手始めにドノヴァンでも弾いてみようかな。 メロディを鳴らす。 顔が綻ぶ。 初めてギターを手にしたような感動に震える。 ふと手を止める。 苦笑する。 なぜかは分からない。 ただ、なんとなくどこぞのヨッパライが ふらふらとヨタヨタと上ってきそうな 心配が頭によぎったからだ。 妻のクラフト系youtube動画です。作業用などに利用していただけると便利です。 妻の妊活ブログです twitterはこちら ↑猫メインにブログ更新もツイートしています。 人気ブログランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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私もこの歌かかると聞こえないところへ逃げて
背筋が凍るほど怖かったです おっしゃる通り得体の知れない音?人間?死ぬの?とか脳みそグルグルして怖くて仕方なかったです^ ^ 他にも同じようた方がいて少しホッとしました^ - ^ (2021.01.30 11:37:59)
mintcocosiroさんへ
コメントありがとうございます! 浮世離れした妙ちくりんなメロディが子供ながらに死というものを意識させられちゃうので 本能的に避けちゃうのかもしれないですね。 よく歌詞とか聞くと呑気だし復活しちゃうしめちゃくちゃですが幼少期は オラは死んじまっただ! しか聴いてないですからね(笑) 同じ感覚を持つ方がいて私も安心しました。 (2021.01.31 09:05:05) |