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カテゴリ: ピアノレッスン番組
NHK教育テレビのスーパーピアノレッスン、今週のレッスン曲は先週のロンドに引き続き、またしてもロンドである。といっても、今回は「ロンド イ短調 K.511」、前回の長調とは一転とした悲しくそして切なく、「モーツァルトの別の顔を見たり」といった曲風である。割と無条件で短調が好きな私ではあるが、この曲はあまり得意としない1曲だったりする。というのも、ひとつ間違えればモッタリしてしまいがちであるうえに、感情をこめ過ぎて弾いてしまいそうなトラップが多数しかけられているのだ。これをサラッと弾きこなせれば、モーツァルトをつかめそうな気がしてならない。
とまぁ、つまらない戯言はこのくらにして、早速レッスンの模様へと話を進めることにしよう。アントルモン氏はまず最初にこの曲について「ドラマチックで陰影のある曲。ロンドという題名以上に劇的な作品で、陰影が深く、至る所に悲しみがちりばめられている」と語っている。いやはや、全くもってそのとおり。(以下、各小節の注意点は青字は先生の注意点、括弧内の黒字は私なりのコメント) ・1~4小節:指を完全にコントロールすること (補足として、どのように弾きたいのか前もって自覚しておき、両手が完全に独立して弾けるようにすること、ということである。うぅ、難しい・・・) ・2~3小節:クレシェンドが大きすぎるので要注意 (補足として、この曲はとても内省的で微妙な表情に満ちている事を説明。確かにクレシェンド幅が大きくなればなるほど、表現がオーバーになるし、曲調がいやらしくなってしまうので、ここは是非とも"大人"の落ち着きで弾きたいものだ) ・5小節:右手6拍目の8分音符はもっと自然に(強すぎない) (次小節のクレシェンドよりも目立ってはいけない。クレシェンドの序章のような自然さで) ・11小節:4拍目以降、ペダル無しで弾いて (右32分音符進行の箇所、ペダルで音をにじませないで、という意味のようである) ・18小節:ペダル無しで弾いて (ここも右手32分音符進行部分、1音1音を明確にさせる意味も含め、ペダルは踏まないほうが良い) ・30小節:ターンはたっぷりと余裕をもって。ターン含む箇所親指は使用しない (ここはちょうど主題部が終わる一区切りの箇所。ターンはせっかちにならないように。微妙な音加減な箇所で親指を使わないで、というアントルモン氏の注意は既にお馴染みと化している) ・46小節:静かに奏でて (前小節までフォルテ箇所だが、パッと切り替えるがごとくピアノで静かに弾くこと) ・55小節:急がず穏やかに (前小節からクレシェンドでフォルテへともっていく箇所であるが、進行上ついつい盛り上がって急いで弾いてしまいがちな箇所ゆえ気をつけて。) ・59小節:左手オクターブ進行は途中で切ったりせずに自然な流れで。 (バスの流れにも十分慎重になり、途中で流れをぶち切ってしまったりしないこと) ・64~68小節:左手オクターブ進行、乱暴にならないように気をつけて (上記に共通する注意事項だが、フォルテであっても、きつくならないで) ・71~74小節:クレシェンドの始まりで既に大きくしてはだめ。クレシェンド先のフォルテ位置を考慮すること (ここは71~73小節にわたって長いクレシェンド、そして74小節でフォルテとなっている箇所である。つまり、どこまでクレシェンドするのかよく注意して正しいところでフォルテになるよう、ベース(多分、クレシェンド開始するところ)を工夫しろ、とアントルモン氏は言っている) ・78小節:急がず、そしてスラー内の流れを自然に (スラー内の流れを無視したような変なアクセントをつけず、あくまでも自然な流れで) ・80小節:ほとんどテンポを落とさないで弾こう (主題に戻る手前ゆえ、ついテンポを落とし気味にしてしまいがちだがここはテンポを保って) ・86小節:スラーの流れを意識して (この小節に限ったことではないが、スラーの流れを意識した弾き方で。) ・87小節:4拍目以降ペダルは無しで! (右手32分音符進行部分は、ペダルで音をにじませないように。) ・93小節:右16分音符の3連符進行、テンポを変えずに ・98小節:装飾音は乱暴にならないように。且つここはピアノから始めて (2小節後のフォルテに向かって、ピアノから徐々にクレシェンドしよう) ・106小節:3,4拍目のフォルテは雑に弾かないで (フォルテがきつめにならないように。そして右分散オクターブが乱暴にならないように) ・115小節:左手を抑えて、そしてペダルは全く使わないで (今回はどうもペダル使用についての指摘が多いようだが、基本的に32分音符進行の際にはペダルをなるべく使わないようにするべきである。) ・135小節:4拍目以降の右32分音符、粒良くスタカートで ・142小節:4拍目以降ペダルは無しで (やはりここも右手32分音符進行あり) ・156~158小節:ターン含むクレシェンド進行はたっぷり余裕をもって。158小節でパッとピアノで。 (終曲に向けた盛り上がり部分ゆえ、ターンもせこく弾かずにどっぷりいきたい。勿論テンポは下手に崩さずに。) 以上であるが、アントルモン氏は「楽譜をきちんと見て練習してくださいね」でしめくくった。確かに、自分としてはしっかり楽譜を読んでいるつもりであっても、以外と見落としている部分はあったりするのだ。やはり譜読み段階から丁寧に丁寧に楽譜を読んでいかねばならないことを、改めて教えられたような気分である。また、おっとりとした曲ではあるが、右手の32分音符進行の際には、ペダルの使用は避けなければならなそうだ。ついついテンポが遅い曲に関しては、ペダルでうまくごまかしてしまいがちなところがあるので、これは肝に銘じておこう。それにしても、このロンド、ヘンレ版楽譜にして10ページとなかなかの長曲、譜読みだけで疲れてしまいそうだが、主題部が各所に登場するのがせめてもの救いか。 さて、スーパーピアノレッスンもあと1曲(2週)でおしまい。最後を飾る曲は「女ほどすてきなものはない」の主題による8つの変奏曲である。・・・ってこの曲、全く知らない曲なのだが、はてさて、どんな曲なのだろう?? ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 今回のモーツァルト・スケッチ(小話)は、モーツァルト時代におけるファッションのお話。18世紀当時の肖像画などをみればわかるだろうが、音楽会や舞踏会などでは実に華やかな装飾をほどこした服装が多かったようである。今でもよく耳にする「ロココ」、これぞ18世紀ヨーロッパ(フランス中心)の華麗なる芸術様式であり、女性だけでなく男性も華やかなファッションに身を包むオシャレな時代であったという。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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