|
カテゴリ: ピアノレッスン番組
NHK教育テレビ「スーパーピアノレッスン」ショパン編第10回目のレッスンは、「ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調」Op.11 その4 第2,3楽章ワンポイントレッスンである。
全曲通してのレッスンではないためか、残念ながらテキストには2,3楽章の楽譜は掲載されていないが、各楽章の冒頭部分を中心に実際にレッスンしながら注意点などを紹介していく。 それでは、早速曲中での細かな注意点についてあげてみよう。実際に番組を御覧になった人は十分承知していると思うが、あくまでも各楽章の冒頭部分のみなので、「これの続きはどうした?」なんて言わないで。(以下、各小節の注意点は青字はルイサダ先生の注意点、括弧内の黒字はそれに対する補足(私なりにかみ砕いて)である) 参照した楽譜はパデレフスキー版のショパンピアノ協奏曲集。(レッスン使用時と同様と思われる) 【第2楽章 ROMANCE】 全体にわたるポイント この楽章はいわゆる「月明かりのもとで弾くノクターン」。その雰囲気をつくって。感性の豊かさを十分に発揮し、大きく弾くこと。そしてテンポが速くとも静けさや落ち着きは壊さないように。 ・1小節~:2拍子の感覚で(伴奏) (ルイサダ先生いわく、ショパンは鉛筆でこれを4拍子から2拍子になおしたという。それゆえ2拍子感を出して) ・5小節:装飾音は拍子に合わせて(伴奏) ・11小節:和音に少しビブラートをかけて(伴奏) ・12小節:ペダルを踏んでから腕を降ろして弾き始めること(以降ソロパート) (ピアノソロパートの開始部分。カンタービレで) ・13小節:左の伴奏は目立ちすぎず、宙に浮いたような感じで ・17小節:32分音符の9連符の後半はポルタートで (32分音符をさらっと流すのではなく、もっと目立たせて、という意。) ・20~21小節:2拍目以降夢見がちに (前小節との対比として) ・21~22小節:テンポを遅くしないで (22小節2拍目から入る伴奏のことを考慮すること。テンポを遅くしてしまうと、伴奏との間にちょっとした隙間ができ、それが重く疲れ気味にきこえてしまう) ・23~26小節:2小節単位でメリハリをつけよう (前半23,24小節は思い切って雄大な音で、そして後半25,26小節は聴き手の感性を刺激するべく優しくフワッとした感じでメリハリをつけてはどうだろうか?とルイサダ先生の提案。) ・26小節:1拍目のド音の後の32分音符は軽やかに (補足事項として、1拍目のド音と同じ調子で32分音符下行しないで、ということ) ・27小節:3拍目の右トリルは目立ち過ぎないように ・28小節:3拍目の16分音符5連符はたっぷりと歌うように、慌てないで (ここでルイサダ先生、ショパンが歌好きであったことを語るとともに、19世紀のピアノ作曲家のなかで弾き手に「歌う」ことを要求したのはショパンだけだ、と力説する。ショパン曲においては「歌う」ことが非常に重要なポイントだ) ・35小節~:付点進行、ほんの少しだけテンポを速めて ・38小節:ここで最初のテンポに戻る ・39~52小節:多くの記号やトリル、アルペジオ等を平然と弾くこと (この曲のなかでもとても難所な部分。) ・・・・とここで第2楽章のレッスンはおしまい 【第3楽章 RONDO】 全体にわたるポイント この曲はクラコーヴィアクといったポーランドの踊りであり、男女の踊りが想像できるような演奏を心がけて。コロコロッとした展開でついテンポを速めてしまいがちだが、速すぎることで脚がもつれて転んでしまって大変。 ・17小節~:スケルツァンドは楽しく、それでいて左手が速すぎないように (ピアノソロパートの開始部分。ポロネーズに近いイメージで弾くこと) ・18小節:1拍目はシンコペーションを意識して (前小節からのタイで始まる箇所。きちっとしたリズム感で弾きたい) ・20小節:騎士のように凛々しくキリッと。 (16分音符4音と8分音符のスタッカーティシモがふにゃっとしないように) ・23~24小節:途中で息切れしないで最後まで力強いままで (主題反復手前の区切り部分。16分音符が勢いよく続く) ・25小節:速すぎず、そしてペダルも過度に踏みすぎないように (再び主題へ。) ・26,30小節:伴奏の違いを意識し、反復側の伴奏は小節始めの和音をけだるめに (25~28小節のテーマの反復が29~32小節に位置し、微妙に伴奏部が異なるのはわかるだろうが、1度目(26小節1音目)は機械的に、2度目(30小節1音目)は官能的に弾くと良い) ・35小節:スタッカーティシモは思い切って弾くこと (ポロネーズを意識し、大胆にキリッと弾くことが望ましい) ・48~51小節:木琴のような音色で響き渡るように (leggierissimo(きわめて軽やかに) 高域からキャラランキャラランと下行している箇所) ・60~62小節:こじんまりとしないでもっと思い切って (主題から展開し3連符を含む16分音符が続く箇所は、63小節目でritとなるのだが、その手前からこじんまりとまとめあげようとせず、もっと遠慮せずに62小節のstrettoに向けて勢いもっていくこと) ・・・第3楽章はここでおしまい、曲はまだまだ始まったばかりなのだが、まぁ仕方ないか。実は、飛ばし飛ばし進めながらとりあえず最後までさらうのかと思いきや、いつもの調子で実に細かく冒頭部を指導しているので、今日の放映時間は1時間くらいあるのか、と思ってしまうほどであった。 第2,3楽章はちょっと消化不良気味に終わってしまったのは、私だけであろうか。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 今週の「ショパンの風景」は、「選択、そして再会」(っと勝手にお題目をつけさせてもらった)。つまり、パリに住むショパンがロシア皇帝に忠誠を誓うか、それとも亡命者となってしまうかの選択である。亡命者となってしまったら、祖国に戻るどころか両親に逢うことも困難になるであろう。しかし、ショパンが選択したのは亡命者の道である。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ こうして、様々な思いが形として残る「手紙」、そういえば手書きの手紙なんてここ何年も書いていないではないか。今じゃ電子メールが当たり前、親とだって電子メールでたまに近況を報告していたりする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ ピアノレッスン番組] カテゴリの最新記事
|