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カテゴリ:文化財虫菌害施工編
呼ばれる業務があります。 消毒の会社というと、 ゴキブリや、 ネズミや、 しろありを 想像されると思います。 もちろんそのような害虫も駆除いたしますが、 シバンムシ、カツオブシムシ、シンクイムシ、 イガ、ドロバチ、シミ、チャタテムシ、ハエ、 そして菌類など、お困り物の対応は全てしています。 そうした営業品目にあって、博物館や美術館、図書館の 収蔵品管理もしています。 カビというと、みなさんは湿気を想像されると思いますが、 その湿気の度合いで色々分かれていることは余りご存知ない とおもいます。 漆喰の壁(倉敷美観地区)のカビや、刀剣に繁殖するカビなど、 本当に色々な生き物が対象になります。 今日は懐かしい樟脳(しょうのう)をご紹介します。 20世紀はじめの日本では、防虫剤として、 この樟脳が主流でした。 樟脳は、防虫剤だけでなく、セルロイドの可塑剤 (柔軟性を持たせる薬)や、火薬の発火剤などにも 使われていましたので、工業的にも軍事的にも、 富国強兵を進める日本では、必需品であったわけです。 塩や、タバコが、ついこの前までは専売公社で扱われていたように、 樟脳も専売品だったのですよ。 現在、アストラス製薬となりましたが、藤沢薬品という会社は、 この樟脳で会社の基礎を築きました。 当時日本は、台湾にクスノキの農園を有し、樟樹から、 樟脳の原料を抽出していたのです。 カンフルという、皆さんもよく耳にする言葉がありますが、 このカンフル剤のカンフルもクスノキから抽出されています。 現代では、合成化学物質の、 合成ピレスロイド(たんすにゴンなど)や、 ナフタレンが主流ですが、 私はこの自然の防虫剤が好きで、今でも愛用しています。 樟脳は、効果を期待して、余り大量に使うと、 樟脳焼けをおこしますが、ナフタレンとて、 白い布地が褐色になったりします。 弊社では、C6H4Cl12のパラジクロロベンゼンも使います。 この薬剤は、トイレの芳香剤などにはポピュラーに使われてい ますが、割りと毒性が強いもので、尚且つ、樟脳とは相性が悪く 化学変化を起こすので、同時には用いる事はできません。 弊社は薬の散布屋ではなく、 薬も一つの手段と考えながら防虫駆除予防を施工しています。 「この被害にはこの薬」と決め付けることをせず、 よく観察して作業を進めたいといつも考えています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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