|
カテゴリ:おすすめCD
今晩は、楽器人間です。
本作は、マハビシュニュ・オーケストラにいたビリー・コブハムが手がけた1973年のソロ出世作です。 このくだりは正鵠を射ていますが、ちょっと斜めから見てみると、どうしてもトミー・ボーリン氏の影がちらつきます。ボーリン氏はやはり早熟で、本作制作時22歳でした。 ウィキペディアを参照すると、彼はいくつかのアマチュア・バンドを経て1968年、ゼファーというバンドのギタリストとしてプロ・デビューを果たしています(デビュー時17歳?、高校生か!)。 3年間在籍した後、エナジーというバンドに移ります。エナジー脱退後の1973年、フルート奏者のジェレミー・スタイグの紹介によりビリー・コブハムの「スペクトラム」というアルバムに参加した。とあります。 これが、ボーリン氏の本作までに至るキャリアです。この後ジェイムス・ギャング(ジョー・ウォルシュの後釜)~ソロ、そして、リッチー御大の後釜として、ディープ・パープルへ参戦することになります。 日本公演時の最低演奏披露後、1976年12月4日、ジェフ・ベックのツアーの前座として参加していた矢先、フロリダ州マイアミのホテルにて麻薬の過剰摂取 (いわゆるオーバードーズ) により死去しました。享年25歳。 こう見るとなんか、後釜が多いのがとても切ないですね。50歳前後のオッサンには、トミー・ボーリンというと『下手』の代名詞という汚名がどうしても付きまとってきたと思います。 特にディープ・パープルでの来日公演時、公称では指を怪我したとかで、インチキなスライドプレイばかりで、日本のターギゾーコに顰蹙を買ったのが、とても印象的な出来事でもありました。 しかし、本作での彼のプレイは、打って変わって月とすっぽんというか、最高です。 才能と自信が漲っています。周りのミュージシャンに一歩も引けを取らず、攻撃的で若々しいギタープレイは、当時のニューカマーとしての期待を一手に引き受けていたのではないでしょうか? 特に一曲目の変態ブギである『クアドラント4』でのインプロビゼーションは、とても73年とは思えません。 基本はロックテイスト溢れるフレージングでありますが、微かなジャズテイストも醸しつつ、ノイジーでフリーキーな感性を爆発させております。ソロの対抗馬は、あの禿オヤジのヤン・ハマーであるにも関わらずです。緊張しなかったのでしょうか? また、俗にジェフ・ベックが本作を聴いて、大いにインスパイアされたというのは、業界の伝説として現在も流通しているようですね。まー、ベックも年下の米国人にいい意味で嫉妬と羨望を感じたのでしょうか? 詰まるところ本作は、ある意味、夭逝した才能のあるミュージシャンの偉大なる記録として、まっとうに評価したいですね。 蛇足ですが、遠い昔、音楽雑誌のミュージックライフに、オリビア・ニュートンジョンとトミー・ボーリンが恋人同士?のようなノリの写真がありました。。光陰矢のごとしですね。 Billy Cobham ビリーコブハム / Spectrum 輸入盤 【CD】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.01.14 23:39:52
コメント(0) | コメントを書く
[おすすめCD] カテゴリの最新記事
|