カテゴリ:川柳
「二代川柳」の落款のある古い扇が、山形県の骨董屋のオークションに出た。
もちろん、これを見逃すわけにはいかないが、謎の多い二代目の柄井川柳の染筆が、どうして山形にあるのだろうかと思うと、その真偽に迷いが生れる。 もちろん、山形は柳風狂句の一大結社があった。狂句ほか文芸の盛んな土地柄だ。『誹風柳多留』に最初に現れる地方投句グループも山形だった。 もし、これが本物であれば、歴史的資料のひとつになるが、ネット上での写真だけではその検証もできない。 「とにかく手に入れよう…」 と、入札だけは糸目を付けずに行った。 さきほど、その結果が出て、もう一人の江戸研究者らしき入札者と競ったが、気合の差で、私のものとなった。もちろん、本物である確証はない。 かつて、初代川柳の真筆として秋田の旧家から見つかり、十世川柳の手で「宗家三種の神器」のひとつとなった「錦木回文の和歌懐紙」も後に偽者と判明、今日ではその所在さえ不明になっている。 誹風柳多留四〇篇にある二世川柳の直筆らしい署名と比べてみると、 今回落札の扇面の署名 柳多留40篇の署名 であり、だいぶ異なる。 いずれにせよ、数日中に手許に届くと思われるが、眉唾の品である。 落札の時間を前に、夢中になっている私を見て、女房は首を横に振って立ち去った。 「あなただけ楽しんでいいわねぇ…」 確かに、昨年以来、仕事を家庭に持ち込んでしまい、いい思いをしているのは、私だけだったかもしれない…。反省。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[川柳] カテゴリの最新記事
|