高野山の、大阪市合同のお墓へ行った。
ショータンの3番目の兄さんは、若いころ家出して、ホームレス収容施設で死んだ。
市から連絡を受けたナン億も資産のある長男は、年金暮らしの2男とショータンを召集して確認に行った。名前と生年月日と、連絡先として本人が届けている長男の住所氏名も間違いなかったが、3人ともに顔は3男と確認出来ず、長男は遺体を引き取らなかった。大阪市が焼き場で簡単なお葬式をして、合同(共同ではない)墓地へお骨を埋めた。
高野山のお寺が引き取り手の無いヒトのお骨を預かり、年一度、お盆に合同墓地へ入れる。3番目の兄さんの時は、7人一緒ということだった。区分は広くて、質の良い御影石で横長の洒落た墓石だ。「大阪市合同墓」と刻んであり、線香立てと花立てがあるだけ。蝋燭立ても水入れも無い。
花立てに、槙が入れてあった。墓地の事務所では槙しか売っていないから、周囲のお墓はみんな槙ばかりだ。ショーは、挿してあったマキを捨てて、私が買った花を入れた。墓所の奥は杉の木が茂っているのに、蝉の声はしない。お盆には少し早いから、人影もなくシーンとしている。雪の積もる冬はさぞかし寂しいことだろうが、静かで安眠できそうなお墓だ。
弟の遺体を引き取らなかった長男は、二年前の秋、自宅で急死した。3人の息子たちは、親父が守って来た屋敷でなくお寺でお葬式をした。大阪市の北外れの狭い墓所で、お父さんお母さんのお墓とはだいぶ離れた端っこのお墓に入っている。息子たちは相続と相続税のことで長いこともめていた。
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