共同労働
私は今あるNPO団体で非常勤として働いています。具体的には市から委託された学童保育所で週3日ほど午後だけ働いています。短時間の非常勤ではあっても組合員となっているので出資金を出したり研修や会議にも参加しています。先日共同労働についての研修があり、ビデオを見る中でスペインのバスク地方にある団体の紹介がありました。私はスペインの小説や芸術にはかなり興味を持っていろいろ調べてきたのですが、正直言ってスペインは世界遺産や芸術は魅力的だが経済水準はヨーロッパの中で遅れている国という印象でした。だからスペイン北部のバスク地方に世界一の共同労働の団体があると聞いて驚きました。スペインの団体で感動して、結局その後の研修での話しはほとんど覚えていないのですが(笑)その後その団体についていろいろ調べてみました。バスク人は現在はスペインとフランスに分かれた地域に住み、独自の言葉と文化を持つ民族です。もとは別の国(ナヴァル王国)だった地域が王家の婚姻関係や戦争など複雑な歴史の中でスペインとフランスに併合されてしまいます。スペイン内戦ではバスク軍はフランコ反乱軍と戦って負け多くの人が殺されました。その時従軍して投獄された経験を持つある神父が赴任してきた町の荒廃した様子に心を痛め、町の再興のために産業を発展させなければいけないと考え、まず初めに技術専門学校を作ります。その卒業生が最初の協同組合での工場を作り、その後その団体は工場だけでなく銀行や大学まで作って発展していきます。その神父は資本主義や共産主義とは違う労働者が主人公となりながら個人の所有権を認める新しい形の企業を理想としました。そして暴力を否定し、暴力が必要ない社会を作ることを目指しました。その活動は保守派だけでなく独立運動や協会側からも激しく批判されましたが、それでも信念を曲ることはありませんでした。その神父は61歳で亡くなりましたが、団体の施設に銅像など作られ意志が引き継がれているようです。日本での共同労働、NPOでの働き方は課題はたくさんありますが、それでもスペインでの成功例を知って大きな刺激を受け、荒廃した地域の復興のために信念を持って行動した1人の神父の生き方に深く感動しました。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】バスク・モンドラゴン [ 石塚秀雄(哲学) ]価格:1,887円(税込、送料込)