「ドイツ通」~欧州の青、モノクロの街~
春の「堤真一祭り」第3夜。本日の上映作品:「ドイツ通」静岡地区では放映がなかったのだが(涙)関東在住の友人Aちゃんのご好意により、ビデオ録画してもらっていた。手元に届いたので、早速、観る。今年から来年にかけては「日本におけるドイツ年」。2006年にはドイツでW杯も開催され、ドイッチュラントが注目されること間違いなし。質実剛健、重厚感、職人気質、高価で質の良いものを長く使う、鉄道王国、エコロジー、ビール、ソーセージ、ボリス・ベッカー、オリバー・カーン、バッハやベートーベンを生んだ国・・・hakapyonのドイツのイメージはこんなところである。ドイツという国から感じる「高品質なのに垢抜けない素朴なイメージ」が好きだったhakapyon。かなり前からこの「ドイツ年」を楽しみに待っていた。そこに降って沸いた堤真一様の「ドイツ通」!!もお、ウハウハである^▽^*感想。「朗読紀行・燃えよ剣」に続く、堤真一的プロモーションビデオですよこれは^^「燃えよ剣」と同じく、彼のモムチャンぶりが堪能できる入浴シーンあるし(笑作り手はわかってらっしゃる。すばらしい。おまけに風景とガイド・堤さんの「撮り方」が上手い!!全身を映す引きの絵と、アップの絵のバランスもいい。ガイド・堤さんのスタイルの良さと表情の豊かさがよくわかる。背中(後姿)をきっちり撮ってくれているのも、ツボをわかってらっしゃる。こんなハイクオリティな番組を一部地域でしか放映しないなんて・・・本当に「もったいない!」(←@Momolinさんが倍角で!!)*冒頭の「ベニスの水路にかかる橋をゴンドラが通過するシーン」だけでもうこの番組の質の高さが解った。映像も音楽もナレーションもスタイリッシュでカッチョイイ!!堤さんの硬質な低い声のナレーションも、ドイツというごつごつした手ごたえの在る国を紹介するのにピッタリ。世界最速のポルシェ(ルーフ)の登場に、横でハングル語の勉強をしていた旦那が身を乗り出す。乗車した時の堤さんのハイテンションなリアクションといい・・・男の人ってホント車好きなのね。まったく無駄の無いルーフのデザイン。「機能美」という言葉を思い出す。シンプルで無駄の無い、ドイツの製品に共通される美しさだ。*車窓やドライブ中に流れる、牧歌的な風景が美しかった。晩秋の抜けるような空の色。草原の緑の色。夕暮れ時にニュルンベルグの城上から見下ろした、オレンジ色に染まる中世そのままの街並み。燃えるような空。絶景かな、絶景かな。ルーフのカラーリングが、この晩秋の青空の色と同じだった。黄味に寄った、スカイブルー。あれがいわゆる欧米の「青」。乾いた空気の中で映える色だ。日本の「青」は藍の青。もっと青みが強く、紺色に近い。空気が湿気を含む分だけ暗くなる。*「車の走らないエコな街」「色彩計画が完璧になされた美しい景観の街」として以前から行ってみたいな~と思っていた「ハンブルグ」が登場したのは嬉しかった^^シンプルなデザインの路面電車が石畳の街中を通り過ぎていく。この電車のデザインも、もちろん都市計画で統一されたものだろう。街の景観を守る、美しい空気を守るということに意識を払って生活する住民たち。成熟した街だな、と思った。住みたいとさえ思った。ドイツをドイツたらしめるのは、妥協を許さず完璧を目指す、徹底した考え方。融通がきかない、といえばそうなのだが・・・その硬くなさは結構好きだ。余計な装飾の無い、まっすぐさ。一見シンプルだが、使えば使うほど馴染む質の良さ。ガイドの堤真一さんに通じる気質である。電車の中、工場で購入した憧れのライカM7を手にした時の堤さんの目が輝いていた。きっとカメラ好きの父親を思い出しながら、チューンナップしたのだろう。念願のおもちゃを買ってもらった少年のような笑顔だった。生前は父親としっくりいかず、理解しあえないまま死別してしまった負い目を感じていた堤さん。彼があんなにもライカを手に入れたがったのは、ただ、モノを所有する以上の気持ちがあったのかもしれない。*ベルリンの壁の場面。淡々と流れる音楽と、ING(現在進行形)の壁画たちと、雨の中、傘を差して佇む堤真一(何を思うか・・・)の映像。なんかスゴイ切なくなった。ベルリンという街の持つ、決して忘れてはならない独自の歴史が、この街特有の攻撃性の源だと思った。天気の所為もあるのだろうか、攻撃性の反映なのか・・・ベルリンの街はモノトーン気味に見えた。グレイッシュな街並みに、アクセントカラーの極彩色のアートが映える。映画「ベルリン・天使の詩」で天使が見降ろす、モノクロのベルリンの街と同じ。天使は美しいブランコ乗りの娘と恋に落ち、羽を落として下界に降りる。とたんに風景に色がつく。ガイドにはベルリンの街は何色に見えたのだろう?