3567523 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

歌 と こころ と 心 の さんぽ

歌 と こころ と 心 の さんぽ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2016.08.23
XML
テーマ:短歌(1696)
カテゴリ:気まぐれ短歌
あっ

♪ 「あっ」が生まれその出処に浮遊する雲のごときをつかまえに行く


推敲

あっ

♪ [あっ]の声のおぼろなるかな朝の月その正体をつかまえに行く



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



 今更ですが、俵万智の「短歌をよむ」を読んでみた。1993年10月発行の岩波新書。
 「サラダ記念日」「かぜのてのひら」を出して、第三歌集に向けての新たな展開を考えている頃のもの。

「第一章、短歌を読む」「第二章、短歌を詠む」「第三章、短歌を考える」で構成されている。このうち、「第二章、短歌を詠む」で発表した歌の推敲の過程を解説しているのがとても興味深かった。
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日』。
 有名な話なので短歌に興味が有る方は皆さんご存知でしょうが、この歌、最初「サラダ」ではなかったということ。私は詳しい事は知らなかったので、今頃になって楽しく読ませてもらった。

「カレー味のからあげ君がおいしいと言った記念日六月七日」というのが、手帳にメモした最初のもので、最初は「鳥のからあげ」だったという事実。
 そして推敲に入り、『「カレー味がいいね」と君が言ったから今日はからあげ記念日とする』となった。他にも7パターンほど作ったが、どうもしっくり来ない。

 「カレー味」が「しお味」になり、「この味」になった。この時点で「からあげ」から完全に解放される。そして、「サラダ」が浮上してくる。何故サラダかというと、季節としては初夏の感じがいいし、七月のS音と「サラダ」のS音のさわやかな響き合いがいい。野菜のおいしいときでもあり大袈裟なメインディッシュでもない点で気に入ったのだと。
 日付も特別な日ではないことが大切と考えてのことで、実際の日にちではない。七月七日では恋の歌に付きていると思い、七月六日に落ち着いたとのこと。ここへ至るまで一週間ほど掛かっている。
 
 歌は「あっ」という心の揺れを表現するもの。それがなければ歌は出来ない。友達の話や空想から作ることはない。「心の揺れ」があってはじめて、言葉探しの旅に出る。
 歌には嘘があってもいい。心の揺れは確かにあって、それはほんとうの自分の心に宿ったものなのだ。しかし、それが言葉になる過程で、現実から離れてゆくことはある。「現実よりも真実」を表現したいというになるのかも知れないと。
 
 他にも、推敲してどう変わったかを実例を挙げて紹介している。発表された歌と元歌の幾つか。

 元歌「親は子を育ててきたと言うけれど
                それぞれ勝手に育つこどもは」
  「親は子を育ててきたと言うけれど勝手に赤い畑のトマト

 元歌「数学の試験監督しておれば何度も目が合う少女が一人」
  「数学の試験監督する我の一部始終を見ている少女」  

 元歌「杭州の竹林に来て八月のめまいのような蝉の声聞く」
  「竹林にめまいのような蝉の声聞きおり我は一本の竹

 元歌「降り出した九月の雨をうらめしく
               見上げたままの口づけとなる」
  「ふいにくる口づけのとき落ちてきた雨を見上げた形のままで」
  「落ちてきた雨を見上げてそのままの形でふいに、唇が欲し

 その時の「あっ」は何処に感じたのか何故そう感じたのかを、推敲の段階でよくよく考えてみる事が重要と説く。曖昧だったポイントがハッキリしてくるまで心の機微を見つめ直す作業が、よりよい歌を作るためには不可欠ということ。


 毎日、日記の様に歌を詠んでいる身としては少しばかり肩身が狭い。時間的な制限があるので、どうしても推敲し足りないままアップしてしまうことになる。
 有名歌人の歌集でも、まあ良いのは3割ほどだという。この日記短歌は、良いのが3日に1首もないかも知れないが、大目に見てやって下さいな。




 息子がもう中学生?
 今やもう立派なオバサンの万智ちゃんが、沖縄へ転居してからTwitterで時々つぶやいている。
 小学生だったころの息子のことを書いていたツイートが、巷では色々話題にもなっていたようだ。その息子の言動がなかなかのもので、この親にしてこの子あり。




◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。

「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

短歌集「ミソヒトモジ症候群」円居短歌会第四歌集2012年12月発行

「手軽で簡単絞り染め」





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.12.25 14:32:44
コメント(2) | コメントを書く
[気まぐれ短歌] カテゴリの最新記事


PR

プロフィール

sunkyu

sunkyu

カレンダー

バックナンバー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄

◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

「アーカイブ」
◎ Ⅰ  短歌
◎ Ⅱ 知っていて損はない話 健康と生活編
◎ Ⅲ 興味深いこと
◎ Ⅳ 興味深いこと パート2
◎ Ⅴ 自然界 地球 異常気象など

フリーページ

コメント新着

sunkyu@ Re[1]:★☆ 日本語の韻音とイメージ(10/16) やすじ2004さんへ 最高の季節ですね。お…

© Rakuten Group, Inc.
X