書類を届けに他の会社へ行く
同じ街の中にあるのでブラブラと歩いていた
何度も通った道も　もう歩くこともない

そう思うとなんだか感傷的になってきた
土曜日の街は　人があふれていて
やけにカップルが多かった

十字路で曲がってくる車があったので
歩くのを止め待っていた
ふと　運転してる人をみると
懐かしい顔があった

長い黒髪と　大きな目ですぐにわかった
車もダークシルバーの古いオデッセイで一緒だった

夏だった

車は駐車場待ちのため　十数メートル前に止まっていた
追いかけようとして　一歩足が車の方へ向かった
しかし　そこから動けなかった
助手席にダンナが乗っていたのかどうかは判らなかったし
今更　会ってどうなるものでもない　
嫌われたまま　会っても　もう　昔には戻れない

人混みをさけながら　会社へ向かう
こんなに人がいる中で　夏に会えたのは　
御褒美かもしれないな　とふと思った