テーマ:華麗・大川橋蔵の時代劇(439)
1956年5月封切 「おしどり囃子」
原作村上元三の仇討ち立志物語「花見獅子」を、美空ひばりと大川橋蔵の豪華コンビによって歌と踊りとロマンあふれる情緒時代劇としての映画化です。 おきゃんな町娘おたねと、旗本能見三之丞の子でありながら訳あって宮神楽の弟子になっている菊次は、人目を忍ぶ恋仲でてす。 ある日、菊次は父三之丞を旗本組頭大庭中務の難儀から救うが、そのことから宮神楽を破門され、旅へ出ることになり股旅(ばくち打ち)へと身を落としてしまいます。おたねは菊次を心配して鳥追いになり、探し歩いてゆきます。二人はどのようになるのでしょう。 女は女らしく配役名が出ている時に、「おしどり囃子」の歌1番3番が流れます。獅子が浮かれる 御神楽ばやし 客は見とれる 泣く子は黙る 花の祭りに ひふみざくら 笛と太鼓が 調子を取れば 鈴の合いの手 シャンシャラリ シャンシャラリ 娘十九の 後追い笠を 泣かす他国の お祭りばやし 君の失敗 目に浮かぶ 笛と太鼓が 調子を取れば 鈴の合いの手 シャンシャラリ シャンシャラリ そして画面は・・・神楽囃子が聞こえてくる境内の舞台を人々が見つめています。 (うわっ、舞っているのは橋蔵さま扮する菊次ではないですか。流石、決まっていて凛々しいです。) 奉納の宮神楽を舞っている菊次。人がざわつきました、何か起こっているようです。菊次も舞台からどうも気になっているようで、舞がおろそかになり、師匠から注意が飛びます。 祭のなか地回りが乱暴に喧嘩を吹っ掛けているよう、それを収めていたのは料亭琴川の娘おたねでした。 おたねは地回りに、一両を渡して丸く収めたのでした。 菊次が舞を終えて帰ろうとしている所へ、「菊さん」と呼び止めるおたねの声がしているが、菊次はふり向くがそのまま行こうとします。菊次はにこりともせず少し不機嫌なようすです。 (二人の会話のやりとり第一弾です) おたね「菊さん、まってよ。さっきから御神楽の済むの待っていたんだよ」 菊次 「そうでもなかろう。たいそう派手な一幕があったじゃねえか」 おたね「あら、みてたの」にっこり笑い、 「どう、私の腕はまんざらでもないでしょ」 菊次 「ふん、おめえが、あんなおちゃっぴいとは思わなかったよ」 おたね「おちゃっぴい、まあ失礼。あたしゃ、みんなのためにあいつらを 裁いてやったんだよ」 菊次 「それが余計な出しゃばりというものだ。女は女らしくするものさ」 おたね「じゃ、あんた、何故黙って見てたのさ。男なら男らしく飛び出して、 あいつらをやっつ けてくれればよかったじゃないか」 菊次 「そうよ、男が男らしいところを見せようと思っても、どっかの娘の ような出しゃばりのおちゃっぴいがいちぁーね」 おたね「ふぅーんだ、なにさ、そんな男らしくないこと言う人大嫌い」 菊次 「おいらも、女らしくねえ娘はきらいだよ」 おたね「嫌いで結構、どうせ、あんたのお嫁さんなんかにゃなってやらないから」 菊次 「ありがてぇ、それでおいらも、先の苦労がなくなって、助かったよ」 おたねに言い残して行ってしまう菊次を見て、地団太を踏みます。 (「⇒」のところまでがyoutubeに載っていますので見てください。お二人のやりとりは、見ていて可愛いし微笑んでしまいます。この後も、暫くお二人のやりとりが続きますので、そのイメージを頭に描きながら、暫くこの後もお付き合いください。) と、こんな具合の二人ですが、周りが心配するようなことはないようですよ。 宮神楽の弟子・菊次郎と料亭こと川の娘・おたねは、はた目からみても分かるほど二人は惚れ合っているのですから、喧嘩をして言い合って結構楽しんでいるようです。 (トミイとマミイの若い時の映画には、このような二人のシーンがふんだんに出てきます。これが見ていて凄くいいのです。自然ににじみ出てくる二人の魅力に惚れちゃいますよ。「女は女らしく」この台詞ふりそで太鼓でも使っていますね。ひばりさんに語り掛ける橋蔵さまのソフトな声とイントネーションで言うから嫌みがなくてよいですね。) その夜、川端に菊次とおたねの姿があります。 菊次が送ってくれるというのに、おたねは昼間のことをまだ怒っている様子。 菊次 「おい、まだ怒っているのかい」 おたね「知らない。おちゃっぴーのでしゃばりには用はないでしょ」 菊次 「あれはおいらも言い過ぎたよ。だから、誤っているじゃねえか」 おたね「口先だけでなにさ、どうせおたしは女らしくない女です」 菊次 「もういい加減にしないか、折角送ってきたのに」 送ってきた菊次に、頼んではいない強がりを言う。 菊次 「ふ~ん、いいのかい。夜道は物騒だよ」 おたね「余計なお世話、男なんて平気」 かまわないでとまだ強がりを言っているおたねです。 菊次 「おやおや、そうかい。そんなら、何があっても知らないよ」 立ち去る菊次を見て、「本当に行ってしまうの」というようなおたねの表情。そして菊次もおたねが気になり途中まで行くと、様子を見ているのでした。 (お互い強情ですが、可愛さがいい。そこが見ている私たちにはたまらないところです。 ひばりさんのファンのに誰との共演映画がいいと聞きますと大川橋蔵との共演、橋蔵さまも好きなのですが、橋蔵さまファンの中には、ひばりさんとの共演のものは嫌いという人もいるらしいです。多分、このようにひばりさんと橋蔵さまの演技が余りにも自然に出ているからなのでしょう。ファンとしての嫉妬からでしょう。私などは、このお二人、なるほど噂になったほどのことは・・・と思いますが。) そこへ、地回りの仲間がおたねから一両をもらった事を聞き、自分たちもあやかろうと二人組がやってきます。絡まれもう小遣いはないと言うおたねに、それなら・・と、おたねを捕まえようと。 二人から逃げようとするおたね、影から見守っていた菊次が助けに来ます。 (二人の会話やりとり第二弾になります) 菊次の姿を見てすがるおたね。「菊さん、助けて」 菊次 「おや、あめえ、男なんかへいちゃらだったはずだろう」 おたね「そんな意地悪言わないで、こいつらやっつけてよ」 菊次 「そうかい、頼むならかたずけてやってもいいが・・・頼むんだね」 おたね「早く、後生だから」 (二人のやりとりどうですか。どんな感じなのか作品を見ていただきたい。他の人達では出せないものがあります。おたねが菊次の腕に手をやっていますね。この手というか指先というか、動きがすばらしいの。菊次を見つめる表情と合わせて見て見て・・・) 菊次 「よおーし。さあ、おめえら、俺が相手だ。ちょいとかたずけるかな」 ⇒⇒ 地回りの二人かを簡単にあしらって、菊次と御種は仲直りが出来たようです。 一緒に帰ろうとしたとき、忠言の灯りが見えこちらに向って歩いてくるお侍の姿に目をやった時、菊次は「おっ」と言って、慌てて行ってしまいます。 おたね「菊さん、どうしたの菊さん」 お侍は、菊次の父親である旗本能見三之丞でした。三之丞もおたねの「菊さん」と呼ぶのを聞いて何か思ったようです。 今までの場面は、二人の甘い関係で楽しみました。 これから大変な事態が起こるなど想像もできません。 菊次の出生から、父に対する感情が描かれ、許せないその父を助けようとしたことから、宮神楽師を破門になり、修行の旅に出ることになりますが、世間は甘くない。 お祭りのある所で舞いながら博打も覚えての旅になります。 おたねは、菊次がいなくなったことでしょんぼり。ある日、菊次の父親能見の無念をしり、菊次に知らせようと探して旅に出ます。 さあ、どうなって行くのでしょう。 続きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年01月17日 12時56分34秒
コメント(0) | コメントを書く
[大川橋蔵 映画 (トミイ・マミイ共演の映画)] カテゴリの最新記事
|
|