テーマ:華麗・大川橋蔵の時代劇(439)
カテゴリ:大川橋蔵 映画 (準主演・共演)
定九郎の役で、あっと言わせて見せるぜ芝居小屋、市村座に「仮名手本忠臣蔵」の看板があがりました。大工の半次と仲間が、役割の看板を見ながら話をしています。いい顔ぶれだ、江戸中の人気は市村座に集まると、得意になっている半次に仲間うちの勝公が聞いてきます。、 勝公「おめえが贔屓の仲蔵っていうのは何処に出ているんだい」といわれ 半次「それたんだ、俺もさっきから気にしてんだがなあ。また、出ていねえよ うだ」 芝居小屋の周りは人気役者が駕籠でやって来たリして賑わっています。 そうした中、誰にもふり向かれず、力なく歩いて芝居小屋に向う役者がいます。 ![]() ![]() 彼は足を止め、小屋に掲げられている役割看板の方を見つめます。 ![]() ![]() 半次が仲蔵の役割看板を見つけました。 半次「なんで、おう、仲蔵五段目の定九郎じゃねえか。ちきしょう、勝公、この幕 はなあ、弁当幕っていってなあ、客が舞台に尻を向けて弁当を食いやがん だ」 勝公「仲蔵ってえのは、そんなつまらねえ役者か」 半次「どっちにしてもな、こんな山賊見てえな定九郎をやるような役者と役者が違 うんだ。ちゃんと判官か勘平のできる立派な役者だ。どっちにしたって、 仲蔵にこんな見当ちげえの役をつけた野郎がどうかしてるんで、可哀想に、 今ごろ仲蔵きっと泣いてるぜ」 それを聞いていた仲蔵は小屋には行かず、来た道を戻っていきます。 ![]() ![]() ![]() 仲蔵の姿が妙見様にありました。 半次と勝公が話していたことを思い浮かべて、仲蔵は、定九郎をどのようにすれば見てもらえるのか苦悩しています。 ![]() ![]() ![]() 妙見様への願掛けの帰り、易者の妙見堂に見てもらいます。 「仲蔵さんとやら、あなたは自分で自分の運命に負けてはなりません。あなたの運勢は、きっと運が開ける」い言われます。 仲蔵 「そうでござんしょうか」 (橋蔵さまの役者言葉のニュアンスがいいんです。魅かれちゃう) ![]() 顔にもその瑞相が表れているといわれますが 妙見堂「しかし、肉親の縁の薄いお方じゃな」 仲蔵 「おっしゃる通りで、わっしは、この世の中にたった一人でございます。 恥を申しますが、わっしが二つの年に、日本橋の親父橋の際に、捨てら れていたんだそうでございます。それを、さるお方に拾われて十の年に、 今の師匠中村伝九郎のところに弟子入りいたしました。役者になったか らには、芸一筋に生きたいと、一生けん命やってまいりましたが、・・ 何分こんな始末で・・」 ![]() 妙見堂が話を聞いていて身を乗り出します。 (何か思いあたることがあるようです。) 妙見堂「それで、あなた様のご本名は」 仲蔵 「捨てられた時に持っていましたお守りに、"幸"と書いてありましたので、 今では幸之助と」 妙見堂「今でも、そのお守りをお持ちかな」 仲蔵 「はい」 懐から取り出しながら 仲蔵 「肌身離さずこうしてもっております」 ![]() お守りを開け札に書いてある"幸"という字を見て・・・(妙見堂は、はっきりと自分が捨てた息子だと確信したのです。) 妙見堂は家に帰り、捨て子であったお松に仲蔵という役者が兄さんだと話をします。お守りの袋は、自分がつけてやったもの、捨てた幸之助であると。あんなに会いたがっていたのに、なぜ打ち明けなかったのか、とお松は言います。お松は、迷子になっていた自分を引き取って今日まで育ててくれたのだから、守様は許してくれる、どうか兄さんに会って名乗ってください、兄さんも会いたいと思っている、と言います。 (ここから、相思相愛の仲蔵とおみつの場面に入っていきます。おみつは料亭の女将をやっているようです。年上なのかしら。仲蔵は役者ですから、簡単には一緒にはなれないですね。おみつは仲蔵を何とかして・・・と思い励ますのです。) 仲蔵か、障子にもたれ暗闇の外に目をやっています。おみつが仲蔵の近くに寄っていって、 おみつ「親方、どうしてそんな寂しいことおっしゃるんです。自分に合わない役柄 を何とかこなして見せるのが、役者の芸じゃありませんか」 仲蔵 「そうは言っても、おみっつぁん、わっしには、とっても」 おみつ「いいえ、どうして、どうしてこのおみつに、親方の舞台を、なぜ見せてく れないんです」 ![]() ![]() おみつ「役柄が合わないからって、ぶたいをなげだしたんじゃ、役者冥利につきま す。それに、折角口を聞いてくれた伝九郎親方にあいすみません。定九郎 の役でも、工夫一つで見物衆は見てくださいます。今までは、弁当幕だな ん て、誰がやっても面白くない役だけに、やりがいがあります」 ![]() ![]() ![]() 仲蔵 「おみっつぁん、・・よく言ってくれた。何とか工夫して見よう」 ![]() ![]() おみつ「親方、うれしい。世間では、あたしのために、親方の御出世のおじゃま になったと・・・」 仲蔵 「そんなことはねえ。そんな、世間の気兼ねなんか・・。おみっつぁん、 わっしは定九郎の役で、あっと言わせて見せるぜ」 おみつ「親方」 仲蔵 「おみっつぁん」 ![]() ![]() 仲蔵はおみつに励まされ、定九郎の工夫を・・。初日はまぢか、どうなるのでしょう。ちょっと心配!! になってしまいますね。仲蔵さん、頑張って。 続きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年03月13日 11時05分54秒
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