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此村大吉の父が亡くなりました。屋敷も身分もいらない、ただ自由が欲しいと思う大吉です。 外は雨、小えんが江戸にいるのは怖いような気がする、二人で旅に出ようと持ち掛けますが、これでも旗本の端くれ、断りなしに江戸の外には出られないとつれなく言います。 お酒を買いにいっていた婆さんが、今「此村はいないか」と偉そうに言う侍がいたと聞いて甚兵衛ではないかと・・・大吉は甚兵衛の家を訪ねます。 甚兵衛は妙見堂の娘お松や大工の半次と同じ長屋に住んでいたのです。お茶を持ってお松が、酒を買ってきて半次が、と世話になっていたのです。 甚兵衛は百両を使い果たしてしまい、今度は本当に目を治すので、もう一度松平帯刀のところに行って金をせしめよう・・と言いますが、大吉は「この間の一件はすでにばれている。帯刀の所へ行くのは暫く待て」と止めます。 激しく降る雨の夜、江戸から逃げるように走っていく二人連れの姿がありました。雨がひどく途中で一時あまやどりをします。 仲蔵「役者が初日を明日にして、定九郎の工夫もつかず、死ぬにも死ねず、こんな風に江戸を逃げるなんて。おみっつぁん、わっしは、情けない男だ」 生きていれば、また花の咲く季節もある、とおみつは言います。 仲蔵「わっしは、上方で修行を積んで、きっと立派な役者になり、世間をアッと言わせてみせますよ」 二人は手に手を取りあって、また雨の中、上方に向って急ぎます。 同じ頃、大吉のところに半次が、松平帯刀の屋敷へ行くといって出かけた甚兵衛からの手紙を持ってきました。「待てぬ。帯刀の屋敷に乗り込む・・・」大吉は慌てて雨の中、甚兵衛を助けに行くために走ります。雷が鳴り、前も見えないくらいの大雨の中急いで走ります。 大吉が走っていく前方に、仲蔵とおみつが小走りで雨の中を走ってきます。 大吉は傘で雨をよけるために半分傘をつぼめて走っていきます。仲蔵とおみつは笠で雨をよけながら体を寄せ合って走っています。(ひどい雷雨ですから、お互いに前方が見えずらい状態です・・・そこで事件は起こりました。) お互いがすれ違いざまに勢いよくぶつかってしまいます。 仲蔵は飛ばされ転んでしまいました。大吉は通り過ぎてから、仲蔵の方をすごい形相で振り返ります。 転んだ仲蔵も大吉をじっと見つめます。 (甚兵衛のところへ急ぐ時にぶつかってきたのですから、腹も立ったでしょう。) 息せき切りながら、仲蔵をじっと睨み、 大吉「無礼者」 仲蔵は、その大吉に吸い寄せられ、じっとみつめて・・・(仲蔵の中に、何かがひらめいたような顔をしていますね。) (右側の画像はちょっと見ずらいですがスチール写真からです。) そう言い放して、大吉は松平帯刀の邸へ向かって急ぎ走り消えて行きました・・その走る姿をじっと見つめたまま、仲蔵は、何かにとりつかれたようでした。 おみつが大吉が落していった手紙を拾います・・その浪人の名は此村大吉とありました。 仲蔵は雨の中ずっと動きません。 (大吉の姿から、定九郎役のヒントを得たのでしょう。この格好だ、これで行こう・・仲蔵はこう思っていたのです。) 帯刀から金をせしめた甚兵衛でしたが、途中待ち伏せされて、大吉が駆け付けた時には斬られてしまいます。一足遅かった大吉でした。 市村座の初日。 「仮名手本忠臣蔵」も場面が進み、弁当幕といわれている五段目にきていました。客席では観客がお弁当を広げ食べ始めています。柝(拍子木)がなり、「九太夫がせがれ定九郎」と流れ、花道の引き幕が開きました。山賊みたいないつもの調子のものだろうと思っていますから、花道の半分までは誰も気がつきませんでしたが、途中から気がついたから客席は騒然となります。 番傘をかざし、小走りに走って出て来た姿は、昨日の夜、仲蔵が雨の中で見た姿・・朱鞘を差し黒紋付き、まさに雨の中で見た此村大吉の扮装そのままだったのです。 粋な格好じゃないか、今までとは全然違う、惚れ惚れする、仲蔵は大したものだ・・・市村座は山崎街道の定九郎で凄い人気になります。定九郎の斬新な工夫が当たりました。 仲蔵の父親である妙見堂とお松も芝居を見て大喜び。市村座の看板も五段目の朱鞘の黒紋付きの定九郎に換えかけられました。 (橋蔵さまの芸の工夫に苦悩する歌舞伎役者中村仲蔵役ピッタリで、本当にすばらしいのです。所作、口調といい、江戸時代の役者がそのまま橋蔵さまに乗り移ったようです。そして、橋蔵さまが歌舞伎界にいた時をオーバーラップして見る方が多いのではないでしょうか。立役としての定九郎・・歌舞伎時代にはまだ、若く美しい女形をやっている時、橋蔵さまご自身も、まさかここでこの役をできるとは思っていなかったことでしょう。綺麗です。立役でも素敵だったでしょう。) 続きます。
壮烈新選組 幕末の動乱・・(8) 2023年04月29日
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