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書きつけ・・頼んだのは何処の誰でい 川っぷちで殺されたおゆみの事件を調べている時、お弓から着流しで、ぶらぶら暇そうに歩いて、うすぼんやりしている侍がうろついていたことを聞いた小吉親分でしたが、どこから手を付けてよいかさっぱり分からず、いつものように喜仙の二階、若さまのところへとやってきていました。 小吉 「でー、そのうすぼんやりした侍って奴が怪しいってことになりやすが」 若さま「あははっは、親分、そのぼんやり侍というのは、わしだよ」 小吉 「えっ、若さま。じゃ・・じゃ・・若さま辻斬りを!・・」 若さま「えぇっ」 おいと「親分さんたら、いやだわ」 三人で大笑い。小吉「なるほど、これはどうも」 若さまの推理が始まります。 おあいはおゆみの家で誰かに斬られ、自分で逃げてきて川っぷちで倒れた。その証拠には、腰から足へかけて血が流れていたし、道には点々と血の跡が残っていた。 小吉 「じゃ、若さま夕べはあの、現場へ」 若さま「通りあわせたのさ」 といって盃を飲みほした後、真之助の刀は抜いて見なかったのかと小吉に聞きますと、旗本ということもあり、手続きもとらずに行ったので、そこまで言えなかった、と小吉は答えます。 小吉が「早まった」と悔やんでいると、 若さま「そう、悔やむこともあるまい。両方の事件を組みあわせていきゃ、何か出 てくるかも知れねえよ」 それに答えて小吉が、今のところは、真之助とおあいの死骸を見ていった侍たち、になると言います。次々に殺されておゆきさんは大丈夫かと心配するおいとに、 若さま「真之助が下手人なら大丈夫だが」と答えます。 若さま、小吉からの話から、おあいは真之助をかばっているように思える。そこへ、おゆきが隠すのを手伝っている様子と聞いて、 若さま「それじゃ、なおさら、真之助がおあいを殺すのはおかしくなる。それか ら、スリの姐御とおかしな侍はどんな兼ね合いかな」 聞かれた小吉が困っていると、 若さま「侍の一人が死骸を見て、おゆみではないと言ってたぜ」 困った顔をした小吉を見ていて、おいとが大変ですね、ほんとに」というと例の調子で、 若さま「大変なぐらいの方が、歯ごたえがあっていいよ。うん」 おゆみが頼まれて掏った品物がよほど大切なものだと伝八と話をしていますと、玄関の戸が「ガラっ」と開く音がしたと思ったら、若さまが部屋に入ってきました。 若さま「何を驚く、化け物が出たんじゃあるまいし」 というと、「おっ、やってるな」と言い 図々しくお猪口を手にし、伝八に注ぐように催促をして、美味しそうに飲み始めます。 おゆみ「まあ、図々しいね、この人は」 お猪口で一杯飲み干すと、もう一杯と催促するように伝八にお猪口を差し出します。伝八が「あまりなめたまねをするな」と言い返しますと、若さまお銚子を伝八から取りあげ、 若さま「あはっはっはっは、おまえを川の中へ叩きこむと、この姐さんから 辻斬りにされちまうんだぁ」 若さま「遠州屋の親分がそう言ってたよ」 おゆみ「えっ、あんたお役人?」の問に、「お役人はよかったな」と笑い、この前の親父が外をうろついていたと言います。 おゆみ「えっ、来てるって、金正が」 若さま「金正ってえのか、あの親父が。うーん」 おゆみの様子を見て、 若さま「なんでそう怖がる。いってえ何をすったんだい」 おゆみ「よしゃよかったねえ、書きつけみたいなものさ」 若さま「書きつけ。掏られたのは金正で、お前に頼んだのは何処の誰でい」 おゆみ「言えませんよ、そんなこと。巾着切りにも仁義がござんすからね」 若さま「そいつは義理がてえ。おあいをばらしたのも、その義理ゆえか」 そう言われたお弓は、人殺しなんかしていないというのです。 若さま「だって、おあいは、ゆんべここのうちで殺されたんだぜ。お前じゃ ねえとすると、誰が・・」 その時、玄関の戸が開く音がします。おゆみが不安そうな声で おゆみ「伝八かい?」 (若さまは入ってきたのが伝七ではないことを感じとっていますね) 入ってきたのは・・・金正でした。 いよいよ核心に触れてきました。若さまがどのように事件を結び付けて解決していくのか。鍵を握っているおゆみと金正と若さまの三人が顔を合わせます。 続きます。
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