​​​​​​​​(ここからラストは、橋蔵さんの出番はなくなります)​

十人で出かけた繁蔵は、中山誠一郎からの使いだと言って戸を開けさせ殴り込みをかけ、目指すは助五郎一人、逃がすなと斬り合いになるが、助五郎は二階から逃げてしまっていました。
十手を預かる助五郎に笹川一家が徒党を組んで殴り込んだ以上、天下の掟にそむいた罪は免れない。討ちもらしたからには、繁蔵の留守を狙い黙っている助五郎ではない。何かあったら知らせるように、そして佐吉には何があってもけっして手出しをするな、繁蔵が帰ってくるまでじっと歯を食いしばってこらえるようにと言い、富五郎らとしばらく国を離れ、国定忠治のところへ向かいます。
一方助五郎は政吉の態度に腹を立てています。今度の件を手引をしたのではとまで言われた政吉は、「やめてくれ、いくら親分でも言っていいことと悪い事があるぜ」と助五郎に向かって言います。助五郎は、政吉のすることなすことに感が触る、いいと言うまでこの家の敷居をまたぐなと政吉を追い返します。
助五郎は干潟に手をつけ始め、飯岡の縄張りである川の西にだけ水を流します。盾をつく笹川の方の農民は捕縛していきます。抗議する干潟の庄吉も杖を取り上げられて・・・。
庄吉の娘のお滝が庄吉が明るいうちに出て行って帰ってこないと、笹川一家に来ています。助五郎ともめていたと子分から聞いて、夏目の新助は助五郎のところを探った方が早いかもしれないと言います。
新助が助五郎のところに忍び込んだとき、物音がします。芸者八千草が中山誠一郎に言寄られているところへ、新助が中山を刀で脅し八千草を救いますが、背後から助五郎に刺殺されます。
助五郎は、義父を殺された政吉が自分を疑っているらしいと気づき、こっちから杯を返してやると政吉に言い渡します。
国定忠治のところを目指していた繁蔵の元に馬で駆けつけて来た板割の浅太郎が、佐吉からの手紙を持ってきます。その手紙を読んでいた繁蔵を見て、富五郎の「どうしたんで」に対し「助五郎の奴が」と怒りをいだきます。
葬儀がおこなわれているとき、繁蔵らが帰ってきます。葬儀終了後、繁蔵は佐吉に、身内を全部集めるよう言います。八千草は責任を感じていたので、一役手伝わせてくれと頼みますが、繁蔵は「男と男の果たし合い、女の出る幕じゃねえ」ときっぱり断ります。そして、子分一同に言います、「おめえたちの命は、この繁蔵がもらったぜ」
富五郎が助五郎のところに、明朝寅の刻、場所は香取河原でと言う果たし状を持っていきます。
富五郎の帰り際に、政吉が「明日はたげいに敵味方だ、・・・遠慮は出来ねえぜ」と悲しそうに声をかけます。富五郎も黙って首を縦にします。
笹川一家は必ず香取川を下ってくるから、手前の岸で待ちぶせし鉄砲を撃ち込む。その卑怯さに政吉は、それだけは止めてくれ、渡世人の喧嘩らしく堂々とやろうと頼むが、助五郎は聞かず、政吉の首をたたき斬り血祭りにあげるといったので、政吉は「逆縁ではございますが、盃はこっちからけえさせていただきます」と頭を下げ出て行こうとしたとき、助五郎がふすまを開けさせます。赤ん坊の声にびっくりして振り返った政吉は、お光と赤ん坊の朝太郎が捕まっているのを目にしてびっくりします。助五郎は「繁蔵のところへ行けるもんなら言ってみろ」とお光は「早く行って、笹川の親分さんに知らせてあげて」と叫びますが、政吉はどうにも動けなくなっていました。
笹川一家では出入りの準備がおこなわれています。富五郎が、平手先生に知らせないと後々恨まれると言うと、繁蔵は知らせればお咲坊に恨まれる、今暴れたら平手先生の命がなくなる、決して知らせるなと先生には知らせるなとお豊に釘を刺します。
その平手造酒は、千葉周作からの手紙を読んでいます。道場に帰ってこないかと書いてあり、を読んでいます。平手は先生のご厚意をありがたく受ける・・お咲に、一緒に江戸に来てくれるように言うのです。その報告をしようと繁蔵のところに行った平手は、殴り込みに出かけたと知り、奥の部屋で仏壇に向かっていたお豊に、なぜ俺に言ってくれなかったと詰め寄ります。「行っちゃいけませんよ」と止めるお豊に、平手は「お咲坊によろしくいってくれよ」と言い飛び出していき、馬でかけつけています。
助五郎の家の倉に閉じ込められていた政吉、お光、と赤ん坊を救いに八千草が来ます。八千草に女房と子供を頼み、政吉は急いで川に走ります。
助五郎一家が待ちかまえる川岸に、繁蔵一家が乗った舟が近づいています。そのとき、政吉が漕ぐ舟が繁蔵たちの舟の方に上がっていきます。政吉が叫びます「岸につけるんだ、鉄砲隊が待ち伏せているぜ、岸につけろ、舟を岸につけろ」と。
助五郎は政吉を狙い鉄砲を撃ちます。政吉は「舟を岸につけてくれよ・・」と言いながら倒れます。
　　　　　　　　　
繁蔵は、舟の向きを変えるように命じます。舟の向きが変わったのを見て、安心して政吉は振り絞って立ち上がります。

政吉「繁蔵親分、・・・うちの親分を許してやってくんねえ」と呟きこと切れ倒れます。
　　　　　　
小舟の中に倒れた政吉は、うちの親分を許してやってくんねえとつぶやきながら息を引き取る。
そのころ中山誠一郎の代官屋敷の前には、国定忠次の一家が一歩も引かずにいます。
河原では、助五郎一家と繁蔵一家の壮絶な喧嘩が始まりました。
駆けつけた平手は、繁蔵がやくざの喧嘩に使う剣ではないと言いますが、平手は、助五郎一家に斬り掛かってゆきます。しかし、咳き込みだし血を吐き体力を失います。、窮地に立った繁蔵を救おうと飛び出した平手は鉄砲で倒れてしまいます。
　　　　　　　　　　　　
平手は、繁蔵に「親分が関東一の親分になるまでは死なねえ」言いながら息を引き取ります。そこに後ろからかかって来た助五郎を繁蔵が叩き斬ります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
喧嘩も終結し、息を引き取った平手と政吉が運ばれたところへ、忠治一家がかけつけます。
忠治は政吉の手をにぎり、
忠治「政吉どん、おめえさぞ辛かったろうな、おめえの心づくしは繁蔵と生涯忘れ
　　　ねえぜ」
繁蔵は、平手にむかい、
繁蔵「平手さん、せめてこの繁蔵が一人前の男になるまで、何故生きてはくれなか
　　　った」
繁蔵を「今日の空同様に、干潟八幡国にも明るい朝がやって来たんだ」と励ます忠治に、「尊い犠牲を無駄にしねえためにも、この明るさをいつまでも続けていきとうござんす」という繁蔵です。
　　　　　　　　　　　(完)