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俺は心を決めたぞ 時子の兄の六角祐吾が正人の帰りを待っていました。城のため、妹時子のために正人の帰りを心待ちにしていた祐吾にとって、気が狂って帰って来た正人は許し難かったのです。庄司に思いを話すと、「いつまでも未練は残さず、正人様は死んだも同様と思って出かけるぞ」という祐吾に庄司が「どこへ?」と聞くと、「領内の百姓に一揆の気配がある、殿の命令で倒してくる」といい、祐吾は「若殿」といい深く頭を下げると部屋を出て行きます。 正人「祐吾が村々の一揆をおさえに出かけるといったが・・・庄司、俺は村の 者達と約束をした・・・」 庄司「えっ?」 苦しげな表情をする正人。 祐吾が時子は、父直之進と兄祐吾に、正人様は本当に気がくるっているのだろうか、とてもそうとは思えない、といい出します。「もしもニセ気違いだとしたら、こんなことをする理由が・・・」祐吾がそう思うわけは何か聞きます。 雪野「目です、私を御覧になる、そして奥方様を御覧になる目です。あの澄みきった目がどうして気の狂った人の目といえましょう」 居室で物思いに沈んでいた正人は何かの気配を感じ振り向きますと、亡き父勝正の幻影が現れたのです。そして、正人を促すように・・・音もなく部屋を出て去っていくのをみて、「父上」と夢中で勝正の幻影を追って行くと、幻影は師景が寝所まで導いたのです。 寝所に踏み込もうとした正人でしたが、見張っている者の姿が目に入り、気がふれている迷った風に廊下を戻って行く途中、正人を心配して来ていた庄司に「あそこはごみ溜めより汚いぞ」と呟きます。 一揆を起す百姓を何人でも斬るため、意気揚々と出発する兵の様子を見て、師景の野望が成し遂げられていることを確認し、正人は「村の人達との約束を守らなくてはならない・・・しかし城内でも仕事はある」と自分にいいきかせ、 正人「庄司、俺は父上を見たぞ」 庄司「えっ」 正人「うつつではなかった。しかし夢でもない。父上は血にまみれ、無念そう な顔で、何か俺に話しかけていたようだ。確かにそう見えた」 庄司「正人様は、それで」 正人「俺を導いて行ったのだ。・・・叔父上と母上の寝所の前まで」 庄司「えっ」 正人「何か恐ろしい秘密があることはもう疑いない・・・庄司、俺は心を決め たぞ。秘密があるのなら、きっとそれを暴き出してみせる。・・・それ も近いうちに・・・どんなことをしても、きっと・・・」 続きます。 🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。 炎の城・・・(1) 炎の城・・・(2) 炎の城・・・(3)
炎の城・・・(11) 2024年08月05日
炎の城・・・(10) 2024年07月29日
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