音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

2017/01/15(日)17:23

AZIZA

ジャズ(976)

年末に、珍しくNHKFMの土曜深夜のジャズ番組「「ジャズ・トゥナイト」を聞いていたら、The National Endowment for the Arts (NEA) Jazz Mastersの本年度の受賞者の特集が組まれていた。 NEFはアメリカの国立芸術基金という機関が主催する賞で、長年にわたってジャズに貢献してきた人物を顕彰する制度だ。 いわばグラミー賞のホール・オブ・フェイムみたいな賞だろう。 1982年に始まり、2007年度は秋吉敏子も受賞している。 2007年度の受賞者はディー・ディー・ブリッジウォーター、アイラ・ギトラー、ディック・ハイマン、ロニー・スミスの4人。 評論家のアイラ・ギトラーが入っていたり、過去にはオリン・キープニュースが受賞しているところをみると、広くアメリカのジャズ界に貢献された方が対象のようだ。 受賞者の中に、私がずっとフォローしているホランドが含まれているので、曲をチェックしたら、AZIZAといアルバムからの曲が流れていた。 アルバムのタイトルはグループの名前で、ホランド、クリスポッター、エリックハーランドという長く共演しているメンバーにリオネル・ルエケの超強力なギターが加わったグループ。 ルエケの参加により、サウンドに厚みが出て、音楽的にもバラエティに富んだ選曲で、一作目だが、このグループは正解だったと思う。 ホランドは1946年生まれなので今年71歳になるが、この年でも相変わらず先鋭的な音楽を演奏していることに心から敬意を表したい。 ポッターの切れそうなテナーのサウンドははあまり好きではないが、今回は凄まじいアドリブ・ソロで、サウンドの不満が帳消しにされた。 ソプラノは、全く違和感がない。 不満があるとすれば、ホランドのべースが目立たないことくらいか。 今回のアルバムはラテンとアフリカのフレーバーが強く、事実上のリーダーがホランドとすると、今までになかった肌合いのアルバムになった。 ダークなサウンドで、重量級バンドの凄みが感じられる。 冒頭の「Aziza Dance」ではルエケのギターの多彩なエフェクトが楽しめる。 「Summer 15」はカリプソで、最初聞いた時はこのグループには合わないと思っていた。 ところが何回か聴いているうちに、あわないどころか、カリプソでこれほどの重量感のある演奏は聴いたことがないほどだと思ってしまった。 「Blue Sufi」はエキゾチックなポッター作の曲。 ハーランドのドラムスが全編暴れまくっている。 他の曲でもドラムスはかなり表に出ているのだが、不思議とうるさく感じられない。 音楽と一体化しているからなのだろうか。 バラードの「Friend」はポッターのソロがほとんどで、ホランドの短いソロが入る。 後半、熱を帯びて高揚するところがいい。 最後のルエケ作の「Sleepless Night」はアフリカン・フレーバーの土俗的な曲でギターとテナーの掛け合いが楽しい。 特にエフェクタを駆使したギターのサウンドがいい。 ルエケのヴォーカルが入ると、さらにアフリカ色が強くなるところもいい。 ということで、これほどのアルバムにはめったにお目にかかれないことに気がつくのに、さほど時間がかからなかった。 AZIZA(Dare2 records DR2 009) 1.Lionel Loueke:Aziza Dance 2.Chris Potter:Summer 15 3.Dave Holland:Walkin' the Walk 4.Eric Harland:Aquila 5.Chris Potter:Blue Sufi 6.Dave Holland:Finding the Light 7.Eric Harland:Friends 8.Lionel Loueke:Sleepless Night Dave Holland (b) Chris Potter (ts, ss) Lionel Loueke (g, vo) Eric Harland (ds) Recorded 7th-8th September,2015 at Sear Sound,NYC

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