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カテゴリ:映画
クリント・イーストウッド監督主演の新作「運び屋」を観る。 公開2日目の初回。 地味な映画だが、入りは上々でクリント・イーストウッドという信頼できるブランドだからだろう。 当ブログもそのひとりだ。 原案は『ニューヨーク・タイムズ』のサム・ドルニックの記事「The Sinaloa Cartel's 90-Year-Old Drug Mule」で、80歳代でシナロア・カルテルの麻薬の運び屋となった第二次世界大戦の退役軍人であるレオ・シャープの実話に基づいている。 話はデイリリーという1日しか開かない花に情熱を燃やすアール・ストーン(クリント・イーストウッド)が、ネットの台頭で種が売れなくなり、店は潰れてしまう。 その後、ひょんな事から麻薬の運び屋を始めるというもの。 メキシコから車でイリノイ州まで麻薬を運ぶという仕事で、彼は1回も違反したことがないという事で選ばれた。 その後、麻薬捜査官が登場して、最後はお縄になる。 それだけだと面白い話にはならないが、アールと家族との確執や、麻薬捜査官コリン・ベイツ(ブラッドリー・クーパー)の家庭での悩みなどが描かれていて、物語に厚みをもたらしている。 お決まりの結末になるが、最後のシーンは本来の自分に戻ったアールの姿が描かれていて、心打たれる。 傑作なのは描かれているアールのチャラクター。 車を運転していて、ラジオに流れている曲を一緒に歌う陽気なところや、若い女性を好むところなど、実物がどうかはわからないが、なかなか魅力的な人物像に仕上がっている。 イーストウッドの演技は枯れているが、時に退役軍人の気骨が出ることがある。 アメリカの退役軍人はこういう感じなのだろうと思う。 麻薬捜査官コリン・ベイツ(ブラッドリー・クーパー)は終始クールで、アールを追い詰めていく部分も、それほど緊迫した感じはない。 メキシコ・マフィアは、いかにもという感じの人たちで、若い女性てんこ盛りの豪華なパーティは目の保養になる。 実話では運び屋をやっていたのは2009年から2011年と、つい最近お話だが、町並みなどを見るともっと前のストーリーのような感じになっている。 実話通りの年代だともっとシリアスなドラマにするしかないので、この設定でよかったと思う。 音楽はキューバ生まれの有名なジャズ・トランぺッターのアルトゥーロ・サンドバルが担当している。 本職のトランペットは新装なった退役軍人のクラブでの女性ミュージシャンが吹くトランペットの吹き替えぐらいだろうか。 この女性はトランペットと、サックス、キーボードを演奏していて、片手でトランペットを吹きながらキーボードも演奏するというスーパーなミュージシャンだった。 確かポルカ・バンドと呼ばれていた気がするが、ネットには載っていなかった。 ただ、いろいろな情報からアコーディオンを中心に、バンジョー、ドラムなどの楽器に管楽器とヴォーカルが加わったバンド形態のようだ。 ポルカというくらいなので、チェコの音楽なのだろう。 こちらにサンドバルがこの映画の音楽を手がけた経緯や、詳しい内容が書かれてあり、とても参考になる。 それによると、サンドバルを描いたテレビ映画「さらば愛しのキューバ」で、サンドバルを演じたアンディ・ガルシアの紹介でクリントに出会い、ピアノで2,3曲弾いたところで、音楽を依頼されたとのこと。 ガルシアは「運び屋」では麻薬組織のボスを演じている。 サンドバルにとっては「さらば愛しのキューバ」に続き、「運び屋」が2作目の映画音楽に当たる。 マフィアのパーティーでのマリアッチなども彼の手になる音楽。 作曲者の個性が全面に出てくるのではなく、既存の音楽のように聞こえるところが、彼の独特な個性なのかもしれない。 なお、トレーラーではラフマニノフのパガニーニ変奏曲の18変奏曲のフレーズが流れていたが、映画で聞こえていたか覚えがない。 当ブログの耳の具合が悪かったためかもしれない 公式サイト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019年03月13日 15時59分36秒
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