未来のためのミュージックギフト with 宮川彬良×オオサカ･シオン･ウインド･オーケストラ

大阪市音楽団（シオン）のコンサートを聴く。 指揮は宮川彬良。 30分ほど前についたのだが、いつも使う駐車場が満杯。 仕方がないので市営の駐車場に行ったのだが、ここも駐車待ちの車が行列している。 よくよく考えたら、シオンのコンサートに盛岡三高の吹奏楽部が出演ことに気が付いた。 会場は満員で親と思しき年齢の方々もいる。 シオンは今年が創設１００周年だそうで、「ゲバゲバ30分」でのプラカードを持ったスタッフなど、ステージも趣向を凝らしていて祝賀ムードが漂っている。 プログラムは、前半がポピュラー音楽で後半は「宇宙戦艦ヤマト」の音楽、最後に三高が加わっての宮川のオリジナル「大ラッパ供養」という構成。 編曲はすべて宮川が行っている。 よくよく考えたら、自分で編曲して、おまけに父親の作品を演奏するのだから、とても効率がいいと思うのは下世話な話。 シオンは音量はそれほどでもないが、サウンドが透明で、安定した演奏。 時折出てくる短いソロも安定した出来。 アルト・サックスの田端 直美さんが体をゆすりながら演奏しているのが印象的だった。 ユーフォニウムセクションの豊かなサウンドも良かった。 宮川は指揮専門ではないので、食い足りない部分があるにしても、概ね満足できるレベル。 変にいじったりするところがないのがいい。 例によって宮川の解説を交えながら進行するが、いつもながらの軽妙洒脱な話術と普段聞けない作曲家ならではの技術的な話など、大変興味深い内容だった。 前半はこのまえ宮本大のデュオでの演奏されたルグランの「ロシュフォールの恋人たち」から。 「キャラバン」の中間に「マクサンスの歌」が挿入されていてなかなかしゃれた編曲。 キャラバンでのスイング感が半端でなく、やはりこの曲は大編成での演奏がふさわしい。 「シャル・ウイ・ダンス」でのお話が大変面白かった。 題名は踊りませんかという「お誘い」のことばで、音楽では殆どの曲が半音で表すのだそうだ。 例としてウエーバーの「舞踏への勧誘」や山口百恵の「ひと夏の経験」などの一節が演奏されて、なるほどと思った。 傑作だったのはベートーヴェンの「エリーゼのために」 部屋の片隅でベートーヴェンがいじいじしているという解説には笑ってしまった。 この曲ではジャズやマンボなどいろいろなリズムが使われていて、楽しい編曲だった。 　後半は最初に「宇宙戦艦ヤマトの音楽から」が演奏された。 全11曲で、イスカンダルまでが第1作の曲、残りの4曲は「さらば宇宙戦艦ヤマト」と「宇宙戦艦ヤマト2202」から4曲をセレクトした構成。 聞いたことのない曲もあったが、楽しく聴くことが出来た。 個人的には「イスカンダル」のアルト・フルートと「白色彗星」のおぞましい音楽を期待していた。 フルートと共にテーマを吹くアルト・フルートが編曲上あまり聞こえなかったのが残念。 「白色彗星」はホールにオルガンがないため吹奏楽で代用したとのことだったが、やはりちょっと物足りない。 参考：シエナの「ヤマト祭り」0:40から 最後は「大ラッパ供養」 役目を終えた「ラッパ」達への“供養”をファンクで打ち鳴らすというもの。 リヒャルトシュトラウスの「ツァラトゥストラ」を思い出させるトランペットとトロンボーンのファンファーレに日本風のメロディーが加わる。 これが曲の初めと終わりにあり、途中からテンポが上がって激しいファンクが繰り広げられる。 CDを聴いてみたが、今回のほうがテンポが速く、熱気も勝っていた。 三高は総勢45名ほどで、オケピットを少し下げて、そこに陣取っていた。 和太鼓4名は舞台後方に配置されていた。 彼らは、そろいの法被を着て、音もそろっていて好演だった。 　ところで、マスクをしろという指示はなかったので、マスクなしで鑑賞。 最近スーパーなどにもマスクなしで行っているが、マスクをしないお客さんは殆どいない。 なので、却ってマスクなしのほうが肩身の狭い思いをしている。 早く、昔の日常が戻ってくれればと願っているが、しばらくはかかるだろう。 未来のためのミュージックギフト with 宮川彬良×オオサカ･シオン･ウインド･オーケストラ 1.M.ルグラン:ロシュフォールの恋人たち（） 2.宮川泰:ゲバゲバ90分 3.竹内まりや【不思議なピーチパイ〜駅〜恋の嵐】 4.R.ロジャース:シャル・ウィ・ダンス？（） 5.宮川彬良:アニメ「星のカービィ」から「強いぞ星の戦士」 後半 1.宇宙戦艦ヤマトの音楽から（宮川泰・宮川彬良） 2.宮川彬良：大ラッパ供養（2009） アンコール 1.宮川彬良:マツケンサンバⅡ 2.宮川泰:ゲバゲバ90分 Osaka Shion Wind Orchestra 岩手県立盛岡第三高等学校吹奏楽部（大ラッパ供養、アンコール） 宮川 彬良 日時：2023年3月25日(土) 盛岡市民文化ホール 大ホール