カテゴリ:映画-欧州
「バクダット・カフェ」、いつもこのブログを見てくれているひとみさんが、「You can count on me」のコメントの中で好きだと言ってた映画です。
あの後さっそく見てみたんですが、その資料を捜していた時に「ドイツでのシーンを含んだ完全版がある」ってのを見て、ぜひそれを見て評論しようと決めたのでした。 で、ようやく「完全版」を某レンタルショップで見つけました。 が、見てショック・・・私の見た「完全版」には「ドイツでのシーンがなかった!」です。 私が見たのは、ビデオ版の完全版。DVD版じゃないとないのかなあ・・・でも、これ以上遅くなるのも何だし・・・で、気を取り直して評論します。 ストリー Amazon.co.jpより 舞台はアメリカ西部、モハーベ砂漠にたたずむさびれたモーテル「バグダッド・カフェ」。そこは日々の生活に疲れきったモーテルの女主人や、日夜遊びに明け暮れる娘、売れない画家、ピアノの弾けないピアニストなど、うだつのあがらない人々が集う場所だった。そこへやってきたのがドイツ人のジャスミン。彼女の出現は、徐々に周りを変えていく… 舞台はルート66沿いのモハベ砂漠のオアシス、ニューベリースプリングスの町にあるとあるカフェ。埃っぽい黄色一色の画面なのに、渇いた心がじわーっと満たされるように、幸せな気分にしてくれる映画。 何でだろう、不思議な映画です。 考えてみるに、この映画では「否定」がないのですね。みんな肯定です。 最初はいらついて荒れていたカフェの主ブレンダも、ジャスミンの姿にだんだんと心を開いていくし、ジャスミン自身も初めの頃は自分のことを「ジャスミン」と呼ばれたら「ムンシュテットナー」と言い直していたのが、ある時を契機に自ら「ジャスミン」と名乗るようになってくる。 それは「肯定」の先にある「受容」なんだろうと思うのです。 ラストシーンでジャスミンが、画家コックスのプロポーズを受けるシーンでの「イエス」の連発。最後だけ「ブレンダに相談してみる」と応えるが、それは最後の最後のご愛敬。 それともう一つは「回帰」。これはブーメランがメタファーとして重要な役割を果たしています。 ビザが切れて国外退去させられたジャスミンが、再びバクダット・カフェへ帰ってくるのはもちろんのこと、ブレンダ一家の家族への回帰=再生、コックスの画家への回帰(ジャスミンを描いた絵はまさしく仏の顔だった)。刺青師の女性が「仲良すぎるわ」と出ていくシーンも、彼女の彼女自身への回帰だ。ふだんはラフな着物を着ていた彼女が、モーテルを出て行くシーンではきちっとしたスーツ姿である。これは彼女自身の回帰から再生へ決意だろうと見る。 それを主題歌「Calling You」が支える。さびの部分が流れる二つのシーン(ブレンダの泪のシーンと黄昏時のシーン)では、切なく心に浸みる。やっぱり名曲だ。 ありのままを肯定して受け入れる。そして自分自身への、また家族への回帰とそこからの再生。 解ってはいるのだが一番忘れがちな部分で、そこを忘れて絶えずいろんな人と衝突する自分がいる。 この映画は、そこを反発することなく再認識させてくれた映画だ。 PS.ところでこの映画はアメリカ映画?それともヨーロッパ映画?私はヨーロッパ映画に分類しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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