カテゴリ:映画-邦画
私が酒井美紀を知ったのは、この「流れ板七人」が始めて。この後に「恋と花火と観覧車」を見て、ますます引きつけられていく。それから一時はずいぶん酒井美紀を追っかけたものだ。もともと私自身ミーハー的体質(?)なので、一度のめり込むと後は泥沼。コンサートがあると聞いては千葉県に行き、「白線流し」のロケ地見たさに松本市まで遠征した。 ストーリー Goo映画 元流れ板で現在は岡山の下津井で小さな料理屋を営んでいる竜二のもとに、東京の老舗料亭“閑日楼"の花板・精蔵から大事な相談があるとの手紙が届いた。それから1カ月後、かつての師の窮地を救うために竜二は東京へ向かうが、彼は調理師紹介所“稲宗"の女主人・きぬから精蔵の死を知らされる。 もっと読む・・・ 酒井美紀はいろんな映画やテレビドラマにでているが、この「流れ板七人」が一番良いのではないかと思う。演技に張りがあり、花がある。なにより「眼で演技」できている。「流れ板七人」が封切られた1997年には5本の映画に出演していて、その他、連続ドラマにも出演している。誤解を恐れず言うなれば、「一番油ののった時期」だったように思う。 残念ながら、早く花が咲きすぎた・・・ようにも思えるのである。 この映画の中で一番好きなシーンは、温泉旅館の板場に行こうとする渡を部屋で待ち止めるシーン。泣きの演技には定評のある酒井美紀だけど、ここでの演技は秀逸だ。「若さって良いなあ」ってつい思ってしまう。 この映画での酒井美紀の演技は、全編を通じてはち切れそうな演技で、それがけっして嫌みじゃない。後年の「HR」(2002-2003年)で見せたコミカルな演技とも違うし、昼ドラの「紅の紋章」(2006年)で演じられた「計算された悲しさの演技」ではない。 映画「流れ板七人」の話に戻そう。 料理映画というとうんちくがつきもの。このうんちくに納得する場面も多いけど、半分辟易する場面も多い。この映画ではその案配がちょうど良い。渡達が塩や昆布を求めて旅するシーンなど、物語を壊さない程度に押さえられていて絶妙だ。 また、適度にスピード感があって、見ている物を飽きさせない。特に料理勝負の場面では、板場の緊迫した様子やお客(ここでは審査員)とのやり取りなどこのスピード感が生きている。 もう一つが脇役の存在。 特にここでのいかりや長介は、美味しすぎるくらいの存在だ。 板場の隅っこで、できたての料理を肴に一杯。「うまいだろうなあ」と映画であることを忘れて、つい箸を出してしまいそうになる。 その他、きぬと精蔵、きぬと竜二、竜二と真澄、花絵を渡、・・・それぞれの人間関係が簡潔に、しかも解りやすく描かれ、物語の理解を助けている。この部分は、説明過多か説明不足かのどちらかに陥っている今の邦画にも、ぜひ見習って欲しいと思う。 大作ではなくどちらかというと小品の部類だが、こんな映画もたまには見て欲しいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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