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2004年07月26日
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テーマ:戦争反対(1187)
カテゴリ:カテゴリ未分類
以下は、「アメリカの保守本流」広瀬隆(著)のあとがきです。

(略)
われわれに必要なのは、このアメリカに追随する日本の軍事外交に大きな疑問を抱くことである。
米軍のミサイル攻撃を受けて逃げまどうイラクの子供たちの恐怖にひきつった表情を忘れることはできない。その子供たちを抱きかかえる母親の姿と、泣き崩れる老母たち。あの人たちは、イラクという土地に生まれただけで、なぜこれほど悲痛な体験をアメリカ人に押しつけられなければならないのか。
その同じ土地で、星条旗を振りかざして戦車の上で歓喜したアメリカ兵は、もはや人間ではない。アメリカがここまで堕落した犯罪国家であることを、いまだ世界の多くのメディアが認識していないのは驚くべきことである。イラクへの自衛隊派遣を可能とするイラク復興特別措置法案は、2003年7月4日の衆院本会議で与党三党などの賛成多数で可決され、小泉純一郎首相ら大半の政治家は、日本の自衛隊をイラク駐留米軍の従属部隊にしようとしたのである。われわれまでが、ブッシュやラムズフェルド国防長官のように、兵士の命、相手国の住民の命を紙切れとも思わない、精神が乾ききった人間になろうとしている。自ら戦死を望む者を止めはしない。しかし、誰が自衛隊員に人を殺す権利を与えようとするのか。
大半の日本人は、この政治家集団に、自衛隊員を死地となる戦場に向かわせる権限を与えた覚えもなく、自衛隊員が自衛を口実として人殺しをする権限を与えた覚えもない。
(略)
2003年5月には有事法制関連三法案が衆院本会議で可決され、北朝鮮の核疑惑を軸に、日本の軍隊が着々と朝鮮半島有事体制を整えた。有事法制には野党の民主党も自由党も賛成している。
しかし一体、何が有事なのか。アメリカではイラク攻撃を主導したネオコン領袖リチャード・パールが2003年6月11日、「アメリカは、イラクと同じように北朝鮮攻撃も辞さない」と最後の危険な言葉を口にしている。このまま進めば、朝鮮半島の危機論が跋扈するアジアに何が起こっても不思議はない。挑発論を煽るアメリカと日本の国会を、日本人が座視していてよいはずはない。国民のわずか3分の1という小さな支持率しか得ていない自民党・公明党・保守新党の与党三党が勝手に振る舞うに任せて、民主主義国家と言えるはずがない。日本人は目を覚まさなければならない。
ブッシュの飼い犬を演じた小泉首相のもと、次には憲法に手を加えようという危険な最後のスケジュールが組まれている。日本の憲法は、正常の人間の良識があれば、日常われわれの生活には無用のものである。なぜそれが存在し、なぜそれが必要なのか。また、なぜそれを目の敵にする人間がいるのか。
第二次世界大戦で戦争犯罪を犯した末に敗れた日本が、武力の行使と国の交戦権を禁ずる厳しい平和憲法を定めたのは、将来、危険な人間たちが兵器を執って二度と暴走することがないよう、戦争への歯止めとして必要だったからである。したがって現在憲法に手を加えようとする人間の意図は、戦争準備への着手にはかならない。平和な生活を望む人間に憲法が必要なのではなく、戦闘を望む人間の暴走を阻止するのに必要なのが、現存する日本国憲法である。ところが逆に、その戦争待望集団によって、日米ガイドライン→テロ対策特別措置法→有事法制関連三法案→イラクへの自衛隊派遣を可能とするイラク復興特別措置法→憲法改正準備へと、日本は危険な道を着々と進んできた。それは、本書で詳述したアメリカの最も危険なグループと手を取り合って、である。憲法の歯止めを取り去れば、何が起こるかという簡単な答を、日本人は想像できないというのであろうか。敗戦後に危惧された「将来」が、たった今訪れているのである。かつて日本の同胞はナチス・ドイツだったが、現在の日本の同胞はアメリカのネオコンと保守本流である。
(略)
この流れの中で、われわれの不安を一層かき立てるのは、アフガニスタンとイラクを攻撃し、大量の人を殺戮したアメリカの非道な行為が起こされる前に、日本のマスメディアがアメリカの軍事攻撃を婉曲に支援し、一方的な北朝鮮批判に明け暮れたことである。日本のジャーナリズムが、先の一連の法案を成立させた大きな動力でもある。
2003年2月5日の国連安全保障理事会においてパウェル国務長官が「イラクの大量破壊兵器保有疑惑」に関しておこなった演説が、翌月からイラク攻撃に踏み切る最大の理由づけとなった。しかも、本書第1章で述べたように、2月時点でパウェル演説には何も根拠がないことが国際的には明白になっていた。ところが日本の三大紙(朝日・読売・毎日)は、いずれも「推定有罪」、「ほぼ『クロ』になったイラク疑惑」、「疑惑は深まった」と、筋違いも甚だしい社説・論説を掲げてイラクを批判し、あろうことかアメリカとイギリス両政府が捏造したプロパガンダを積極的に支持したのである。テレビ界の論調は、輪をかけてひどいものであった。
そしてこのイラクの大量破壊兵器に対する疑惑が強められて初めて、日本でも針小棒大な北朝鮮危機論が横行する土壌が形成されたのである。アメリカの国民がネオコンに欺かれたと同じように、日本の国民がメディアの論調に乗せられ、その世情を見透かして日本の与党が次々と軍事的性格の法案を通した経過は明白である。
(略)
イラク人が大量殺戮されたあとの6月になって「大量破壊兵器の存在という戦争の大義はどこにあったのか」と、ブッシュを批判する日本の新聞に驚きを禁じ得ない。アメリカを批判する資格が、日本の報道機関にあるとは思えない。毎日新聞の「記者の目」では、──フセイン時代の恐怖政治におののいていた市民ははじけるような笑顔で、米英軍による「解放」を謳歌していた。国際社会の反対にもかかわらず、多くのイラク国民に歓迎された戦争──と、1万人の殺戮という戦争犯罪を讃美する記者までいた。その後イラクで連日発生する反米攻撃を、彼らはどのように説明するのか。
豊かな現代的知識や最新の事実確認手段が目の前にありながら、自らの報道の過ちを反省することもない報道機関がジャーナリズムを名乗っている。軍事的ファシズムの性格を帯びた集団が、国会議員の過半数を頼みとして好きなように作業を進められるのが、現在の日本である。これで、日本全体が第二時世界大戦の愚を再び犯さないと誰が断言できよう。1940年10月12日に大政翼賛会が発足してすべての政党が一体となり、翌年12月のマレー半島上陸、真珠湾攻撃へとまっしぐらに進んだ時、日本の国民は唯々諾々と状況に従っていたが、現在のわれわれも同じようにたかをくくっている。今日のアジアで最も可能性が高いのは、核兵器による大被害ではなく、通常兵器とゲリラ攻撃による、凄惨でとめどない戦闘である。
自衛隊を危険な戦場に手招くのは、巷間言われるようにイラク人の救済や日本の国を守るという大義ではない。この先に待ち受けるのは、本書に述べたアメリカの好戦的集団によって仕掛けられた、偽情報プロパガンダの罠に落ちる日本である。中東やアジアが悲惨な戦乱に巻き込まれるアメリカの戦争である。(略)米軍が「戦争」を口にすれば、大量殺戮兵器を使用し、絨毯爆撃で無辜の民を殺しつくす。
世界を希望ある日々に変えるには、日本は軍事行動の前に、実用化目前の燃料電池による新しいエネルギー革命を成功させればよい。これが家庭から産業界に普及すれば、自然エネルギーを活かして水を電気分解し、水素をエネルギー源として人類は生きられるのである。それは、中東の石油に依存する紛争時代から抜け出し、あらゆる国のエネルギーが自給自足の方向に歩み出す未来である。日本はその技術を発展途上国の国々に輸出し、新しい貿易関係を結べばよい。その暁には、アメリカとの軍事関係から、すっかり手を切ることができるのだ。
これから何が起こるかについては、誰にも予測できない。しかし平穏な明日を望むなら、本書に述べたアメリカの危険な戦術に、われわれが頭と精神を磨いて対抗しなければならないことは確かである。沈黙は金ではない。






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最終更新日  2004年08月19日 03時17分38秒
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