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国家を運営するためには、経済力が不可欠である。経済を担うのは企業である。企業の発言は国家の行方を左右する。経済界の実力者が政治的な発言力を持つのは、その意味で当たり前のことである。日本でも、経団連をはじめとして、政治的な影響力を持つ組織が存在する。
一方、アメリカ合衆国の場合、そこに軍産複合体が介在する。軍産複合体の発言は、そのまま国家の存亡に関わる。下手をすれば、戦争を起こすかどうかまで、左右するのは軍産複合体の意思なのである。 アメリカを動かしているのは、秘密結社フリーメーソンをはじめ、イルミナティ、ユダヤ人、王家クラブ・オブ・ジ・アイルズ、ブナイブリス、薔薇十字団、300人委員会……などとよく噂される。確かに、そうした人間の発言力はある。 だが、現実的に力を持っているのは、軍産複合体である。 事態は、もっと現実的だ。商売である。経済なのだ。世の中で、もっとも高価な商品の取り引きを左右できる組織。兵器を意のままにできる軍産複合体こそ、この地球上でもっとも力をもっているのだ。さらにいえば、軍産複合体を支配する者こそ、アメリカという国家を動かすのである。 軍需産業のトップは、みな世界的な大富豪である。一般庶民が想像を絶するほどの富を握っている。彼らが持っている企業はひとつだけではない。幾多の会社を従えている。軍需産業以外の会社も多数ある。それゆえ、だれも軍産複合体の主とは思わない。普通の企業のオーナーとしてしか認識されていない。 しかし、彼らこそ、アメリカの真の支配者であるといっていい。軍産複合体という組織を画策したのも、彼らなのだ。 彼らは、本来は「表の政府」を補佐するのが目的である。いうなれば、アメリカ合衆国の世界戦略を敏速かつ確実に反映する民間企業の組織だった。何度もいうが、彼らは民間人ゆえ、選挙で選ばれることはない。民間の企業として利潤を徹底的に追求するのである。 「裏の政府」の実体は軍需産業を中核にする巨大コンツェルンで、軍事、情報、金融、鉱物、石油、電脳など、各分野を牛耳るトップメジャー集団の財閥組織であるという。彼らは想像を絶するような資金を右から左へと動かすことができる。これが世界を動かし、結果、政治をも動かすのである。 影の政府の原型はアイゼンハワー大統領が就任する前から存在した。彼らは第2次世界大戦を通して強大な力を持った。戦争に勝ったのは、連中のおかげである。軍需産業があってこそのアメリカ合衆国である。そんな風潮も追い風になった。連中はますます力を持ち、その名称も「影の政府(シークレット・ガバメント)」と称するようになる。 『M-ファイル』によれば、シークレット・ガバメントのひとりは、かの大富豪ロックフェラー。ネルソン・A・ロックフェラーである。彼はロックフェラー財閥の莫大な資金から、ロックフェラー財団を設立。社会事業や国際文化事業に乗りだし、共和党議員および副大統領にもなった。 のちに、CFR(外交問題評議会)やTC(日米欧三極委員会)の理事長を務めたデビッド・ロックフェラーが座り、アメリカにおけるロックフェラーの影響力が確立される。と同時に、世界的巨大財閥ロスチャイルド家も参加。いわば世界最強の組織として、シークレット・ガバメントが歩みだすことになる。 ここで、ひとつ注意を喚起したい。陰謀論において、フリーメーソンだイルミナティだ、ユダヤだといった秘密結社のドンとして、必ずロックフェラーとロスチャイルドの名前が登場する。看板は同じだが、役者は変わらない。陰謀論の本質は同じだ。 しかし、それもまた戦略だとしたら、どうだろう。いろいろな組織や団体に所属することによって自らの所業を隠す。メンバーであることをいいことに、批判を団体に向けさせる。フラタニティーを矢面に立たせることで、自分たちの目的を正当化する。フリーメーソンが悪い、ユダヤが悪い、秘密結社が悪いという言葉が先行して、その本質を見失わせる。これが連中の戦略だとしたら、世の陰謀論者は騙されていることになる。 現実はもっとリアルだ。『M-ファイル』にはすべてが記されている。 シークレット・ガバメントの最高幹部は全部で12人。軍需産業のトップはもちろん、軍部の人間も含まれる。これが奥の院である。人間という存在において、これ以上の組織はない。世界最高権力であるといってもいいだろう。ここでの決定がアメリカ大統領を動かす。ひいては、アメリカ合衆国を動かす。 NSA 1952年、シークレット・ガバメントが表の政府の窓口として、ある諜報機関を設置した。 それは、ほかでもない、「NSA(国家安全保障局)」である。 一般の印象からすると、世界最高の諜報機関はCIAかもしれない。が、はっきりいって、CIAとNSAとでは、子供と大人の差がある。よくNSAは暗号解読や盗聴などを行う機関にすぎないという言葉を聞くが、まったくの認識不足である。というより、それは実態をほとんどわかっていない者の発言だ。世に出た情報をもとにして、NSAをわかったつもりになった人間がいるとしたら、まったくのお笑い草でしかない。 CIAはアメリカ大統領直轄の組織である。表向き、大統領の命令によって動いていることになっている。 ところが、同じアメリカ大統領直轄の機関でもNSAは若干の違いがある。正確に言えば、NSAは軍部直轄の機関なのだ。極端なことをいえば、アメリカ大統領よりも軍部の主張を反映する機関なのだ。ここを忘れないでほしい。 アメリカを支配しているのは、大統領ではない。軍産複合体である。軍産複合体に君臨するシークレット・ガバメントである。 NSAが軍部直轄の組織であるということは、シークレット・ガバメント直轄の機関であることを意味する。 表向きの軍の諜報機関というのでさえ、方便にすぎない。NSAは、ずばりシークレット・ガバメントの機関なのだ。 それゆえ、NSAからの情報は、とてつもない意味を持つ。アメリカ大統領は軍を通して情報を得る権限があるが、NSAを通した情報は、そのままシークレット・ガバメントからの情報である。シークレット・ガバメントの意思はもちろん、いわば命令に匹敵する内容も含むのである。 シークレット・ガバメントの存在そのものは合法だが、ロックフェラーやロスチャイルドらの巨大財閥や各メディアのメジャー企業が軍部と強力な癒着関係にあることは、決して知られてはならないことだった。しかも、アメリカ大統領以上の力を持つなど、民主主義の国家にあって、絶対に表沙汰になってはならないのだ。 つまり、現在われわれが見るアメリカ大統領は、みなシークレット・ガバメントの操り人形にほかならない。大統領がアメリカの最高権力者など、体のいい方便にすぎない。ちょっとでも逆らえば、。最近ではスキャンダルである。クリントン大統領の不倫疑惑など、いい例だ。スキャンダル騒動のあとに、彼が取った行動は何か。いうまでもない。ユーゴスラビアのコソボ空爆である。 アメリカ合衆国の歴史を振り返れば、結局、最後は戦争である。平和が長く続いては軍産複合体は生きていけないのだ。どこかで紛争の火種でもあったら、積極的に介入して、問題を大きくする。これがシークレット・ガバメントのやり方なのである。 以上は、「プラズナー」飛鳥昭雄(著)からです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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