カテゴリ:もう一度観たい・読みたい
一人の作家が連作を書くのとはやっぱり違う味わいがありますね! 誰がどんなお題を次の作家に渡すのか。 それだけでも興味津々だったりするのですが、お題のみならず登場人物や設定なども そのまま引き継がれていたりする場合もあって、そんなときは「おお!」と思いますね。 登場人物や設定をそのまま引き継いだとしても、作家の特徴というか味が異なるというか そういうのが読んでいて身悶えしたくなる程小気味良くて~。 リレー短編集、癖になりそうです。 あとがきを読むと、こういう趣向で小説が書かれることはけっこうあるらしい…。 他にもリレー短編集が出ているなら読んでみたいかも。 このリレー短編集『9の扉』は執筆陣も豪華な顔ぶれ。 9人中未読の作家さんは2人おられて、鳥飼否宇さんと竹本健治さんは柊初、でした。 リレーの醍醐味を味わえたのは 殊能将之さん→鳥飼さん→麻耶雄嵩さん… それから貫井徳郎さん→歌野晶午さん→辻村深月さん(→北村薫さん)のあたり。 いやー、作品を引き継いで書くって難しそうだけどなんでこんなに上手く話を纏められるんだろう。 殊能さんの軽いようで毒の効いている味わいから、鳥飼さんがさらに話を膨らませ 更に麻耶さんが独特の暗さ、人の悪さで物語を締めくくる。くうー…うまいなあ。 貫井さん、歌野さんのあたりもとんでもない方向に話がどんどん転がっていって しかもその転がり方にそれぞれの作家さんの意地の悪い部分がよーく出ていて 読み比べられるのは「もう最高!」という感じがする。 貫井さんが正統派なら歌野さんは遊び心満点の落とし方、というか。 登場人物が重なっているだけに比較がすごく面白いです。 アンカーは辻村深月さん。物語は独立しているけれど、さらりと貫井さん&歌野さんの 作品に登場した人物が姿を見せます。しかもラストは最初に執筆した北村薫さんの物語に 繋がっていくように記されていて。 出だしが北村薫さん、ラストが辻村さん、そして辻村さんから北村さんへバトンが帰っていく…という 締め方はやっぱり「うまい」の一語に尽きます。 中間、あくの強い作家さんが続いた中で、辻村さんの作風は本当に胸に沁みます。 歌野さんから受け取ったお題にひねりを加えて最後「あ!」と思わせるところなんて さすがです。 一人一人、違う作風を持った作家さんが描いているのに全体としてみるとちゃんと繋がってる。 この顔合わせでなければ味わえないだろう、妙味がありました。 <作品紹介>猫」が「コウモリ」を呼び、「コウモリ」が「芸人」を呼ぶ!? たった一言のキーワードが次の物語へと引き継がれ、思いがけない展開を呼ぶこのリレー短編集には、冒険心と遊び心がいっぱい。個性豊かな凄腕ミステリ作家たちが勢ぞろいしたこの本には、最高に愉快な体験がつまっています。豪華執筆人によるチーム力もまた絶妙。「あとがき」までリレー形式にこだわった欲張りな一冊が出来上がりました。収録:『くしゅん』北村薫→『まよい猫』法月綸太郎→『キラキラコウモリ』殊能将之→『ブラックジョーク』鳥飼否宇→『バッド・テイスト』麻耶雄嵩→『依存のお茶会』竹本健治→『帳尻』貫井徳郎→『母ちゃん、おれだよ、おれおれ』歌野晶午→『さくら日和』辻村深月。 柊の読書メーターは→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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