カテゴリ:もう一度観たい・読みたい
人は自分の人生一度きりしか生きられないけど、こうして素晴らしい物語に出会うことで、他者の生き方に触れられる。 そうすることで、改めて自分自身の生き方や考え方を問うことができたりする。 自分自身で見て、経験したことしか実にならないと言いきる人がいるけど、(そういう一面はあるかもしれないけど)柊はそうは思わない。 疑似体験だって、立派に体験の一つだと思う。想像することだって、大切なことだと思う。 本編に負けず劣らず、力の入った外伝でした。 こうして“外伝”として読むと、著者が何故本編のエピソードの一つとしてこれらを描かなかったか わかる気がします。 あとがきで述べられているけれど、「雑と達者」「効果と手抜き」を見抜く目を 著者はちゃんと持っているんだなあ…と思います。 “自分の人生も半ばを過ぎたな…と感じる世代に向けて書かれた…”とありましたが 「秘め事」の最後の文章に柊は涙腺を刺激されました。 上橋さんというと、児童文学者というイメージがありますが、 『獣の奏者』という作品は読む人の年齢を限定しない、 むしろ年齢が上の人を唸らせる作品になっているなあと思います。 外伝では女性二人の人生が語られています。 片方は子供を産むことを選択した女性、片方は産まないことを選択した女性。 恋愛感情とその先に起こりうる選択肢。 不思議なことに、どちらの気持ちもわかる気がしました。 どちらの女性も、自立し、自分の意思をはっきり持っていることが共通していると思います。 どちらがどうこう、というのではなく、こういう生き方もありうるんだと 二人の女性の人生を著者がしっかり受け止めている感じが伝わってきました。 登場人物の恋愛を描いてはいるけれど、どちらも苦しい感情で甘くはなく まさしく「刹那」的だな…と。 これで本当に『獣の奏者』は完結したのだなあと思うと感無量です。 柊の読書メーターは→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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