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hikaliの部屋

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July 18, 2006
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 最近、はてなブックマークで、You Tobu問題が荒れ狂っていて、一応知財の勉強中の身として、いろいろと考えた。

 ■デジモノに埋もれる日々: YouTubeと著作権 - ルール改変を迫るための社会的影響力
 http://c-kom.homeip.net/review/blog/archives/2006/07/youtube_1.html

 ■CNET ついに訴えられたYouTube--動画共有サイトはP2Pの轍を踏むのか
 http://blog.japan.cnet.com/staff/archives/002990.html

■CNET 動画共有サイトYouTubeの成功は一時的なもの--米アナリストが指摘
 http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20156631,00.htm

 

 著作権法の改正やら、なんだか危なっかしい問題が頻発し、セミプロとしては、
「あー、無理です。ベルヌ条約・万国著作権条約を根本からひっくり返しますから。それ行くと、次は特許法になって、400年間ぐらい続いた知財秩序が完全に崩壊しますよ?」 
 と非常に現実的な冷めた視点になってしまう。
 産業革命に続く、情報革命なんだから時代に合った法整備を、と意気盛んに言う人があるが、
「産業革命が1800年に始まったとして、国際的な工業所有権の同意であるパリ条約が1883年ですよ? まだ、インターネットなんて一般に普及するようになって10年強なんだから、あと73年待ちなさい」
 と、冷たく言い放ちたくなる。

 そんなことを考えていたら、You Tubeで著作権者をなだめながら、サイトとして利益を上げ、ユーザも納得し、利益まで還元できそうな方法をひらめいた。非常にシンプルな方法ながら、実はシンプルなだけに、かなり強力な権利になりそうで、しかも、映像シェアサイトでなくても使えそうな方法である。
 弁理士である父に相談すると、
「ああ、おもしろそうなら、特許出願してみたらどうだ? 出願料ぐらい出してやるぞ。勉強になるしな」
 と飼い放しモード。
 これは跡を継いで弁理士になるために勉強中のわたしに、自分で明細書書いて出願しろ、という事を意味するし、書けたら直しぐらいしてやるぞ、という事を意味する。
 聞くと出願は、書類さえかけていればネットでピッと飛ばすだけで、出願料も自動引き落としらしいので、今、わたしが明細書を書けてさえいれば、すぐにでも出願できてしまうことになる。
 あー、うーん。
 出願してみるか。
 いくら儲かって、いくらコストが掛かるのかなぁ、と調べ始める。

 調べ始めるにあたって、とりあえず気になったのが、オーバチュアとグーグルの特許訴訟の和解額。検索エンジン広告の特許をオーバチュア(現ヤフー)が持っていて、それを侵害したグーグルとの裁判が起こり、結局グーグル側が和解金を払って和解をしたのだ。
 CNETで調べると、なんと3億ドル。
 さ、三百億円ですか?! とさすがに腰を抜かし、これは、青色発光ダイオード発明するよりも金になるし、ドリームジャンボの100倍だし、しかも宝くじよりは当たりそうだし、発想2時間なんですけど・・・、時給は・・・、とおののき始めた。
 こうなると気になるのが、かかるコスト。
 最近の特許法の勉強がだいぶ効いてきたのか、条文を見ながら、さまざまな特許戦術を考え始める。
「あー、うーん。アメリカの特許裁判は面倒だからなぁ。適当な会社に特許権は売っちゃうのが手っ取り早いな。国際出願はPCT経由がいいのかな? パリ条約経由がいいのかな。うーん、PCT高えなあ。パリ条約の優先権主張で行くか。そうすると、早期出願公開請求で・・・」
 あれこれ考え始めると、なんとかかるコストは、出願料の一万六千円のみ。
 す、すげー、たった一万六千円の掛け金で、三百億円の夢が見れるのかぁ。
 (注:ただし、本来であれば弁理士の明細書作成費用(二十万ぐらい)がかかる。これはわたしが自前で書くからただなのである)
 これが特許の恐ろしさである。
 よくコンピュータ企業はガレージからいつ生まれるか分からないちっぽけな企業に脅かされるというが、特許は単にちょっと特許をかじっただけの若者の二時間の考察から、最終的には差止請求権で、企業の崩壊にまで追い込まれる可能性すらあるのである。
(オーバチュアがグーグルを潰そうとした場合を考えてみるとよくわかる)

 さて、ちょっと特許をかじった人ならば、このわたしの構築した特許戦術に、特許の審査が入っていないことに気付くだろう。
 そう、入っていない。
 つまり、特許権が発生する以前にうっぱらってしまおうという、非常にセコい戦術構成をしているのだ。権利が発生する以前に、金が入ってくるのか? と思う人もあるだろう。実は可能なのだ。
 実際、父の実務を横で見ていると、特許の審査に入る審査請求を、審査請求の期限ぎりぎりでかける企業が非常に多い。大手ばかりなのだが、そうなのである。特許でないという通知が来ても、その後、意見書、補正、分割、さらに拒絶査定不服審判請求と、セコセコと粘る。どうしてだろうか。

 実のところ、特許のライセンス契約というのは、日本の製造業では特許権発生前に結んでしまうのが通例である。
 これは、技術進歩が早いので、特許権が発生するまでの数年間、何の契約もしないことは、数年遅れた技術で勝負しなければならないことになるし、また、訴えられるおそれがまだないからと言って、他人が特許権を取るかもしれない技術の上に何百億円という製造工場を作り、販売をしてしまうことは極めてリスクが高い。差止請求権を行使されれば、問答無用で工場が水の泡になるし(かなり強力な基本特許なら)、さらに権利侵害分の損害賠償まで払わなければならなくなるので、一発食らえば、倒産騒ぎになる可能性だってある。
 なので、どうしても他人の出願した発明を利用しなければならないのであれば、特許権の発生前に通常実施権を得られるような交渉をしておくしかないのだ。

 わたしは、まだ発生していない特許権の通常実施権を、あらかじめ設定する事なんてできるのか? と思ったのだが、昨日たまたま、弁理士学校の先生に、そのことを聞いてみると、
「ああ、民法の契約自由の原則で行けるんですね。まあ、ライセンス契約の内容にもよりますが、通常は特許権発生前は低いロイヤリティにして、特許権発生後に少し高いロイヤリティにし、もし特許が認められなかったら以後、ロイヤリティはなしって契約になります」
 とのありがたいお言葉をいただいた。
 そう、特許権なんてなくとも、相手がその方法を使わざるおえない時は、交渉次第では、お金がぶんどれるのだ。
 実際、大手が特許権の確定まで時間をかけるのは、このライセンス契約のためだ。
 しかし、伝家の宝刀、差止請求権を行使されたくなかったら、他人の発明を使っている以上、特許権に怯えながらビジネスをするしかない。

 それがもっとも致命的な部分であれば、百億かかったって、惜しくないだろう。
 たとえば、YouTubeをビジネス的に大成功させる方法だったりしたら、YouTubeでなくとも欲しがるだろう。なんたって、YouTubeから大金をせしめることのできる特許なのだから。
 たぶん、ここまで読んだ人はなんて酷いことをするのだろうと考えるだろう。
 そうか?
 YouTubeのためにわざわざ発明してあげているのである。しかも、YouTubeが抱える問題をそっくりまったく解決してあげる発明を。YouTubeは今風前の灯火である。
 その他人の善意の発明をもしロイヤリティも払わず使うのであれば、これこそ社会的常識の欠如といえなくはないだろうか。著作権問題も、これまた同様である。

 さて、書いているうちにマニアックになってきてしまったので、細かな特許戦術に触れることなく終わることにしよう(これをやり始めると非常に長くなる)。
 どちらにしても特許戦術的には話すことができないし(残念ながら)、検証する機会もないと思うし、まあ、うまく権利化できる可能性は1%ぐらいだと思うので、雑感を。

 いろいろと戦術を練るうちに、かなり多彩な戦術を、特許権取得前に行えることが分かって、びっくりした。
 出願だけでも、かなりえげつない戦術が可能になる。
 特許の怖さに、ちょっとわたしもびっくりした。
 ただ、これがないと、文明は発達しないのである。
 まあ、とにもかくにも遊び半分で特許出願だけはしてみようと思う。
 実務をする上での勉強にもなるし、なにより無機的に特許法を覚えても、おもしろくも楽しくもなんともない。あれこれ、まだ見ぬ特許権を夢見ながら戦術を練るのも、特許法に対する理解につながるし。
 YouTubeの将来の心配をするぐらいだったら、その問題を解決する方法を丁寧に考えてあげて、特許出願して、ライセンス料をせしめる方が親切です。
 ちょっと、知恵を絞ればいいんです。
 著作権法を根本から覆そうとするよりは簡単だと思うが・・・。

 






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Last updated  August 29, 2006 01:01:39 AM
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まなかなまなかな@ Re: 三井アウトレットパーク入間へ行ってきた。(01/18) 蘊蓄野郎だな!うざい。
松本智津夫@ 松本智津夫さん 検索ランキング 1位 イシク湖  猛毒…

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