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カテゴリ:鉄道
JRが高速無料化の延期を要望したというニュース。
それに関して書かれていたこと。 「JR東海は税金で作った新幹線で殿様商売してバカ儲け」 とか言ってるのがチラホラいるけど、アホかと。バカかと。 東海道新幹線の建設費は、 「国鉄の自己資金」+「財政投融資」+「世界銀行借款」+「鉄道債券」 で、税金なんてまるで入ってない。 しかも、借入金は全部完済済み。 自分のカネと借りたカネで作って、それで頑張って儲けて、借りたカネは全部返した。 それで儲けちゃいけんならば、全ての民間企業は成り立ちませんが。 税金が入るようになったのは、整備新幹線以降、とりわけ民営化以降。 この虚構は別に東海道新幹線に限らない。国鉄のほとんどの路線は、国鉄の事故資金か借入金でつくられている。 国鉄は国会が決めた投資と収入で運営されていた。 で、いつも、投資額>収入額 で国会が決めてしまう。 当然、この不等式では利益ではなく不足が出る。これは 「足りない分は国鉄の方で何とかしてください。by国会」 というわけで、国の決定に逆らえるはずもなく、国の言うとおり借金をしまくって気づけば世界最悪の赤字企業になった。 ついでに言えば、世界最高の効率的な鉄道会社で世界最悪の赤字を抱えた会社という、良くわからん実態。 まぁ、何を言いたいかと言えば、国鉄は国民が潰したに等しいわけで。 その国鉄の借金を、借金ゼロのはずの東海道新幹線に押し付けられた、という歪んだ事実もある。 民営化直前の帳簿上の価格は、新幹線全体の価格が5兆6500億円のうち、東海道新幹線はたったの4700億円で10分の1にも満たない。 ほとんどが東北・上越新幹線が占めている。 ところが、この10分の1にも満たない資産に対して、割り当てられた旧国鉄債務のJR負担分は、全体の58%である。 つまり、東海道新幹線の運賃には、関係の無い東北新幹線や上越新幹線を建設するための借金が多分に含まれている。ということなのです。 もし、これがなければ、東海道新幹線の特急料金は今より2割以上安くなっているはず。 そして、これらを決めたのは、JR東海ではなく、国会である、ということを知っておくべきです。 殿様商売でもなんでもないんです。 んでもって本題の高速道路の新制度について。 上限2000円制度だそうです。 トラックは5000円だそうです。 現行制度と比較すると、普通車は70km、トラックは120km以上走ればオトクです。 で、平均的な高速道路の利用距離は、普通車は41km、トラックは78kmだそうです。 ちなみに、損益分岐点になる距離を超えるのは、全体の2割くらいだそうです。 8割の人には、オトクどころか値上げです。 おめでとうございます。 そして、財源の手当てもついてません。 アホ太郎とかいうひねくれ曲がった総理大臣の時に税金囲んで用意した割引財源と、道路公団民営化によって確保できた財源が枯渇した瞬間に、割引は維持不能です。 あとは野となれ山となれ状態。 ヤケクソか。それとも見切り発車か。 加えて、自家用車やトラックの利用が急激に増えれば、当然割を食うのは公共交通です。 かつて群馬県では自家用車を優遇しまくった結果、県内のバス路線が壊滅(館林市に至っては路線バスが消える)するという事態が発生しましたが、それの全国バージョンが発生する可能性すらあります。 公共交通を維持するならば、結局のところ税金を突っ込むしかありません。 こうなれば、当然ながら地方の負担が増えます。 維持しなければ生活できない場所は多大に出てきます。 四国では、瀬戸大橋などの連絡橋を通れないような特殊貨物はフェリーに載せるしかありませんから、フェリーがなくなれば四国は、読んで字のごとく、「死国」でしょう。 良く考えられていない政策は、一見良さそうに見えて、あちこちに無駄をばらまいて、結局全体のコストが上がってしまいます。 典型的な愚策です。 私の考えとしては、高速道路の利用料は遠距離逓増制、つまり、遠くに行けば行くほど高くなる、というのが良いと思ってます。 そのかわり、近距離はばかみたいに安くしてやると。 鉄道やフェリーなどの公共交通は、基本的に遠距離逓減です。遠くに行けば行くほど安くなるわけです。 マイカーとうまく組み合わせて、効率的な輸送ができないものでしょうか?? 中長距離は鉄道やフェリーを使い、それらの始発、終点、途中駅からはマイカーやトラック。これが一番効率的な輸送体系だと思います。 それでも非効率なトラックが使われるのは、鉄道やフェリーの定時性が、企業が求める水準に達していない。 それもそのはず、100年前に造られた線路を使って運ぶ鉄道貨物では、現状に合っていないので無理です。それも日本貨物鉄道はほとんどの路線で二種業者ですから、立場も弱い。 逆に言えば、最新の新幹線の水準までに引き上げられれば超効率的。だって新幹線の平均的な遅延は45秒。 自動車では到底達成できない超高水準の定時性。 それまでの政権、今の政権が一向にそういうところに目をつけない。それどころか、鉄道=新幹線みたいにしか思っていない。 なんか、視野が狭いね。 在来線は衰退しようがなんだろうが構わないのか? と思ったら交通基本法みたいなのがようやく出てきたって感じ。 せっかくのインフラなんだから、無料か有料かとか、存続か廃止かとか、そういう話じゃなく、もっとうまく使う方法を考えていただきたい。 そうそう、馬淵とかいう、元国交大臣の脳ミソきんに君は、「今はマイカーの時代。公共交通の衰退は、産業構造の転換。」 などと豪語しておられました。 本当に産業構造の転換でしょうか? 私は、「はじめてのおつかい」という番組で、5歳ではじめておつかいに行く坊やが自動車を運転してお店まで行ったならば、産業構造の転換と認めても良いと思います。 産業構造の転換ってのは、代替が出てはじめて言えるもので、公共交通の代替は公共交通でしかないんです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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