関係力（相対性）経済学RELATIVITY ECONOMICS

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こちらのお金持ちのやることに、理解できないところがある。もっともその理解できないところでずいぶん助かっているのではあるが。

Ｎさんの夫さんのヒアさんは、むだに買いだめしておく癖があるみたい。ぼくが携帯電話が壊れたというと、さっとより新しい型の携帯電話をくれる。ぼくがニコンの小型のデジカメが故障したら、すぐに中古のカシオのデジカメをくれる。それも不調だとわかると、さっとサムソンの真新しいデキカメをくれるのである。Ｎさんによると、どこに隠し持っているのか普段は分からないらしい。不思議な人である。

昨夜、ニックがボーイスカウトの合宿でお泊りである。ずっと前から、Ｎさんがニックが興奮して楽しみにしているのが気に入らない。ニックニック　あなたママーと離れてさみしくないの？　ママー　そりゃ寂しいよ　でもエキサイトしてるんだ！ぼくは、ばっかみたい！と不愉快そうにつぶやくのみ。昨夜は、学校でお泊りの日。夜、クラスのページェントがあって、ニックはウサギ役で出演する。台詞は一言もない。ただニコニコして黙ってぴょんぴょん跳ねるだけ。ナガゼリを吐く優等生が居るのは言うまでもない。それでも、親族は大興奮。夜、こっそりと観にいくらしい。その提案者がいとこの女子大生ナムである。しまいには、祖父のプラサーさんまで、こっそりニックを観にいく親族部隊に参戦していた。ばっかみたい！あ、ぼくはそこまで馬鹿ではない。

昨日、新装開店したシーコン（旧ヤオハン）バーンケ百貨店に行って、ほぼすべての店が開店していたのを確かめた。前日の一昨日、ザモールより高級デパートセントラル・ピンクラオに行っても感じたが、レストラン街が、９割以上日本食堂である。その上、シーコンには、その階にダイソーが大きな店を出していた。ほっとした。ここにくれば基本的に日本のものが安く（約１００円）そろうわけ。その中で「マルガメ製麺　さぬきうどん屋」に入って、早い夕食を摂った。開店第１号のお客ではなかったが、第２だと思う。店員大勢が、しきりに講習を受けていた。日本式に入り口で注文してトッピングを注文し、自分で入れたりしてお金を払って、トレーにうどんを持って席に着く。馴れない客が沢山でるだろうなぁと心配になった。Ｎさんが、スープの美味しさに感動していた。

昨日のメインは、歯医者である。抜糸して１週間。手術の傷口が癒えたころなのに、硬いものが食えない。歯肉に当たって痛いと感じたのである。ドクターアンクルは、カメラの方が顔を一周する新式のレントゲンカメラでぐるりと写真を撮った（ものすごくお金がかかった）。それで仔細に検討した結果、抜歯したがゆえに見えてきた抜歯後の残った歯に問題があり、骨をもう少し矯正する必要があるということが分かり、その手術にとりかかった。また麻酔anesthesiaだ。大丈夫かなあＸ線と麻酔（きっとこのあとの抗生物質）を浴びて。ま、ともかくドクターアンクルに命を預けたのでいまさらジタバタしない。

ドクターアンクルは、Ｎさんと陽気に北海道旅行のすばらしかったことを語り合っていた。Ｎさんは行った事がない。ぼくの心臓医の小笠原先生は北大医学部出身。ＧＲＩＰケララ社の理事長昌が北海道の出身。そういうことは知っている。北海道はスイスに似て、美しいっていうことをドクターアンクルに聞いて、Ｎさんは、ドクター・小笠原！プロフェッサー・ショー！あたしを北海度に連れてってと車の中でずっと叫んでいた。

ドクターアンクルは、治療をしながら、ぼくに、オープン・ユア・マウスを日本語でなんというの？尋ねるので、「口を開けてください」と教えると、しばらく手を休めてタブロイド型の携帯にメモしていた。そしてしばらくして、バイト・プリーズはなんというの？ときく。「噛んでください」と答えると、また手を休めて、入力している。次に、クレンズ・ユアマウスは？という。「ゆすいでください」と教えると、また同じことをくりかえしていた。そして、驚くべき問を発した。「ゆすいで」の「すい」は中国語の水の「すい」か？という。え？ぼくは、濯ぐという漢字を頭に描いたが、もしかして「湯水」なのかもしれないと思い当たって、その旨話をしたが、通じなかったらしかった。もっともぼくの舌が麻酔でもつれていたせいかもしれない。この医者、おれから日本語を覚えながら、治療費もちゃっかり取るという二重取り作戦をするのかな？と思った。美しい看護士も、ドクターアンクルと一緒に、日本語を発音していた。

今日、ＧＲＩＰケララ社タイランド支社の口座を「Siam Commercial Bank」のうちの近く支店に行って開こうとした。たくさん書類を書かされて、ぼくのパスポートから、ぼくの住所を証明する日本大使館からの証明書（これとても高価なもの）も全部そろえて、申請した。女性行員が奥に引っ込んで、上司と相談していたらしい。３０分も待たされた。そして、もどってきた行員の話では、規則によって、明日また来てくださいという。おだやかな性格のＮさんが、珍しく怒った。声こそ丁寧で低いが、長年の付き合いで、彼女は怒ると「ウィッチ」（魔女）になることを知っていた。長々と女性行員に抗議していた。抗議の後ろの方で、「ナム」（水）とか「コーヒー」とかが出てきたので、私たちを散々待たせているのに、コーヒーはおろか水さえも出さないなんて！と怒っていることがわかった。行員は、もうひたすら謝るばかりだった。

車にもどっても、彼女の怒りは収まらない。ぼくは、日本だったら住所確認のためも銀行と自宅との間に手紙の往復があって初めて確認されるので、１週間はかかるよ、明日来いというんだから、早いよという。ここはタイランドよ！と逆切れされる。ぼくは小さくなって「はい」と言うしかない。あたし、あの銀行との取引止めてやる、あたしをＶＩＰ扱いすべきよ、そして、ひかるぅを疑うなんてゼッタイ許せない、チャリティ目的の会社で彼らの要求する書類を全部そろえて提出したのに、信じないのよ!　何を信じろというの？・・・ぼくは、えっと！と思い当たった。あ～～～！彼ら上司も含めて、英語が分からなかったんじゃないの？で、今夜ぼくが提出した種類（全部英語で書かれている）を辞書と首っ引きで読んで、明日手続き完了、とこうじゃない？とＮさんのご機嫌をとった。バカヤロ・スチューピッド！彼女は「ウィッチ」なってしまったので、何をいっても通じなかった。暫定的に、ぼくの口座（カシコン銀行）にＧＲＩＰケララ社（タイランド）のお金を預金したときに、そこの男性行員にＳＣＢの一件の仔細を語っていた。行員は笑って、当行では考えられないことです、即決させていただきます、と言ったので、彼女の「ウィッチ」は沸騰する一方だった。

［写真左端の美しい女性は　子どもたちの先生だという］

追伸：ドクターアンクルについて一言お断りしておく。彼が３本抜歯後に手術をして、問題の根本解決する以外にオプションはないと断定したのは、１０月半ば。そして彼は、ぼくが北海道旅行をしている間に、セカンドオピニョンを求めて、それで納得できたならそちらで治療してもらいたい。ぼくが紹介したのではセカンドオピニョンとは言えないので、有能な秘書Ｎさんとよく相談して決めてくれと言っていた。ぼくは、そういうことはせずに、ドクターアンクルに身を預けた。