3313346 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007.04.01
XML
カテゴリ:ヒラカワの日常
一昨日は、
国土交通省に呼ばれて、
日本の街づくり事情、および日本の将来に関する意見を述べよという御下問があった。
俺と、もうお一人は、ハーバード・ビジネス・スクールの
日本リサーチ・センター長の江川雅子さん。
最初に彼女が、丁寧かつ見事なプレゼンテーションをし、
続いて俺が、前日の深夜につくった二枚のメモで
一席うかがう体の小話。
江川さんは、ソロモンとUSBウォーバーグで15年のキャリアを有する
ばりばりの金融リサーチャーから転進された方で、
きっと強面のグローバリストで、市場原理主義者で
「こりゃ、喧嘩しなけりゃならねぇのかな、難儀だなぁ」と思っていたが、
冷静に日本のコミュニティを分析されており、
温厚で他人の声に耳を傾ける余裕をお持ちの、悠揚せまらぬお人柄。
驚いたのは、彼女が、多様性、柔軟性、自律性という三つのキーワードで説明した
コミュニティ論は、ほとんど俺が言いたかったことだったことであった。
勿論、細かく詰めていけば、議論が角逐することもあるだろうが、
これまでお会いしたどんな金融セクターの論客よりも
人の話に耳を傾ける準備が出来ておられる方であった。
まず、これだよね。
国土交通省の人選に感謝。
俺の方は、即席で準備した
アース・ダイバー@中沢新一と、宇沢弘文&ジェイコブズ
からいくつかの文章を引用して、
開発もいいが、経済合理性だけで押してやっていくと
最終的には、規模とスピードだけを追求するかたちにならざるを得ず、
地域が持つ多様性といったものを根こそぎにしてしまうとの自説を展開した。
大切なのは鳥瞰図的なゾーニングプランではなくて、
土地の古層にまで届くフィールドワークです。
開発者は、誰もそれをやろうとしていない。
そして、さらに重要なのは、右肩上がりの経済成長路線には
限界があるということ、グローバリズムはその限界を隠蔽するシステムとならざるを
得ないことなどを、ご説明申し上げた。

翌日は、神戸から
馥郁たるおんな編集人青山ゆみこ女史と、
世界一の朝飯の北野ホテルの支配人、永末春美女史(上品!)が上京された。
「そんじゃ、築地の場内で寿司でも食いましょう」ということになった。
目指していた寿司屋は二軒だったが、どちらも長蛇の列。仕方なく
もうひとつの「磯野屋」でサービスランチをほおばる。うまい。
その後、月島へ移動して、もんじゃとビール。うまい。
仕上げは、東京駅近くのブリジストン美術館でジャコメッティの彫塑を見て
カフェで煙草なしのコーヒーであった。
次回は是非、新宿末広亭にてお会いしましょう。
なんだか、女性ばかりが生き生きしている今日この頃である。

さて、夜は武蔵小山アゲインにて、
待望の上野茂都ライブ。
「今日が人生の頂点」と上野さんが言うほどの入りで
じっくりと、10曲ほどの上野節を聞かせてくれた。
俺は全身煮込み状態で、
この超絶技巧自己相対化(わかるよね)の世界に浸っていた。
いいねぇ。幸せだねぇ。
この日のために、アレンジしてくれた「煮込みワルツ」は圧巻。
〆は、「京葉水滸伝」。途中には、講談調の露伴朗読。
うーん。
「名人小さんと同じ時代に生きている我々は幸せ」といったのは漱石であるが、
上野茂都と同じ空気を共有できた参加者は
同じような気持ちになったのではないだろうか。
希望を語らない。夢を語らない。自分を主張しない。欲しがらない。
勝ちよりは負け。富よりは貧。満開の桜よりは、散りかけの一枝。
上野茂都の世界には、確かな肌触りがある。
皆が帰った後、
麒麟山の吟醸を傾け、佃で買ってきた佃煮をつつきながら、
少し言葉を交わす。
これ以上ない、贅沢でせつない夜であった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007.04.01 23:52:43
コメント(1) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.