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カフェ・ヒラカワ店主軽薄

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

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2007.04.09
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カテゴリ:ヒラカワの日常
日曜日も、まるは朝六時には
俺を起こす。
(お前には休日ってものがないのか)
家の周りを一回りして、恒例の脱糞&マーキング。
それから、うれしい二度寝。
昼過ぎに起き出して、
まるを連れて近所の学校へ。
選挙があるから、
義務を果たしに行くのである。
運動場にまるを繋いで
投票所で、投票を済ます。
結果は、皆様ご存知のとおり。

今回の選挙は
まったく、見るべきものがなかった。
結果は最初から明らかだったからね。
若尾文子さんのご尊顔をテレビで拝見できたのが
唯一の救いだった。
若かりし頃の彼女が、どれほど輝かしい存在だったかを
知っているものにとっては、
美しく年老いた彼女を見るのは救いである。

東京という街は、
資本主義が行き着いた欲望の楽園で
ここから何か新しいものが始まる(=生産される)なんていう
期待は持たないほうがよいのである。
政治的にも文化的にも、
ただ消費されるだけの場所だからだ。

石原慎太郎氏は、
今回は自戒と反省、ソフト路線で選挙を戦って
勝利したが、彼の本質であった超国家主義者としての
面目もまた、この東京で消費され、
いまやただの夜郎自大で時代錯誤の老兵である。
左右のイデオロギーは、もはや消費されつくされて
倉庫の奥に捨て置かれた不良在庫でしかないのである。

かれの中に、
行動力があるとか、分かりやすい、見栄えがする
なんていう指標しか見ずに投票する無党派、
政治的無関心の若者たちが、
かれに投票するというのもまた、
消費化、都市化の必然だろうと思う。

消費資本主義が中心的に推し進めているのは
交換スピードの促進である。
投下資本は出来るだけ早く回収されることを望むし、
市場の商品棚は、いつも新しい商品が陳列されなければならない。
回転を早めることで、
利潤を積み上げてゆく。
そのために必要なことは、
商品比較が容易で、わかりやすいこと、
標準化されていることなのである。
大きいか、小さいか。速いか、遅いか。新しいか、古いか。
強いか、弱いか。といったような二項対立的な分かりやすさがなければ
商品は特別な鑑識眼を持った人間が現れるまで
陳列棚に放置され場所代を払うだけのコストでしかなくなる。

さらに、この差別指標が示しているのは、
二項対立ですらない。あらかじめ、
大きい、速い、新しい、強いということが
専一的な価値として決められているからである。
それゆえ、一極集中はさらに進み、
都市内の南北問題、つまりは格差もさらに進み、
文化的な非対称も極限まで進むことになる。

市場は一見、多種多様な商品が百花繚乱の様相を呈しているかのようだが、
実は、そのすべてが単一の尺度で測られるような
単純明快な品物ばかりである。
そうなると、差別指標は、
ただ、「量」的なものだけに単一化せざるを得ない。
大きいか、小さいか。速いか、遅いか。(以下同文)
そして、ただ相対的な大きさ、速さ、強さだけが
勝敗を決するという結果になる。

これが、悪いといいたいわけではない。
都市化、消費化の自然な過程だといいたいのである。
今回の選挙とは、そういう空気が支配的な中で行われた
選挙であった。
そして、より大きな絵を描き、より大きな態度をして、より強そうな
石原慎太郎氏がこの都市化を代表するプランナーとして
選ばれたということである。

情報の公開やら、福祉政策といった対蹠的な政策は
やったほうがいいに決まっている政策である。
だから、それもまた差別指標にはなりえない。
誰が、より早くそれをやるかといったスピードの問題に
還元されてしまうのである。
したがって、ポスト石原もまた、
選択肢は限られてくる。
石原よりもより大きく、より強い人間が現れるか、
あるいは、こういった都市化、消費化のフレームワーク自体を
書き換えるような人間が現れるかである。
しかし、後者である可能性は大変に低いといわざるを得ない。
多くの人間が、
交換スピードの促進、消費の拡大という
フレームのなかで考え、それらが作り上げた言葉で
思考することに慣れきってしまっているからである。

だからといって、未来が暗いということではない。
暗くもなければ、明るくもない。
ただ、分かりきった未来というものは、
それが、どんなに光り輝いていたとしても、
退屈だろうと思うだけである。





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最終更新日  2007.04.09 13:46:07
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