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テーマ:お勧めの本(7231)
カテゴリ:★★★★★な本
『ゆれる』で世界的な評価を獲得し、今、最も注目を集める映画監督が、日常に潜む人間の本性を渾身の筆致で炙りだした短編集。『ディア・ドクター』に寄り添うアナザーストーリーズ。 <感想> ★★★★★ 本書は現在、公開されている『ディア・ドクター』の監督西川美和さんの直 木賞ノミネート作品です。 一部では映画の原作本的ないわれ方をしてい ますが、あとがきにもある通り映画製作の過程で取材した地域医療をテ ーマにした短編集です。 映画に関連づけるなら映画製作の副産物的な 作品というべきだと思います。 さて、本書に収められているのは5つの短編です。 直木賞候補になりましたが、どちらかというと純文学色が濃いように思い ます。 地域医療に携わる医師を描く『ありの行列』『満月の代弁者』は死 を静かに語りかけてきます。『ディア・ドクター』は医師である父とその兄 弟の葛藤を描いています。 いずれも静かにとても静かに登場人物の日 常を切り取っています。 しかし、なんといっても秀逸なのは『ノミの愛情』 と『1983年のほたる』です。 この二作品に関しては参りましたのひと言に 尽きます。 個人の好みもあると思いますが、誰が読んでもこの二作品の 巧さは感じ取れると思います。 昨今、文学畑以外の方々がベストセラーを出したり、芥川賞候補になった り受賞したりしていますが、その話題性やデビューの過程などを踏まえる と、ちょっと色眼鏡で見てしまいがちです。 この人は作家としてホンモノだ ろうかと・・・。 しかし、映画監督西川美和は作家としてもホンモノっぽい! そんなことを思わせてくれた一冊でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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