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カテゴリ:★★★★☆な本
日露戦争直後、北アルプス立山連峰の劒岳山頂に三角点埋設の命を受けた測量官・柴崎芳太郎たちの困難を極めた記録を描く山岳小説 <感想> ★★★★☆ 本書は浅野忠信さん主演で公開中の「劒岳・点の記」の原作本です。 映画を見に行こうかなぁ~と思っていましたが、リンク先の方の感想を 拝見して読んでみました。 観光で山に行くとロープウェイやら巨大ダムがあったりします。 その たびに思うのは、こんな山奥になんでこんなモノが??です。 資材や ら工事をする人たちとか・・・それは現代のオーパーツなのではないか などと考えたりします。 さて、本書の舞台は日露戦争直後の明治末期。 死の山と恐れられ、 当事未登頂だった剣岳に地図(測量)の基本となる三角点を設置する 男たちの話です。 山の正確な標高や位置を確定する三角点の設置 は地図の基本で、この三角点が基になって巨大ダムやロープウェイの 設計も可能となるわけです。 軍部の威信をかけて死の山に登頂することになる測量官のプレッシャ ー、登坂路のない急峻の山を登頂する困難さなどが、山岳小説の白眉 と言われた新田次郎の筆で的確に描写されています。 さらにつけ加え るなら随所にちりばめられている山岳信仰の織り込み方が秀逸です。 「・・(略)・・だがそのような測量隊の苦労話は誰も知らない。 地図などというものは、山の中をごそごそ歩いている間に自然に出 来てしまうものだぐらいにしか世間では理解していない・・(略)・・」 この作品を読んだ後、地図を見る目が変わったのはいうまでもありま せん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.08.09 17:39:29
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