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昼ドラHolic ~美しい罠~

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October 6, 2006
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カテゴリ:昼ドラ
テラスで類子は不破に挨拶をした。
不破「お前は・・・あのときの」
類子「あのときのシャンパン、美味しかったですわ」
不破「シャンパンの事なんか言っとらん!お前、私を誰だか知っているのか」
類子「ええ、もちろん。不破恒大さまですわね」
不破「なら、何でもっと早く来ん!」
類子「何故って・・・今朝まで別の患者さんを診ていたものですから。
本当はここに来るつもりは無かったのですが、東北医大の小谷教授に言われてしかたなく」
不破「しかたなく?私は他の患者とは違う。なんなら、通常の10倍費用を払おう。前金でだ」
類子「そんなお金いただく気はありません。時々いらっしゃるんです。
金なら出すから特別扱いしろとおっしゃるワガママなお客さん。
それだけお金を出されるならいくらでも他の看護師さんが付かれるんじゃないですか?」
不破「その通りだ。悪いがあんたは気に食わん。帰ってくれ!」
類子「貴方の方から断らなければ私のほうからお断りしていますわ。では」
類子は計画通り不破に盾を突き、山荘を出て行った。

不破「何だあの女は!わしをワガママ扱いしおって」
槐「別の看護医師を頼みましょうか」
不破「いいから待て。あの気取った女に金の力を思い知らせてやろうじゃないか。
俺は今までご立派な信念の持ち主が、
2倍3倍の賄賂の目の前でその信念を変える姿をイヤと言うほど見てきた。
それが人間だ。あの女にも必ず欲がある。俺はその化けの皮を引っぺがしてやる。
ワクワクするだろう!・・・早く連れ戻せ!」

読み通りだ。俺の作戦は間違っていない。
この展開をずっとあの黴臭い地下室でシミュレートしてきた。

玄関から出ると、類子が木の陰に隠れて待っていた。
類子「その様子じゃ思惑通りのようね」
槐「当然ですよ。ああいう男にも弱点はあるんです」
類子「徹底的に逆らうこと。決して媚へつらってはいけない」
槐「その通り。金の力に屈しない、人間としての誇りを失わない人間を彼は無意識に求めている。
他はみんな彼から利益を引き出そうと、彼のワガママを我慢する連中ばかりですからね」
類子「そこまで彼を理解している貴方が永久に妻にはなれないなんて、ほんと皮肉ね」
槐「だからあなたと手を組んだ。ここから先は正に敵の懐。油断は禁物です」

俺は類子を不破の元へと連れて行った。
類子は予定通り絶妙なタイミングで看護師として働くことを承諾し、
千津さんに亡くなった不破夫人の部屋へと案内されていった。

夜。
ワイン蔵で偶然千津さんに会った。
「聞いてくださいよ沢木さん!もう、いくら看護師だからって生意気だわ!」
槐「どうしたんです」
千津「ビーフカツレツは油で揚げるなとか、デザートは半分にしろとか。
なんで今日来たばかりの人に指図されなきゃならないのよ!」
槐「千津さんも言われましたか。私には、週2回お酒を控えろと」
千津「そんな・・・だんな様が納得するはずないわ!私は15年もだんな様にお仕えしてるのよ。
だんな様の体のことなら誰よりもわかってる。私の立場が無いわ!」
槐「あまり目に余るようなら私がだんな様に言いましょう。
小谷先生の紹介とはいえ、看護師の一人くらいすぐにクビに出来ますよ」
千津「そう言っていただけると嬉しいわ。あなたもずっとだんな様のお気に入りだったものね」

お気に入り、か。
・・・違う。不破は自分の言いなりになる人間が欲しかっただけ。
そう、言いなりになって、殴られても文句を言わない人間。
しかしあいつが真に欲しているのは、そんな人間ではないことを俺は知っている。

類子は今頃、不破夫人のベッドでご満悦だろうか。
調度品の美しさ、家具の豪華さに目を輝かせているだろうか・・・

翌日。類子とワイン蔵で落ち合った。
朝の不破の検診を終えた類子は、不破に胸を揉まれた事、
そしてそれをはねのけた事を自慢そうに話して笑顔を見せた。
類子「どんな気難しい男かと思ったら結構なスケベ親父じゃない。
キスでもしてやれば簡単に落ちそうだわ」
槐「それは危険だな。体を許せばたちまち捨てられる。今まで沢山の女がそうだったように。
あなたの役目は彼の愛人になることじゃない。妻になることだ。くれぐれもお忘れなく」
類子「分かってるわ」

昼食を終え、テラスのリクライニングチェアで読書をしながら不破が言った。
不破「思ったほど、大きくなかったぞ」
槐「は?」
不破「あの看護師の胸を揉んでやった。あんなにカリカリしてるのは欲求不満だと思ってな。
しかし、あんなに気が強くてもやはり女だ。一瞬、身を固くしとった」
槐「それは結構な事で。・・・愛人になさるおつもりですか」
不破「素直じゃない女をわざわざ口説くほど俺は女に不自由しとらん!
・・・なあ、沢木。あの生意気な看護師が羞恥する顔を見たいと思わんか?」
槐「と、仰いますと」

俺は不破に言われた通り、小型カメラを4個、類子の部屋に取り付けた。
扉を正面から見る位置、バスルームに繋がる扉が見える位置、ベッドを見下ろす位置。
そして逆方向からベッドの上半分が見える位置・・・
それぞれに位置する調度品に見えないようにカメラを仕込む。
最後のカメラを設置して部屋を出ようとすると、扉の外でニヤニヤと笑っている草太に出くわした。
槐「こんな所で何してる?」
草太「それはこっちのセリフでしょ、槐さん。
覗き見なんて、そんなえげつない趣味が槐さんにあったなんて。思ったより女に飢えてるんだ」
槐「残念ながら、飢えてるのは俺じゃない」
草太「ふーん。じゃ、飢えてるのは旦那さまか。いくら金があっても、年を取ると悲惨だね」
・・・お前は若いんじゃない。ガキなんだ。
俺は「若さ」と名のいう無知に嫌気が差していた。
同属嫌悪と言われても仕方ないとも、ある意味思えるが。

不破家の夕食。目の前に出されたローストビーフを見て不破が怒る。
「たったこれだけか!夕べのカツレツだって、何だあれは!
いつから俺は美味しい肉を食えなくなったんだ」
皿を持ってきた千津さんが、困り果てた顔で不破の横に立っている俺を見る。
そこに類子が入って来た。
「健康のためには動物性脂肪を控えた方がいいですわ。
そのローストビーフがお気に召さなければ、魚料理をお持ちします」
皿を提げようとした類子の手を不破が「待て」と掴む。
「俺が何故肉を食うか分かってないな。肉は口で食うんじゃない。金で喰うんだ。
金を出せるやつだけが上手い肉を食えるんだ。
だから誰がなんと言おうと、俺は一日三度三度、肉を喰うんだ!分かったら口出しするな!」
類子「・・・分かりました。では、少々お待ちください」
類子がダイニングルームを出て行くと、不破が俺に言った。
「どうだ。たまには怒鳴ってみるのも効果があるだろう」
槐「だとよろしいのですが」
そこに類子が戻ってくる。
戻ってきた類子の手には、金箔を載せたローストビーフの皿。
不破「何だこれは!!」
類子「ご覧の通り、金箔ですわ。
これならあなたのその理解しがたいお金に対する執着心も満足するでしょう。
古くから金箔には血液をきれいにする効果があると言われていますし」
俺は思わず吹き出しそうになるのを必死に我慢した。
不破が俺に背を向けていたのが幸いとしか言いようがない。
・・・この女、思った以上の上玉だ!
意地になって金箔ステーキを頬張る不破を見て、俺と類子は目を合わせて笑いをこらえた。

不破の部屋に向かうと、中から敬吾が飛び出して来た。
手には猟銃。
槐「どうかしましたか?」
敬吾「2階で女狐を狩るつもりが、熊が出てきやがった」
この男が不破も類子も狩れる玉ではないことは、俺が一番よく知っている。
その悔しそうな表情では、きっと不破に叱責されてすぐに逃げ出したんだろう。
敬吾は言う。
「それはそうと、今夜俺と一緒に東京に来てくれ。例の集まりがあるんだよ。
折り入ってお前に話したいこともあるしな」
俺の肩を抱いて言う敬吾。こうやって敬吾が甘えるときはロクな事がない。

・・・気分屋のこいつにつき合わされるのは、もううんざりだ!
気分のいい時だけ子供のように甘え、そうでない時は人間扱いもしない。
俺はお前の人形じゃない!

しかし、それももうすぐ終わる。他ならぬ俺と、そして類子の手によって。
そう思えば、今までのように心を殺してあのドラ息子に付き合ってやるのも悪くない。
せいぜい俺を虐げて、死ぬ前に楽しい思い出を作ることだ。

ワイン蔵でシャンパンを選びながら類子の話を聞く。
類子「あれが敬吾。・・・話には聞いてたけど、親子の仲は最悪ね」
槐「ここは元々、都内で貸しビル業を営んでいた槙村という人の持ち物でね。
ある時資金繰りに困って、不破に助けを乞うたのが運の尽き。
あっと言う間に事業は乗っ取られ、美しい娘まで泣く泣く妻にとられることになった。
それが、敬吾さんのお母さんです。
だから父親を恨んでるんですよ。母が早死にしたのも父のせいだって。
おまけに、成り上がり者の父をどこかで軽蔑してもいる」
類子「なんでも人のせいにしたがる甘ったれたおぼっちゃんね。でもおかげで少し楽になったわ。
借金のカタに花嫁をとるような男なら、騙して財産を乗っ取ったところでさして心は痛まないもの」

俺は東京の敬吾のマンションに向かった。また敬吾の悪戯が始まる。
子供の頃からあいつは、俺と立場を入れ替えて人をからかうのが好きだった。
俺が「不破ファイナンスの御曹司・敬吾」に、あいつが「秘書の沢木槐」に。
そうやって人をからかって、その実俺を蔑んでいるのが俺には分かる。
あいつの代わりにちやほやされても、
俺の胸には楽しい気持ちなんかこれっぽっちも浮かんでこなかった。
そして敬吾は、資産家の息子だと言う事を隠して、後腐れなく女と遊ぶことを楽しんでいた。

パーティーが始まる。
敬吾のスーツを着て、敬吾のネクタイを締めた俺を敬吾が女達に紹介する。
「みなさん、ご紹介しましょう。こうして今日の酒を提供してくれたのは、他でもない。
不破ファイナンスグループの御曹司、不破敬吾さんです!」
拍手で迎えられる、敬吾の皮を来た俺。嘘の笑顔を浮かべる事にはもう慣れた。
俺と乾杯しようと群がってくる、女、女、女。

・・・くだらない!
どんなに着飾ろうと、どんなに香水を振りかけようと。
目の前に立っている人間の本質を見抜けない女には俺は興味がない。
この中身のない女達に比べたら、あの女・・・類子がいかに使えるかという事がよく分かる。
類子がここにいたら笑うだろう。お前達に俺が落とせるわけがない、と。

今頃類子は疲れた身体をベッドで休めているだろう。
その無防備な姿をモニターに晒し、不破の濁った目で見つめられているとも気付かずに。
少々可哀想な気もするが、敢て教えてやることもないだろう。
たとえ隠しカメラの存在に気付いても、それで嫌がってゲームから逃げる女ではない。

・・・ふと、遠くで俺を見つめていただけの女に敬吾が近づくのが見えた。
今度の遊びの相手は、あの女か。

吉野尚美。後に俺の運命を大きく左右するその女・・・


(ひとこと)
槐目線で見ることによって、放映にはないエピソードをちょこちょこ入れてます。
なかなか楽しいです(笑)





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Last updated  October 7, 2006 01:24:05 AM
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王様@ 潮 吹 きジェットw サチにバ イ ブ突っ込んだ状態でジェット…
ボーボー侍@ 脇コキって言うねんな(爆笑) 前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱が…
リナ@ 今日は苺ぱんちゅ http://kuri.backblack.net/-6jv9of/ 今…
しおん@ ヤホヤホぉ★ こっちゎ今2人なんだけどぉ アッチの話…
アゲチン@ ありがとうな!!!! http://bite.bnpnstore.com/ogwmxps/ ア…

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