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緑が美しい。
f:id:k-hisatune:20130422091807j:image 吉村昭「冬の鷹」(新潮文庫)を読了。 「解体新書」成立の過程を吉村昭らしい克明な調査で再現した労作。 主人公は豊前中津藩の藩医・前野良沢。もう1人は杉田玄白。そして平賀源内と高山彦九郎が脇役として登場する。 ターヘル・アナトミアという蘭書の翻訳という医学史上の偉業を、盟主として実現した前野良沢の名前は、「解体新書」の譯者にはない。その謎が解き明かされる伝記である。 この本を読みながら思ったのは、それぞれの性格にふさわしい人生を送ったのだということだ。かたくなに主義にこだわる良沢、たくみにプロジェクトを実現させていく10歳下の玄白、そして華やかな才能を使いつぶす源内、政権の朝廷への返上を画策する行動力を示す彦九郎。性格タイプのエニアグラムでみると、良沢は観察者、玄白は成功を目指す人、源内は冒険者とみえる。背負った性格というOSにのっとって生きているのだ。 ターヘル・アナトミアの翻訳事業は難行だった。蘭語で書かれた文章には手も足も出ない。櫓も舵もない船で大海に乗り出したのだ。この突破口は、人体の図の中にある単語を本文の中に探して、そこから類推して意味を探るというやり方だった。そして2年の歳月を費やして翻訳は完成する。中国医学の五臓六腑説を粉砕する革命的な所業だった。 源内は52歳で病死。玄白85歳での長寿での穏やかな死。良沢は81歳で娘の嫁ぎ先で死。 良沢「人の死は、その人間がどのように生きたかをしめす結果だ。どのように死をむかえたかをみれば、その人間の生き方もわかる」 吉村昭の妻で同じく作家の津村節子は、吉村の死後、著書を読み始めて吉村昭という作家のファンになっている。 吉村はあとがきで、4年間の執筆準備の後、月刊エコノミストに1年7か月にわたる連載小説として書いたと記している。中津でも取材をしていて、市立小畑記念図書館や、郷土史家嶋道夫先生の名前もある。 吉村昭の本は、「三陸大津波」を読んだことがある。すっかりファンになったので、「戦艦武蔵」「高熱隧道」「神々の沈黙」などを読んでみたい。 -------------------------------------------------- 原稿書き。執筆中のテキストの「前書き」と「後書き」を書く。 P出版社の鈴木さんと九段の文庫カフェで面談。執筆中の「図解・日本史」の一部を渡し、今後の相談をする。 雑誌の連載の依頼有り。どうするか思案中。 ■CommentsAdd Star 学部長日誌「志塾の風」130422 | 編集 18時からホテル・グランドパレスの中華で学長を囲んでの懇親会。 3人の新任教員(志賀、小林、奥山)と下井、趙、豊田の各先生と私。 学長の愉快な話術で楽しく歓談。参加者も満足。 終了後、学長からは「こういう機会を順次持っていきたい」との話があった。 f:id:k-hisatune:20130422181823j:image お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/12/24 11:37:11 AM
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